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鍾乳洞を探検したら人生について考えた

毎年恒例、夫の実家へ帰省
お盆に正月、GWは夫の実家に帰省しています。
義父が4年前に他界してから、より一層義母が心配な夫は苦手な運転も克服して長時間運転もできるようになりました。そして更に今回は、お義母さんと会うだけじゃつまらないだろうと(後で文句言われるのが嫌だから)思ったらしく、帰省以外のイベントを考えてくれたようです。

あの有名グルメ番組のお店へ!

食事中の率直なモノローグが好きで視聴を続けている「孤独のグルメ」。夫が行こうとしているのは2018年に放送された群馬県下仁田市にある町中華屋さんです。このお店なら実家から行けると狙っていたようです。

町中華「一番」のタンメンと餃子

富岡製糸場を通り過ぎ、到着したお店の名前は「一番」。12時半ぐらいだったので既にいっぱい人が並んでます。はい。出遅れました。様子を見に先頭の方へ行ってみると、お店の引き戸には「5/6をもちまして当面の間休業させていただきます。」の張り紙。ググってみたら取引先の製麺所が廃業してしまうため今出している麺の味を再現するために修行に出るとのこと。孤独のグルメに出演されていた老夫婦は既に引退されているっぽい。このタイミングで暖簾を下ろそうとしていたのかなと思いました。でも、引き継いだ方がこのタンメンの美味しさを残したい!と頑張ってくれているんだろう……。こりゃ大変だ。
1時間ほどでやっと入店!店内はカウンター席のみです。入ってすぐ左側に座敷的なエリアだったと思われる場所は物置になってました。仕方ない……だって完全にワンオペです。孤独のグルメで戸塚純貴さんが演じてたと思われる男性が一人で切り盛りしています。

注文はタンメンと餃子!

もちろんこの2品を注文しました。カウンターから厨房の中が見えるスタイルです。じっと観察しちゃいます。餃子は皮に包むところから始めます。お手間です。義母がちょっと話しかけちゃったら男性スタッフの方が「師匠達が丁寧に教えてくれたのでー」と返答してくれました。やさしい。
餃子を焼いてる間にタライに入った大量のキャベツを中華鍋に投入。もやしの袋もバリバリ開けて更に投入。そして麺を茹でている間に食器を洗い、餃子の様子を確認して……と、厨房の中をくるくると回るようにして調理されてます。無駄な動きがありません。
しばらくすると先に餃子が出てきました。サイズピッタリな銀皿に大きめ餃子が6つ並んでます。いやーこんなに食べられないかもーって思ってましたがペロリでした。てへ。
そしてその後、タンメン5人前が一気にできあがってカウンターにどんどん置かれていきます。野菜がたっぷりでうれしいですね。お箸で麺を引き出してみると……とても個性的!太いんです。そして全粒粉?麺の色が茶色です。スープはあっさりだけど野菜のうまみが染み出ててどんどん飲んじゃう。いかんいかん。これじゃ塩分過多になっちゃう。あっという間に完食です。ワンオペで大変そうなので支払いは現金じゃなくてPayPayにしました。また食べたいなー。自家製麺がうまくいって、復活されることを切に願います。次は夏に再訪希望!

そんな中、義母は……

若い人達の中に混ざってタンメンを食べた80オーバーの義母。餃子をとろうとしたらアツ!っとなって「俺がとるから!」と、夫に怒られてしまいました。その後無言に。そして店を出たらなんとなく不機嫌な様子。何か嫌なことあったかな?と思っていたら、どうやらタンメンが初体験だったよう。カルチャーショックを受けたのでしょう。味噌と醤油しか食べない!と、なぜか塩ラーメンを軽くdisってましたが、「一番」で厨房の中の様子を見られたのが楽しかったようで、自分で作ってみようと翌日にはタンメンの材料を購入してました。さすが調理師免許ホルダー。

チャーハンを頼んだお客さんは1,2時間ぐらいかかるって言われてました(汗)
私好みの野菜多めのお菓子系サクサク餃子
タンメン。ユニークな麺を撮るのを忘れてしまいましたが唯一無二の味と食感だと思います

次は関東一広い鍾乳洞へ!

