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あらゆることの「定義」を変えることでアイデアが生まれる「新定義法」

フォレスト出版編集部の寺崎です。

先日、新刊『速案ーー誰よりも速くアイデアを生む15の公式』の著者・西島知宏さんをゲストに迎えて、Voicy「フォレスト出版チャンネル」の収録をしました。

その際、西島さんに「いちばんおすすめの公式を教えてください」と聞いたところ、次の公式を挙げられました。

【新定義法】
課題の従来の定義を書く

新しい定義にする

今日はこの「新定義法」について、『速案』から引用して解説いたします。

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ミネラルウォーターの「定義」を変える

 この公式はあなたの目の前にある課題に対し「大多数の人が思っている一般的な定義を変える」というものです。課題によっては「使い方を変える」と言い換えても良いです。課題によって使い分けてください。

 ミネラルウォーターを例に取って考えてみましょう。ミネラルウォーターの一般的な定義は「喉のどの渇きを潤すもの」「体に必要な水分を補給するもの」などですね。新定義法でこのミネラルウォーターに対する一般的な定義を強制的に変えてみましょう。

 薬を飲むもの
 カップラーメンを作るもの
 コーヒーを淹れるもの

 清涼飲料水メーカーが、飽和したミネラルウォーター市場で競合メーカーに対して戦っていくとして、のどの渇きを潤すもの、体に必要な水分を補給するもの、という定義のままでは差別化するのは難しい。また、新たにミネラルウォーター市場に参入する企業があったとしても、新規参入してミネラルウォーター市場のシェアを奪っていくのは難しいでしょう。消費者も忙しい毎日を送っていますので、成分が変わった、分量が少し増えたなど細かい機能の変更では、いつもの商品からの切り替えは行ってくれません。そんな状況に対し、こういうミネラルウォーターが出たらどうでしょう。

 薬専用ミネラルウォーター
 カップラーメン専用ミネラルウォーター
 コーヒー専用ミネラルウォーター

 薬専用ミネラルウォーターは「粉薬やカプセルなどの薬を飲むのに適した硬度、喉ごしのミネラルウォーター」、カップラーメン専用ミネラルウォーターは「カップラーメンをおいしく食べられる塩分濃度のミネラルウォーター」、コーヒー専用ミネラルウォーターは「コーヒーの風味を活かせるミネラルウォーター」といったイメージです。
 普段飲んでいる、喉の渇きを潤したり、体に必要な水分を補給するミネラルウォーターとは定義の違う、特定の目的に最適化されたミネラルウォーターであれば、普段選んでいるものとは別に、2本目として選んでもらえる可能性が高まるのではないでしょうか。
「定義を変える」というやり方が難しいと感じる人は、冒頭にも書きましたが「使い方を変える」と考えてみてください。
 たとえば次のように。

(のどの渇きを潤すために)水を使う→(薬を飲むために)水を使う

「ごはんを炊くための水」「ペットにあげるための水」「炭酸にするための水」など他にも使い方は考えられるので、アイデアはいくつも生み出すことができます。
 もちろん商品開発はアイデア発想だけで完結するものではありません。アイデアが生まれたあと、実際その定義に見合った商品が開発できるか、また商品開発にかかったコストに見合うリターンが期待できるのか、継続的に世の中の需要があるのか、などさまざまな視点で検証しなければなりません。
 しかし、時に創業者やエンジニアの思いつきがとてつもないヒット商品を生み出すことも、時代が証明しています。いったんはアイデア開発に制限を設けず、コストやターゲットや市場を無視して自由に考えてください。

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この「新定義法」ですが、さまざまなシーンで活用できます。

たとえば、私が所属している「出版社」についても、新たに定義しなおすことで、これまでにない発想のサービスや商品が生まれる可能性があります。

ぜひ、いろいろと試してみてください。

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