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リーグ1の憎まれたチームクラブ・アメリカ

メキシコで最も人気があり、最も憎まれている、日本の野球界で例えると巨人のようなチームがある。
あのマラドーナの5人抜きゴール、神の手の聖地・アステカスタジアムを本拠地とする「クラブ・アメリカ」だ。
一度でもチーム名を聞いたことがある人も多いかもしれない。

クラブアメリカは、歴史があり、メキシコ国内で最も多くのタイトルを獲得している。そのため、クラブアメリカの人気は非常に高く、ニュースでも取り上げられる回数が他のチームと比べて断然多い。
大手企業がスポンサーについていることもあり、代表選手クラスも多いなど、他サポーターから特に敵対視されているチームだ。
メキシコ人とサッカーの話をすると「クラブアメリカだけは応援するなよ」とよく言われる。それくらい憎まれているチームだ。


そんなメキシコサッカーを語る上で欠かせないチームであるクラブアメリカは、リーガMXの1st ステージ「アペルトゥーラ」でリーグ戦1位となった。その後のアペルトゥーラの王者を決めるプレーオフでも圧倒的な強さを見せつけている。
好調の要因は、リーグトップの得点数を誇る強力な攻撃陣だ。
その攻撃陣を牽引するのは、国内トップクラスの2人のストライカー、ヘンリー・マルティンとフリアン・キニョネス。
今回は、この2人について書いてみようと思う。

Henry Martín (ヘンリー・マルティン)

ヘンリー・マルティンは、現在のメキシコを代表するフォワード。2021年に開催された東京オリンピックには、オーバーエイジ枠として出場し、チームの銅メダル獲得に貢献した。

178cm と決して高くない身長でありながらも、ボックス内でのポジショニングは抜群。また、ポストプレーも得意とし、周りの選手を活かしながらゴールを狙うこともできる器用な選手だ。
縦パスを受け、持ち味のポストプレーを発揮し、サイドの選手を使い、もう一度ボックス内侵入して、クロスを受けるといったシーンは多い。このマルティンを中心としたプレーは、クラブアメリカの攻撃の形の1つとして、確立されている。

今シーズンは、リーグ戦12試合出場し6ゴールだけでなく、アシストも4記録するなど、首位を走るチームに欠かせない中心選手だ。

https://youtu.be/2EqH-BqCXCo?si=hr5zoOQ2n95UVNe5


Julián Quiñones (フリアン・キニョネス)

マルティンと共にチームの攻撃を牽引しているのが、現在メキシコ国内で注目度の高いフリアン・キニョネスだ。コロンビア出身の26歳は、メキシコ北部モンテレイに本拠地を置くティグレスでプロデビューを果たした。
今シーズンからクラブアメリカに加入し、すでにチームのエースとして活躍している。

彼の持ち味は、スピードとパワー。
クロスに勢いよく飛び込むプレーや1人で打開する能力に優れ、中央からもサイドからも多くのチャンスを演出する。縦への推進力は国内トップクラスの選手だ。

2023年10月には、メキシコに帰化し、メキシコ代表選手としてプレーすることになった。メキシコ代表に新たに攻撃の中心を担う選手が増えたことで、キニョネスへの注目度は高まっている。

https://youtu.be/ieuFBe5Wpf8?si=s34q8VaYFq611gf-


両ストライカーが大活躍 前期プレーオフ準決勝

先日行われたリーガMXアペルトゥーラ(前期)王者を決めるプレーオフ準決勝第1戦 サンルイス戦では、クラブアメリカがアウェイにもかかわらず5対0と快勝。
この試合では、特にマルティンとキニョネスの活躍が非常に目立つ試合となった。

マルティンは1ゴール1アシスト、キニョネスは2ゴール。
1点目は、前線へのロングボールをマルティンが収め、10番バルデスのミドルシュートを演出。2点目は、キニョネスが起点となり、最後はクロスをマルティンが頭で合わせた。
後半、味方が3点目を獲った直後には、キニョネスが裏に抜け出し、放ったシュートのこぼれ球をマルティンが押し込むもオフサイドの判定となってしまう。キニョネスの突破力とマルティンのポジショニングの良さが目立つ場面となった。
その後、試合終盤にキニョネスがクロスに合わせるなどして2得点。
この試合、マルティンとキニョネスは4得点に絡み、今年のクラブアメリカの好調ぶりを存分に発揮した試合となった。

https://youtu.be/2g4QSUy5DQU?si=faau_jQsYpBm7TqC


”Los delanteros de las Águilas se han entendido bien y aún mejor, mostraron una buena relación."
「クラブアメリカの2人のストライカーは互いをよく理解していて、さらに良い関係を築いている。」

https://americamonumental.bolavip.com/ligamx/america-el-enorme-gesto-de-henry-martin-con-julian-quinones-en-el-tercer-gol-ante-santos-20231022-AME-41945.html

アペルトゥーラのプレーオフが始まる前の現地の記事の一部。ここから見ても、2人の関係の注目度の高さが伺える。
彼らの活躍には、他のチームも黙っていないだろう。
12月は、アペルトゥーラ王者を決めるプレーオフ準決勝第2戦、決勝(ホーム&アウェイ方式)を残す。ベスト4に残っているサンルイス、プーマス、ティグレスはクラブアメリカの勢いを止められるのか。
また、1月からは、リーグ後半戦「クラウス―ラ」が始まる。今後の2人の活躍とクラブアメリカの快進撃を止めるチームは現れるのか、目が離せない。




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