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円安で見るのは【値段】ではなく【価値】なんだと思う。

この記事は当店のオンラインショップでお菓子を召し上がっていただいている方用に当店の今後を書いてみたものです。
当店のことを知らなかった方でも【一料理人が見る円安と物価高】に対しての見方を見ることができると思いますのでここに書いてみたいと思います。



円安で本当に考えなければいけない料理人の視点

生活していてもお菓子を作っていても、確かに物の値段は上がっているし、それ以外の包装や燃料費も高くなっている実感があります。

物価高となると多くの飲食店が【どうやって値上げをしようか】と考えるところですが、今回の僕は少し違います。

僕はこれまでオンラインショップで自分の作りたいもの、自分が今後挑戦していきたいものを実際に形にし、多くの皆様にお召し上がりいただきました。
これは本当に奇跡的なことだと思っていて、延べ約1600人の方にお召し上がりいただき、そのうち1160人(9月21日現在)の方から大変嬉しいご感想をレビューにていただいています。
僕が好きなことを好きなようにやって皆さんにお金をもらって召し上がっていただけたことも今までの実績だと思いますが、
ここまでやってきて物価高や円安の影響を大きく受ける中で、僕自身ものづくりに対しての考え方が少し変わりました。

それは(物価高の中、僕は今後の生活をどうするか)と考えたことがきっかけでした。

いろいろなものの値段が上がり外食を控えていくのではないか、と考えた先に大きく被害を受けるのは実際にお店をやっている僕ら料理人です。

日々の食材や生活消耗品類が高くなっていく中で、1番のコストカットを実行するのはきっと食べ物です。

それはきっと段階があり、①外食を控える→ ②高い食材を控える→ ③安くてたくさん入っているものを仕入れる。

だと思います。それは料理人であろうがなかろうが、きっと生活の質を抑えるためには誰もがそうすると思いますが、その中でも少しでも楽しい思いをしたいと言うのは多くの皆さんの希望だと思います。

僕ら料理人はお菓子や料理を一般的に販売し、売り上げを立てる職業ですが、それはあくまでも売り上げを立てるための1つのツールであり、それ自体がビジネスの本質ではありません。

しかしながら他の道が見えていないとそれ自体がたった1つの方法のように見えてしまい、物価高や円安の影響を受けると自ら使っているツールにそれを転嫁しようとします。

きっとそれが(飲食店の値上げ)に隠された心理で、今回の僕は全く違うことを思いつきました。

僕は今まで自分の作りたいお菓子を作って皆さんに召し上がって貰いました。
しかしながらそれは意外と多くの人がやっていることだし、何ら特別なことではありません。

僕はこれから先今までにいただいたたくさんの評価をもとに皆さんの(朝食)を提案できて行けたらと考えています。

当店でお菓子をお召し上がりになる多くの方はお子さんのいらっしゃらない、もしくは手のかからない位成長された親御さんであり、物価高の影響こそあれど少しだけ余裕がある方だと僕は認識しています。

生活のために絞らなければいけないけども、息つく楽しみは欲しいと思っている方が多いと思います。

僕には今小さな子供がいますが、自分が20歳今よりも歳をとったときに何を楽しみにするかと考えると、きっと朝食を豊かなものにしたいと思うと考えたのです。

自分たち夫婦2人のために朝から一生懸命料理をするつもりはない。しかしながら1日の一番最初の大切な食事を豊かにすることで、その日1日を大切に力強く生きることができる。

僕は今後何かを絞る代わりに何かを少しでも豊かにしたいと言う気持ちに少しでも手助けできるような料理を考えていこうと思っています。

具体的に言うとレストランのクオリティーで仕上げたスープやパン。朝食から楽しんでいただける優しい味付けの料理をお届けして、毎朝の楽しみを作っていただければと思っています。

物価高や円安の影響も確かにありますが、僕自身このままお菓子を続けていて良いのだろうかと考えた矢先に思いつきました。

この考えの本質は(お菓子から料理に切り替える)と言う簡単なものではなく、興味を引くような商品から人の生活を豊かにするスタイルの提案だと考えています。

もちろんお菓子作りは好きだしアイディアはまだもう少しだけあるのでチャレンジすることもあるとは思います。

今後はお菓子でも料理でも作るのであれば(食べるときどんな気持ちになるか)を意識しながら考えていきたいと思います。

今までの僕は正直に言うととても単純にお菓子作りを考えていた気がします。
これを作りたいから作る。これを紹介したいからする。と行動自体に理念が少なかったような気がします。

円安の影響や物価高の影響は確実に飲食業界を苦しいものにします。
それはきっと僕も同じことで、僕も同じような影響受けるだろうし、そもそも僕みたいなスタイルは皆様からするとアイディアがなくなった瞬間に飽きて終わりです。

今まではもしかしたら新しいお菓子を考えると言う事は(飽きられないように努力している)だったのかもしれません。

僕自身きっと飽きられる事は遅かれ早かれ必ず来ます。
その前に自分が長年の料理人人生で培った能力を、単純に(販売するための技能)として使うのではなく、人の生活をしっかりと考えてみてどこに僕が手伝えるところがあるのかを考えて今後は行動していきたいと思います。

少しだけ当店のオンラインショップのメニューが変わります。合わない方もいらっしゃるかと思います。

でも少しずつでもいいからお菓子でも料理でも人の生活に楽しみを与える理由を彼らに作っていきたいと思っています。

今までの機械生産をマニュファクチャーでやっていたような自分の思考回路はとても反省しています。
人間なんだから人間のことを思って今後自分がやってきた料理スキルを生かしていきたいと考えています。

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働きたい飲食店を目指して目標に進んでいます。