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「黒」のボールペンではなく「赤・青・緑」を使う理由

フォレスト出版編集部の寺崎です。

前回、齋藤孝さんの新刊『情報活用のうまい人がやっている3色ボールペンの使い方』から引用しながら、「なぜ、3色なのか?」についてお伝えしました。

さらに本日は「なぜ、赤・青・緑なのか?」についてお伝えします。

なぜ赤・青・緑なのか?

 色の記憶というのは非常に強い。
 何かを思い出そうとするとき、ある人の着ていた服が何色だったかということは比較的鮮明に覚えているものである。また、あの資料は何色の袋に入れてあるとか、何色の表紙の本だったというように記憶していることも多い。私は、こうした色の記憶というものを、情報術にも活かしたかった。
 オリジナル3色ボールペンができるまでずっと4色ボールペンを使っていたが、それ以前は、色鉛筆を用いたり、蛍光ペンを用いてみたりしたこともあった。
 赤・青2色が1本になった色鉛筆は、線を引くには問題ないが、すぐに芯し んが丸くなるので文字を書き込みたいときに使いにくいという欠点があった。
 蛍光ペンも文字を書くのにあまり適していない。鮮やかな蛍光色は目立つし、コピーをしたときに写りにくいというメリットはあったが、文字となると書きにくさばかりでなく読みにくさも伴った。
 何より、2色鉛筆ではふたつの区分けしかできない点がネックだった。蛍光ペンの場合は、いちいちペンを持ち替えなくてはならない。
 そうしたことを解決してくれたのが1本で何色も使い分けられるノック式ボールペンだった。
 3色の使い方について、最重要は赤にするというところに異論のある人はいないだろう。これはきわめて一般的な感覚だと思う。われわれの生活の中でも、とくに人の注意を引きたいところには、たいてい赤が用いられる。
 赤でマークするのは、それを落としてしまうと本質を欠くという部分だ。赤と青は、誰が読んでもそう思うという客観的視点でマークするのが基本だが、じつは赤をつけるということは、「これは誰にとっても絶対に重要なはずだ」と自分が強く思っているわけで、そこには個人的思い入れも多分に含まれている。
 青の場合はそこまで強くない。とりあえず重要ということにしておこう――そのくらいの冷めた感じが青だ。たくさん引いてもいいが、少しくらい欠けていても大勢に影響はない。それだけに、赤のように強い思い入れを抱かない。赤を思い入れたっぷりの情熱の色とすると、青は〝脳みそ冷やし系〞の色である。こうしたやや冷めたスタンスで取り組むところも必要だ。青があるからこそ、思いきって赤が引けることになる。
 それに対して、緑は完全に自由な発想ができる。自分のセンス、自分のアンテナに引っかかってくるものなら何でもいいからだ。緑というのは、気持ちを晴れ晴れとさせる色ではないかと思う。非常にリラックスできる色だ。
 私は、勉強や仕事にも、もっと遊び感覚を取り入れたいと考えていた。それにふさわしい色は緑だと考えたのである。

黒は判断停止の色

 私が黒を使わないのは、ひとつには、文字情報のほとんどが黒で書かれているからである。資料のほとんどが黒1色で刷られている。世の中にこんなに色が溢れ、広告宣伝パンフレットなどは非常に多彩になっており、色のもつ効果が大いに認められているにもかかわらず、たいていの文字情報がいまだに黒1色だ。
 書籍の本文、会議資料、新聞、書類……。色がついているのは、たいていがタイトルや見出し、写真や図版といったところだけだ。
 その背景には、印刷物をカラー刷りにするとコスト高になってしまうという問題がある。また、大量の文字情報を読むのには、墨文字が最も目に負担をかけない、そういう常識的見解があることも承知だ。
 それでも、黒1色には魅力がない、とあえて言いたい。
 黒には、そこに誰かがかかわっているという「生きた」印象がない、いわば匿名的な印象だ。ここには何の主観的判断もありませんという無味無臭の色合いのように思われる。
 だからこそ、自分たちで読みやすく手を加える意味がある。
 私はすでに50年近くこの3色方式を実践してきた。思い返してみると、大学入試の受験勉強をしているときから、この方式を用いていた。現在の3色に固め、筆記具をボールペンに決めるのはもっとあとのことだが、「最重要」「重要」「おもしろい」の3つの観点で捉と らえるという発想そのものは、その頃から変わっていない。
 完全に、頭の中に3色の発想法が染み付いている。そのため、黒1色の資料を見ると、のっぺりした、何の興味も引かない、つまらない資料に思えてしまう。そこで、すかさず3色方式で読み通して、自分らしいものにしてしまう。
 黒い文字の上に、黒ペンで丸をしようが、線を引こうが、それはあまり目立たない。インパクトが弱すぎる。印をつけても、そこが浮き上がってこない。
 私から見れば、黒は判断停止の色だ。硬直した脳のイメージと言い替えてもいい。
 配られた状態のときのまま、何の書き込みもない資料を広げて会議に臨んでいる人を見ると、いったいそこからどうやって意見やアイディアが湧いてくるのかと不思議に思う。
 私は書く時も黒は使わない。ノートも書類も青で書く。これまでそれで文句を言われたこともないし、突き返されたりしたこともない。
 欧米では、正式な書類やサインにもごく一般的に青インクが用いられている。日本には大事な書類や手紙は黒で書くという旧習が根強いようだが、そこにいつまでもしがみついている意義が、私には見出だせないのである。

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「黒は判断停止の色」とはショッキングな指摘ですが、たしかに言い得て妙です。

ちなみにメンタリストDAIGOさんはパイロットのドクターグリップ4+1を動画でおすすめしていました。

ちなみに偶然にも私がおすすめした3色ボールペンも同じものでした。

ご参考になれば幸いです。

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