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3色ボールペン活用術は「カチッ」の音がポイント

フォレスト出版編集部の寺崎です。

3色ボールペンライフを始めてから、はや数か月。

毎日触れるものにこだわりを持ち始めると、そのモノが発する音が重要であることがわかります。

◎マウスのクリック音
◎キーボードの打鍵音
◎スマホのサウンド

クリック音が耳に触るマウスとか、けっこう苦手です。

じつは同じように「3色ボールペン」でも、色を切り替えるときの「音」が重要だったりします。そのあたりをふたたび齋藤孝さんの新刊『情報活用のうまい人がやっている3色ボールペンの使い方』から見てみましょう。

「技」にする、「技」を磨く

 女子中、高校生に多いが、非常にカラフルなサインペンを5色、6色、あるいは10色以上使っている姿をよく見かける。あれでは自分の脳の働きを活性化させる効果がむしろ薄れる。なぜなら、彼女たちのほとんどが、カラフルできれいに見えるから、という非常に単純な気持ちで色を使っているだけだからだ。勉強がおもしろくないため気晴らし感覚で、ただ多彩な色分けを楽しんでいるだけだろう。色分けが脳の訓練になっていない。
 色に意味をもたせ、色分けするという行為を、脳が自然に行えるように習慣づけることが大切だ。
 例えば、ソロバンと電卓を比較して考えてみよう。ソロバンは持ち運びのできるシンプルな道具である。電卓もさらに小型軽量化した非常に便利な道具である。しかし両者には決定的な違いがある。
 ソロバンは習熟すると、その場に実際に道具がなくても、指を動かしているだけで計算ができる。脳の中で、カチカチカチと珠た まを弾いて、暗算をすることができるようになる。ソロバンを覚えることにより、脳は鍛えられ、それが「技」となる。
 一方、電卓の操作性はじつに簡単で、誰でも使うことができる。しかし、あの薄い小型機械の中で行われていることは、使い手には見えない。瞬間的に処理する計算だったら電卓のほうが速いが、どんなに便利であっても、電卓を持たずに計算ができるようにはならない。電卓は人間の脳を鍛えてくれる道具ではない。
 現代日本は、脳を鍛える道具や方法に対して、あまりにも価値を認めなさすぎると思う。こうした脳みそを鍛えてくれるものを、もっと大事にすべきではなかろうか。
 3色ボールペンは、ソロバンと同じく脳を鍛える道具である。脳を鍛えることにより、「技」になる。習熟すると、ボールペンを持っていないときでも、ああ、これは緑、これは赤というふうにパッと頭の中に整理がつくようになる。
 映画を観ていて、ここはこの映画の青の部分だ、ここが赤だ、ここに緑をつけたいなあと、次々と頭の中に浮かぶようになれば、この3色方式を自分のものにできたといってよい。
 このような、自分のものにできるというところまでもっていくことを、私は「技化する」と名づけている。
 技化するために必要になるのは、頭の良し悪しではない。強い意志で臨み、怠けず根気よくやりつづけ、途中でへこたれないこと。身体トレーニングと同じである。鍛える部位が頭だというだけのことである。
 3色方式には、資料を読むとき、何かを書くとき、話をするとき、主観と客観をきちんと分けることができるようにする、という大きな狙いがある。脳にそれをインプットし、学習させるのである。
 赤・青・緑の3色を使うのであれば、3本のペンを持ち替えるのでも同じだろうと思うかもしれないが、それは違う。1本のペンに3色が入っていて、それを切り替えるという行動様式そのものに意味があるのだ。
 ペン先をカチッカチッとノックして違う色に替えると同時に、脳の主観と客観を切り替える(=スイッチする)という感覚を鍛えているからだ。ペンを置いたり持ったりするのでは、思考のスイッチを切り替えることにはならない。脳のスイッチ切り替えという「技」を磨いていることにならない。
 私は『天才の読み方』(だいわ文庫)という本で、いわゆる天才と呼ばれる人の特徴を考察してみた。それでわかったことは、天才というのは、脳みそが混濁していない、整理されきっている、ということだった。
 天才というと、破天荒で何を考えているのかわからない人、それゆえにとてつもないものを生み出す人という印象があるが、じつはそうではない。
 モーツァルトやベートーヴェン、あるいはピカソでも、アインシュタインでも、イチローでもいい。彼らがただなんとなくもやもやした混沌の中から、何かを生み出しているわけではないということは、その仕事ぶりからわかる。偶発的に何か優れたものを思いついたというくらいでは生涯にひとつかふたつ程度の業績を残すのが関の山だ。だが、天才と呼ばれる人たちは、たいてい驚くほど多くの仕事を残している。
 それがこなせるのは、頭の中がみごとに整理されていて、自分のやっていることをきわめてクリアに意識できているからだ。そして、常人が及びもつかないようなハイレベルのことを考え、その中で悩んだり模索したりしているのである。
 いきなりそうした天才たちと肩を並べることができるわけはないが、脳を鍛える技によって、整理された混濁していない脳みそにしていくことは、誰でもできる。

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私たちがモーツァルトやアインシュタインのような天才になることはなかなか難しいですが、3色ボールペンで情報を整理、脳みそをすっきりにするトレーニングを積むことはできるわけです。

ぜひ、お試しください。

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