お腹はいっぱいになったけど、まだ時間あるし他にもどこか行ってみようということに。無料の駐車場にあった地図に「風穴」という文字を見かけた私は面白そうだと思ってググってみました。すると帰り道からちょっと逸れた40分ぐらい行ったところに関東一のデカい鍾乳洞「不二洞」という場所を発見!そう。わたし鍾乳洞がけっこう好きなんです。(片手ぐらいしか行ったことないけど)夫は道の駅に寄ってまっすぐ帰ろうって思っていたようですが、私が行きたいというものだから(後々、文句言われるのが嫌だから)、不二洞に行ってみようということに。

しかしすぐに後悔することになります。道中はかなり激しいアップダウン。峠越えを何度も繰り返します。今まで搭乗者が3人なんて経験がほぼ0だったウチの軽自動車のハスコは、かなりの唸り声をあげています。そんなハスコが心配な夫。更に後部座席でほんのり車酔い?になって静かになっている義母。どうしよ。私の我がままでなんだか車内の空気が悪いです(汗)でもここまで来たから引き返すことはできないと夫は車を走らせます。

川の駅上野(上野村ふれあい館)に行きました

不二洞へ向かう道の入口にやっと到着!と思ったら交通整理のおじさんがとてつもなく困った顔で「満車」の看板を持って立っています。「どこかで待てないんですか?」と聞いても待避できる場所が無いとの返答。受付は16:30までで今は15:30。うーん。せっかくここまで来たのになーって思っていたら夫も悔しかったようで途中で見かけた「川の駅上野(上野村ふれあい館)」に行こうと言ってくれました。

そこそこ混雑している川の駅。不二洞を断られちゃった人たちかな……。
川はヤマメ釣りが解禁されているようです。釣り人たちが数人、ルアーフィッシングを楽しんでいました。西日が暑かったので川の中に手を入れてみました。水が冷たくて気持ち良いですね。なんとなく案内図に書いてあった吊り橋も渡ったし、ソフトクリーム食べた。群馬県産のトマトジュースも飲んだし、もう満足です。(←これ伏線です(笑))
鍾乳洞に入れなくても、ま、いっかーって思いながら16:00過ぎぐらいに車に乗り込みました。

このサイズのヤマメはリリースしてくださいとの注意あり
けっこう揺れる吊り橋でしたが景色はよかったです
低塩だけど、しょっぱっくってオイシ―☆

ついに行ける!不二洞!

不二洞への道の入口は帰り道の途中です。さっきと同じところを通り過ぎようとしたら「満車」おじさんがいない!これはいけるってことか……と、夫は不二洞に向かって車を走らせます。しかしこの道、ずっと上り坂です!いろは坂なの?と思われるようなヘアピンカーブの連続。ハスコが唸りをあげています(汗)しかも下山してくる対向車もあり運転がスーパーハードモードです。義母も怖かったのでしょう。再び無口モードに。どうしよう。私の我がままですみません(再涙)
ピリピリモードでなんとか駐車場に到着しました。そしてすぐに駐車できて一安心。しかし鍾乳洞に入る受付は16:30までです。現在時刻は16:15。急いで夫と義母と一緒に受付に向かいます。
券売機で入場券を購入しようとしている私に後ろからスタッフの男性が声をかけてきました。全部で50分ぐらいかかると言われてちょっと躊躇していると「大学生ぐらいなら30分ぐらいで行けますけど」。40オーバーの私が30分で完走するのはちょっと厳しそうだな。それなら高齢の義母はもっと厳しいだろう。受付終了の時間が差し迫っているし、義母を一人にしちゃうのも可哀想。夫には残ってもらって……「一人で行きます!」と宣言。しかし男性スタッフは食い下がります。「もうすぐ日が暮れますよ。帰り道、灯りが無くて暗くて危ないですよ。」と、諦めるように説得してきます。「一緒に行こうか?」と義母と夫が言ってくれましたが、ここまで我がままを押し通してしまった私。一緒に来てなんて、申し訳なさ過ぎて言えません。
ええぃい!大きく育ったわがままボディの中年女性ですが、私はハードモードを選択。「やっぱり行きます!」

ついさっき強気発言をしたけど直ぐに不安になってきた私。そうだ。私の前を歩く5人ぐらいの親子について行くことにしよう。しかしすぐに息切れしていきます。あれ?これってけっこうな上り坂?ヤバい。ランニングしてるみたいになってきたぞ。前の親子がどんどん遠くに行ってしまう……後どれぐらいなの?と、周りを見渡すと「あと200M」の看板。うそーん!!そんなに長いのー!もう心が折れそうだ。いや折れてる。いや、しかし。まだ鍾乳洞の中にも入ってないよ!行かなきゃ!と、自分を奮い立たせて前へ進みます。さっき食べたソフトクリームが口から出てきちゃいそうです(涙目)

不二洞へ入ります!

