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【スネ夫的コミュニケーション考察】「あざとくて何が悪いの?」と訊かれたら、「アサーションじゃないから」と答える。

結論。
スネ夫的なあざといコミュニケーション術
『息苦しい人生を送る』
非合理な決断なのです。


どうも
安全・安心と絆でつながる
キャリアコンサルタント
のタルイです。


ご存知の方も多いかと思いますが
これからのビジネススキルに
アサーションは必要です。

「アサーション(assertion)」とは、
「自己主張」という単語の意味です。

相手と対等な立場に立って自己主張をする

そのためのコミュニケーションスキルです。


例えば、あなたがレストランで食事をしたとします。
そこで自分が注文した料理と違うものが提供された場合
あなたなら次のどの対応をしますか?

①店員に文句を言う
②何も言わず、出てきたものを食べる
③店側に配慮しながら、取り替えてほしいと頼む

この場合ですと
③の対応がアサーションなコミュニケーションです。


そもそもアサーションの考え方は、

1950年代に「行動療法」という
心理療法の中で提唱されました。

当初は自己主張が苦手な人を対象とした
カウンセリング技法として実施されていたのです。

そして、
1960~70年代に起こった
アメリカにおける黒人差別に対する
人権運動が活発になるにつれ

人は誰でも自分らしく生きる権利がある

とするアサーティブの考えと行動は、

抑圧されてきた人々が適切に自己主張し、
声をあげる方法としてさらに発展してきました。

やがて、
女性差別に対抗した1970年代の女性解放運動にも
引き継がれていきました。


その後、
アメリカでその理論を学んだ平木典子さんが
日本へ紹介し日本の風土にあった方法で
実践を行っているのが今日です。

https://www.nsgk.co.jp/kojin/at/koushi


また
日本の多くの先進的企業は
アサーションを取り入れてます。

▼こちらはANAさんの事例です。


さて、本日お伝えしたい問題点は…

このアサーションが日本で紹介されて
久しいのですが

なかなか広く世間に浸透していないことです。

そうです。
これはミステリです🤔


僕は常々思っているのですが…

大多数の日本人は「アサーション」な
コミュニケーションではなく

「スネ夫的なコミュニケーション」こそ
賢い選択だと考えているからではないか?



アサーションが
相手と対等な立場に立って自己主張をする。

これに対して
スネ夫的コミュニケーションとは

作為的に相手の気持ちを表面的にわかったふりして
自己主張は相手とのパワーバランスと
時と場合を忖度するとあざといコミュニケーション術です。

つまり…

大人のフリが上手な人が、大人なだけだよ。

って、考えてると思うのです。

出典:https://doraeiga.com/2019/


でも、ここで一緒に考えてください。


大人のフリをすることが
本当に賢い選択なのでしょうか?

子供から大人になる定義は
人によってそれぞれだとは思います。

ですが、
子供時代より考え方が
成熟していくことが
大人になることと考えるのが一般的かと。


それでは
成熟したコミュニケーションとは何か?

私はok、あなたもok


この関係性ではないでしょうか。

自分のことを大切にして
かつ、自分の気持ちも
ちゃんと相手に伝えること

それでいて
相手のことも同様に大切にする
コミュニケーションスキル。


果たして
スネ夫的なコミュニケーションで
私もok、あなたもokに
辿り着けるのでしょうか。


ここから
アサーションが浸透しない3つの理由についてと

最後に、アサーションをおすすめする理由を書きます。



◆【アサーションが浸透しない理由①】スネ夫的コミュニケーションの立ち位置がよくわかない。

僕は常々思っているのですが…


スネ夫的コミュニケーションは
このアサーションの概念には存在しないようなのです。


アサーションの基礎をつくった
ジョセフ・ウォルピ(Joseph Wolpe)さんです。

ジョセフ・ウォルピ(Joseph Wolpe)


で、ウォルピさん曰く
自己主張は3つのパターンがあるそうです。

●攻撃タイプ(アグレッシブ)
●非主張タイプ(ノン・アサーティブ)
●自他尊重タイプ(アサーティブ)


この3タイプは
日本ではよくアサーション解説するときに
国民的アニメ「ドラえもん」のキャラに例えらます。



●アグレッシブ(攻撃タイプ)

ドラえもんで言うところのジャイアンです。


●人に弱みを見せることにためらいを覚えがち
●人のミスや良くないところを指摘することが多い
●自分の思った通りに物事が進まないと腹が立つ
●人への主張が激しくなりやすい
●自分の意見を否定されたとき、強く怒ってしまう

思ったことをズバズバ言ったり
大声を張り上げたりと

自分の意見は主張するものの、
相手の気持ちや意見を尊重しないために
自己中心的に見えます。


勝ち負けで物事を決めて
「今後関わりたくない人」と
思われて避けられるようになります。

また精神的に幼い面も否めません。

このようなコミュニケーションスタイルが多い人の根底には

「自己否定的な感情」があるとも言われます。


●ノン・アサーティブ

ドラえもんで言うところののび太です。


●人前に出たり意見を言ったりすることが苦手
●自分に自信を持つことができない
●人に合わせて行動し、自分の意見を押し殺してしまうことがある
●人に認めてもらいたいと強く思うことがある
●人に自分の意見を否定されたとき、強く返せず受け入れてしまう

