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夜を嗜む

朝派か夜派かと聞かれたとき、大体は”朝夜どっちの方が効率的に活動できるか”と問われている事が多いので、元気よく「朝派です!」と答えているが、時間帯として好きなのは圧倒的に夜である。

夜がすき。静かで冷たくて、ちょっぴし寂しい気持ちになるのがいい。「孤独を楽しむ」みたいな中二病臭いことはいいたくないけど、たまにはひとりぼっちに肩まで浸かるのもそれはそれでいい。カップル犇めくイルミネーションスポットに一人で行ったり、休日に家族がピクニックしてる公園を一人で散歩したり、自分から寂しい気持ちになりに行くマゾヒズムを持っているのかもしれない。    

そんな一人で過ごす夜のおすすめをば。


品川ふ頭

工場夜景とタワマンを一望できる品川ふ頭。THE東京!て眺めをコンテナに囲まれながら見るギャップみたいなのが楽しい。
「あの光一つ一つにもそれぞれのストーリーが....」みたいな楽しみ方をするには自分の想像力と感性が追いついていないが、とにかく人がいっぱいいる場所を遠目で独りぼっちで見てる背徳感ちっくなものを味わえる。

ちょっと時間が早ければレインボーブリッジの遊歩道を歩いて、お台場⇒有明⇒豊洲を散歩するのも一興。夜のガンダムや運転休止中の観覧車、朝を待つ豊洲市場の横をイヤホン耳にプラプラしているだけで、日常のストレスを完全に忘れられる。

あと少し周りを見渡すと、朝を待って睡眠している長距離トラックの運転手や、ドライブしにきたカップル、ちょっとだけ悪そうな走り屋まがいの若者達がいたりと、人の数は少ないのに色々ごった返しているのもいい。


fuzkue

夜に一人で本を読みたくなったらここへ。
日常から逃れたくて一心不乱に言葉を追いかける。ちょっと疲れて一息つく。また読み進めて現実と物語の境界線がどんどんぼやけてくる。目がしょぼしょぼしてきて眠くなる。むにゃむにゃしながらまた読み進める。

これらを全て温かく許容してくれる店がFUZKUE。
あまり集中力がない自分でも、少し休憩すればまた小説の世界へどぼんと浸りこめる稀有な環境がこの店にある。(基本的に会話禁止、PCもメモ書きも推奨はされていない)

あと、まだお話ししたこともお会いしたこともないけど、店主である阿久津さんの気持ちがビンビン伝わってくるお店の雰囲気が好き。
HPやブログで一つ一つの言葉を丁寧に紡がれているように、メニューやレイアウトといったお店の隅々に意図や思いやりの気持ちを感じる。

ゆっくりと本を読みたい。外で。家だとすぐ寝ちゃうし集中できない性分なので。

おいしいコーヒーが飲めて、お腹がすけば食事もできて、飲みたくなったらお酒も飲めて、 つまめて、そんな場所で気が済むまで本を読みたい。
静けさが約束されていて、だけど緊張を強いるようなものともまた違う、心地良い静けさの場所で本を読みたい。

どれだけ長くいても「そろそろ出たほうがいいかな」とか思わないで済んで、 「全然、ほんとそれ大歓迎ですよ」と言ってくれるような場所で本を読みたい。
だだっ広いチェーン店の片隅で感じる心細さとか孤独感とかそこに流れる非人間的な時間とは違う、なんとなくほっとできる、なんだかよくわからないけれど人間味みたいなものを、 親密さみたいなものを感じられる、そんな場所で本を読みたい。

ただし店の人と話をする必要なんてなくて、慣れ合いが始まってその末に行くのがだるくなるみたいなリスクを抱えたりしないで済んで、会話はなくとも安心できる、そんな場所で本を読みたい。
と、ずっとほしいと思っていたそんな店を目指して、つくりました。
2014年10月17日 フヅクエ 阿久津隆

ブックカフェ的な場所だと大崎や六本木の蔦屋書店にも行くが、FUZKUEの初台店は23:30までやっているので、おしりを気にせずどっぷり読みこめるのがいい。
あと何分で帰らなきゃみたいな状況だと、読み終えるちょっと前の数ページの「読み終えたいけど読み終わりたくない!」って気持ちを目一杯楽しめないもんね。



TOHOシネマズ新宿

夜の一人時間といえば映画。
レイトショーがやってるシネマだと池袋の新文芸坐や新宿バルト9もあるけど、一番好きなのはここ。
まず客層がハチャメチャで楽しい。同伴ぽいホストやキャバクラ嬢たちがいたり、ナンパに失敗して始発を待ってるであろう若者達、反社っぽいおじさんや完全に寝に来ているサラリーマンなど、まるでフィクションのような大衆の中で映画を鑑賞すると、なんだか言語化不可な気持ちにトリップしてしまう。

後は鑑賞後、駅まで行くには必ず歌舞伎町を通らなければいけないんだけど、その道すがらもなかなかに特殊。謎の言語で喧嘩を繰り広げる集団や、それを脇目に情事に勤しむカップル、「ここ公道ですよね?」と疑いたくなるほどリラックスして寝転んでいる人達に、どこかでぼったくられたのか悲壮感漂わせて徘徊するスーツ姿の男性などが朝焼けの中ごった返している朝4時の雰囲気はまさしくchaos。
無論自分はそんな人たちにビビり散らかしながら足早に通り過ぎるのだが、一度は自分もここに馴染むような一夜を過ごしてみたいなぁと画策している。


他にも深夜寄席とかBARとか東京タワーとかあるけど一旦ここまで。
深夜散歩に聞きたいプレイリストとかも作りたいなぁ。







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