とても心配になる入口……

やっと入口に来ました。もう前にいた親子はいません。とても孤独……でも!後ろから20代前半のダブルデートっぽい若い男女カップルの声が聞こえてくるからきっと大丈夫。もう引き返せません。意を決して扉を開けます!

また坂なのか……(笑)

ディスコみたい。おもしろーい。疲労で感動が薄くなってます。
(アゲアゲ演出をご覧になりたい方は上の画像をクリック。)
そして鍾乳洞の中へ入っていきますが……こちらの動画の最後に映る螺旋階段を見て愕然とします。

……この階段、148段なんですって!
はい。心が折れた音が聞こえましたよ(笑) もうダメかも(汗)

後ろからダブルデートカップルたちの声が迫ってきます。
ええぃい!もう登るしかねー!さっき飲んだトマトジュースが全部毛穴から出てきちゃってるけど!
錆びついた螺旋階段の手すりを掴みながら無心でよじ登ります。既に海水浴後みたいな疲労感に襲われながら(いや20年近く海水浴なんてしてないけど)、なんとか登りきると「非常出口」の看板を発見!

……………いや。やっとここまで来たんだ。私は引き返さない!と、再び前に進むことに決めました。

不二洞の中の様子

滑りそうな足元に注意しながら中を進んでいきますが、息も絶え絶えだし滝汗を拭くのに忙しくて鍾乳洞内部の写真はほとんど撮っていません(汗)
でもやっと「出口」の文字を見つけて少し心に余裕が出てきた私。帰り道、一人にならないように、前を歩く、祖父、母、娘JKと思われる3人グループについて行こうと決めて安心し、やっと鍾乳洞を観察することができました。

頭上に見える青空は外につながってます。
なぜかサルがプロジェクションマッピングで投影されてます。
クマの置物がありました。
唯一撮れた鍾乳洞。手元がおぼつかず看板が見切れてます(汗)

日が暮れる前に出口へ!

あんなに受付で脅されたので、外がもう暗いんじゃないかと心配でした。3人グループに続いて一緒に出口へ向かって外に出ると……
まだ明るいじゃーん!日没が心配で早足になっちゃってたよー。ぜんぜん鍾乳洞の写真とれなかったじゃーん。(別の理由も多々ありましたが)
一安心した私は心が大らかになり、3人グループへ「写真、撮りましょうか?」と声を掛けてしまいました。母と思われる女性が汗だくの私を見て困ったような表情で「いいんですか?」と言ってくれます。祖父と思われる男性がスマホを差し出してくれました。謎の連帯感を抱いて声を掛けましたが、よく考えたら変な中年女性が一人で怖いですよね。投身とかしちゃいそうに見えますかね?あ、ちがうんですと、焦った私は「同士みたいな気持ちになっちゃって」と言いながらスマホを構えます。前髪のセットも完了したJKも写真に入りますが完全に逆光。その旨を伝えると、祖父と思われる男性が「不二洞出口」と書かれた看板の方を提案してくれました。3人の写真が無事に撮れて晴れやかな気持ちになった私。さーて帰ろう!と、そそくさと下山の歩道へ向かいます。

不二洞を出て目の前に広がる山々

不二洞から駐車場へ

後ろからJKが「毛虫が落ちてくるんだって!」という声を聞き、マジか……と思って急いで下山します。はい。私は毛虫が大の苦手です。道の反対側に毛虫が歩いているのを発見するだけで、そっち側の脚に鳥肌が立つぐらい苦手です。山とか坂道は下りる方が危ないとよく言いますが、私は早歩きモードに入りました。フシギダネ。あんなに脚がフラフラだったのに。こんなに早く歩けるなんて。

