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そもそもデザイン思考の「デザイン」はどんな意味なのか?

フォレスト出版編集部の山田です。

前回の記事では、世界のエリートがこぞって学ぶ「デザイン思考」とは何かについてご紹介させて頂きました。簡単に言うと、デザイン思考とは答えがない中で何か新しいものを創り出す際に役立つ問題解決の方法ということでした。そして、従来の課題解決法とは異なり、課題に柔軟に対応できるように何度もステップを行き来することで解決するという特徴がありました。

しかし、まだ今一つ腑に落ちていないという方も少なくないのではないでしょうか。そんなときは、別の著者の視点から捉え直してみるとより理解が深まるかもしれません。

本記事では、『実践 スタンフォード式 デザイン思考 世界一クリエイティブな問題解決』(ジャスパー・ウ、インプレス)からデザイン思考とは何かについてご紹介させて頂きます。

デザイン思考は問題解決のための思考法の1つですが、そもそも「デザイン」とは何を意味しているのでしょうか。

デザイン思考と聞くと、クリエイターなど何かをデザインするための思考法、あるいはデザイナーのための思考法なのかなと思われる方もいらっしゃるのではないかと思います。しかし、著者によるとそうではないようです。

日本で「デザイン」という言葉は、グラフィックデザインやビジュアルデザインといった「外観をよくする、美しく整える」という意味で使われることが多いと思います。デザイン思考は英語の「Design Thinking」を日本語にしたものですが、このときのDesignという単語は、「設計する」という意味で用いられており、外観を整えることは一部分に過ぎません。つまりデザイン思考とは、「(問題を解決する方法を)設計(Design)するため考え方(Thinking)」と捉えると、腑に落ちるのではないでしょうか。

したがって、デザイン思考とは問題解決のための手段なのではなく、その方法自体を自ら設計する思考法ということになります。

さらにデザイン思考を学ぶうえで心得ておくべきこととして、著者は以下のことを述べています。

 すでにデザイン思考を学ぶ方もいらっしゃると思いますが、覚えておいていただきたいのは、デザイン思考は「考え方」であって「方程式」や「英単語」といった、「ある問題に対する決まった解き方」とは異なるということです。つまりデザイン思考を使うタイミングは、特定の問題が出た場合ではなく、普段からデザイン思考の考え方をベースに、自分なりのアレンジを加えて問題解決に用いるということです。

こちらを踏まえると、前回の記事でご紹介した「従来の課題解決法とは異なり、課題に柔軟に対応できるように何度もステップを行き来することで解決する」という著者の主張もよりわかりやすくなるのではないでしょうか。

従来の思考法には決まった方法がありますが、デザイン思考には解決の方法自体に答えがないので、自分で試行錯誤を重ねながらその方法を見出す必要があります。そのため、ステップ通りにするのではなく、行きつ戻りつしながら進んでいくようです。

また、著者はデザイン思考とは、継続してトレーニングすることで身につけるものであると断言しています。なぜなら、デザイン思考とは、マインドセット(考え方)を変えることだからだそうです。これに関して、著者は以下のように説明しています。

人がもつ考え方は、その人の経験や環境の中で積み上げられてきたものなので、デザイン思考を学んでも、急にその考え方を変えるのは難しいということです。日々チャレンジを続け、自分の考え方として身につけていくしかないのです。

デザイン思考の難しさはここにあるかもしれませんね。つまり、デザイン思考は学んだ通りにそのまま実践すれば一朝一夕に身につくものではなく、時間をかけて実践と練習を繰り返すことで、はじめてデザイン思考とは何かを理解できるようになるのだと考えられます。

そのため、デザイン思考では「まずやってみる」ことから始まるそうです。論理的に頭であれこれ考えるのではなく、とにかく手を動かしたり行動しながら学ぶことが大事だということになります。

以上、前回とは別の著者の視点からデザイン思考とは何かについてご紹介させて頂きましたが、いかがでしたでしょうか。

著者によると、デザイン思考とは問題を解決する方法を設計することで、あり継続してトレーニングを積むことで身につけられるものであるとのことでした。わかるようでわかりにくいデザイン思考について、もう一歩理解を深めるためのヒントになりましたら幸いです。


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