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「GTO」「GTO REVIVAL」;出来るだけ他者に伝わるように書く感想文㉛

「GTO」(ドラマ/1998)
「GTO REVIVAL」(ドラマ/2024)

 同名漫画を原作として、反町隆史さんが主人公鬼塚英吉を演じた作品が「GTO」。フジテレビが1998年に制作したドラマでは、その最終回の平均世帯視聴率が35.7%とドラマではぶっちぎり、マシンガン打線を擁した横浜と西武の日本シリーズ最終戦よりも高かったそう。残念ながら今回は9.6%と振るわなかったとも捉えられかねないが、Xのトレンドやネットニュースの話題を踏まえると健闘したのではないだろうか。




 学校問題が活発に議論され始めた時代の1998年。いじめ、不登校、体罰など2024年の感覚では「不適切にもほどがある」事件と、元不良教師である鬼塚が向き合っていく。漫画を読んだことがある経験のある僕にとっては、これを同じGTOだと言えるのかという点については甚だ疑問だが、それでもこれほどの支持を受けることに繋がったのは、反町隆史と後に有名になる生徒役の演技によるところがあるのかもしれない。
 今見ても非常に面白いドラマだと思う。耳に残る音楽と、学生に対する愛はたぶんどの時代でも受け入れられるのではないだろうか。



 1998年と2024年を比べてみたい。
 前者がバブル崩壊後約10年の日本。後者がその後約25年の時を経て、やっとその期間を抜けた兆しが見えた日本。
 こと学校に関しても、比較できる部分が大いになると思う。1998年は学校問題が顕在化してくる時代で、はじめは体罰やいじめが問題として取り上げられ始めた。そこから比べると2024年の教育状況はかなりの自由が広がって来たのではないだろうか。服装・髪型の自由、多様な教育機会の選択肢、義務教育学校という名で小中一体型の公立学校も増えてきている。もちろん子の権利を過度に主張するモンスターペアレントなんて存在が世に知られるようになったのは、行き過ぎた自由の結果であることは明白だが、少子化で蝶よ花よと育てられた僕たち世代がこれから社会からどのような存在として受け入れられるのかということには興味がある。
 僕の話をすると、このドラマを見るまで鬼塚を現代に連れてくるとどうしても旧時代的な暑苦しいヤツになってしまうのではないかと考えていた。意外とそうではなかった。僕の見立てでは鬼塚がそこまでウザくならなかったのは、適度に問題として描かれる生徒が変わり、一夜限りのドラマとして場面転換と過去作のオマージュがなされたからだったと感じる。
 ただ、現代版の視聴後の感想としては、思ったよりも現在の学校が抱える問題というものが希薄だったと感じる。例えばこれだけネット高校等が広がり高卒認定試験が認知されているとは言え、それでもやはり高校に通い卒業なければ社会的にバイアスがかけれられる事なんかは描くことが出来たのではないだろうか。
 もちろんこのドラマのターゲットは当時GTOを見ていた世代である。だからこそ反町隆史が主演を張り、窪塚洋介に頭を下げたはずである。だから現代のSNSの利用のされ方、パパ活などに疑問を提示すると受けは良い。パパ活を援助交際とはっきり言い切るシーンは正にその観点があるからこそ、セリフとして表現がなされたはずである。このドラマは、反町隆史側からも提案があり作られたというインタビューも見られたが、フジテレビの全盛期回帰政策が如実に反映されたと思える。楽しく視聴したが、そのような背景を勘ぐってしまいうる内容を残念に感じた。

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