とても見晴らしが良かったんですけど、急いでたので写真を撮りそびれました

やっと駐車場に到着しました。いやー上りはあんなに辛かったのに、下りはあっと言う間ですね。夫と義母が待つ駐車場に辿り着きました。そう言えば夫がメッセージをくれてましたが返信してなかったや。すみません。いっぱいいっぱいでした(汗)私が鍾乳洞に入っていた間、義母は吊り橋を渡っていたそうです。そして夫は返信が無い私がどこかで野垂れ死んでいるんじゃないかと心配しながら山を眺めていたと言ってました。ほんとかい?(笑) なんて話していたら、受付の建物からさっきの男性スタッフが出てきました。帰宅時間でしょうか。げっそりしている私を見て、

「汗かいてるし(笑)」

って、おーい!なんだその含みのあるセリフは!
小太り中年女性でも、ちゃんと鍾乳洞を見学できましたー!できましたー!という気持ちでいっぱいです。夫も義母も笑っています。ま、いっか。なんか笑いが取れたなら。ちょっとムカついたけど(笑)

しばらくすると3人グループも降りてきました。こちらも一安心。毛虫は大丈夫だったかな?夫と義母と話している私を見かけたJK母が「写真、撮りましょうか?」と言ってくれました。優しい。うれしい。もしかして心配してくれてましたでしょうか?投身しててないですよ。私は元気です。という気持ちで夫と義母と私で3人の写真を撮ってもらいます。離れたところで見守ってくれている祖父。とりあえず前髪が気になるJK。写真を撮ってもらっている間に名前も知らないこの3代の親子を眺めていたら、とても愛おしく思えてきました。みなさん、お元気で。

駐車場近くにある巨大な吊り橋を真ん中まで歩いた義母が撮りました

19:00ぐらいに夫の実家に到着。もう何か作ろうと言う気力は残っておらず外食しようという話になりました。何を食べるかでひと悶着ありましたが、それはまた別の機会に。とりあえず、私が行ってみたかったお店でハンバーグをいただきます。うまし。疲れた義母が心配でしたが、しっかり完食していたのでよかったです。

ギュッと肉が詰まった豚肉ハンバーグ

この長い一日で私が感じたこと

GWの一日の出来事をここに書き残してきましたが、私が感じたことも綴っておこうと思います。

ちょうど去年の今頃。意図せず11年働いた会社を辞めることになり専業主婦になってしまいました。仕事しながら数年前からプロの脚本家デビューを目指してコンクールやコンペなどに挑戦してたけど、なかなか結果は出ていなかったので執筆時間ができてうれしいなんて思ったのは、ほんの少しの間だけ。会社に切られたメンタルダメージを回復しながら本当の自由じゃない自由時間をセルフマネージメントするのは難しく、ほとんどボンヤリして過ごす日々でした。
別に誰に求められているわけでもないのに、今さら抱いたプロ脚本家デビューの夢。年齢も上がって猶予はない。

夫の運転で連れて行ってもらった鍾乳洞。中に入るまで長い坂道を上って更に螺旋階段を登り、辿り着いた先で見た「緊急出口」の看板を前に、出口を選ばずに進むことにした私。
今までの人生で「出口」を選んだことは何度かあったように思い出しました。もちろんその選択が間違いだったとは思っていません。
今は夫が文句を言わずに支えてくれて、脚本の勉強に時間もお金も費やした。実は「緊急出口」が見えていますが、今はやるしかないと覚悟を決めて一粒万倍日に開業届とインボイス登録を申請しました。極小案件はありますが、大きな案件は受注できてません。(副業でも申請した方がいいみたいだから、経費計上のためってことで。)

この先にどんな「出口」があるんだろう。奥へ進むのも出口を選ぶのも自分次第です。その「出口」はもしかしたら「入口」かもしれない。牛肉は美味しいけど、たくとみで食べた豚肉ハンバーグだって美味しかったし。
身体中の筋肉に乳酸をためながら、様々な「出口」と「入口」を選んで、この先も生きていきたいなと思ったGWの一日でした。

駐車スペースを邪魔する勢い。どんどん増えてます

義母宅の玄関先で咲き乱れている花。花の名前を聞いたら「花の名前なんていっぱいありすぎて覚えらんないわよ」とのこと。なんか名言っぽいですね。お義母さん。

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