自己主張が控えめ、もしくは苦手
物静かな性格といった印象

曖昧な言い方でかわすことを好み
一見相手を思いやっているように見えますが
後になって不満を言っていたりと
言い訳が口癖になっています

このスタイルの人の多くが

「自分がしている気遣いは相手も返してくれて当たり前」

と思い込む傾向にあります。

相手が自分と同等の気遣いを
返してくれないと不満に思います。



●アサーティブ・タイプ

ドラえもんで言うところのしずかちゃんです。


●人に対して自分の正直な気持ちを話すことに抵抗がない
●いつでも能動的に行動できる
●人が大勢いる場所でも自分の意見が言える
●得意なタイプではない人とも自然に話せる
●自分を否定されてもネガティブにならず、人の意見を受け入れられる

アサーティブネス(Assertiveness)とは、
自分も相手も大切にする自己表現という意味です。

自分の気持ちを率直に伝えつつ、
なおかつ相手の気持ちも考えられる

▼図にまとめてみました。


Q.さて、いきなりですがここで問題です。

スネ夫はこの図でいくと
どこのポジションでしょうか?

●攻撃タイプ(アグレッシブ)?
●非主張タイプ(ノン・アサーティブ)?
●自他尊重タイプ(アサーティブ)?



正解はこちら▼

アグレッシブだが
ジャイアンほど攻撃的ではない
コミュニケーション。

あえて日本語にするならば
「あざといコミュニケーション術」
としましょう。

そしてその本質は
「私もokじゃない、あなたはokじゃない」なのです。


よって、

アサーションにおける3つの自己表現は
日本ではスネ夫が加わって4つなのだと思います。

●あざといタイプ

●自分の意見を主張せず、他人の意見を優先させることもない
●表立った強い自己主張や対立などはしない
●裏で陰湿な攻撃を繰り返す。
●一見、中立的に思えますが、実は攻撃的タイプ
直接言葉で主張することがないこと。
●自分の意見を相手に察してもらうことで伝えようとします。
●直接主張しないため、伝わらないことや誤解されることもありストレスを感じる

一見受身のように見えて、
実は攻撃的な性質も併せ持つという、
二面性を備えているのが大きな特徴になります。

このタイプの人は自分にも他人にも不誠実であり、
心の中では相手を攻撃したり
見下したりしている場合が多いです。


そして大多数の日本人は
スネ夫的なコミュニケーションを
ベストではないにしろベターと考えている。

これが現状ではないでしょうか。



ウォルピがスネ夫タイプを
見落として考えたのか?

それとも
欧米にはスネ夫タイプが
いないのか?

この真相もミステリです。

「Why Japanese People!?」



ここまでをまとめると
ジャイアン、のび太、スネ夫。

上に挙げたこの3つのタイプは、
いずれも自己中心的だということです



◆【アサーションが浸透しない理由②】あざといが肯定化されている現代だから

https://cancam.jp/archives/735659

もう一つ
僕は常々思っているのですが…


日本ではいつから「あざとい」ことが
肯定されたのでしょうか。


この日本語には
少し違和感を持っています。


▼こちらの記事によりますと


苦手だと感じる男性が6割でしたが…

それ以上に実に4割の男性が支持されているのは驚きです😅

逆に、「あざとい」と思う男性について
女性からのアンケート結果も知りたいですね。

さらに記事の内容を引用します。

Q.あざとい女性はどんな女性?

【1】ぶりっ子
【2】媚びる女性
【3】態度を変える女性
【4】誰にでも気を持たせる女性
【5】恋愛対象にしない女性
【6】思わせるだけ
「あざとい!」と思う女性の行動やしぐさ13

【1】自分の可愛さ全開
【2】作られた声や表情
【3】バレバレな嘘
【4】惚れる仕草や表情
【5】わざとらしい
【6】オーバーすぎる
【7】服装
【8】飲み会で
【9】男性に好かれようとしている
【10】体を触ってくる
【11】目線
【12】自己中心的
【13】天然ぶる


この記事を読んで思い出しました。

これは僕に起こった
ある婚活エピソードです。

そう、あれは
とても風の強い、寒い寒い季節のことでした。

とあるカフェの前で待ち合わせして
店内に入り
その女性がコートを脱いだらびっくりです‼️

真冬なのに、
ノースリーブのニットのミニワンピースの出立ち

私が童貞だったら、
うっかり殺されそうな服を着ていたのです。



さらに会話がはじまると

定番の上目遣いから
さりげないボディタッチに
髪の毛を耳に掛ける仕草だったりと

その当時テレビで話題になっていた
重田みゆきさんの「モテ仕草」を

私の目の前で披露してくれました。


僕は常々思っていたのですが、

モテ仕草というのは
てっきりテレビ向けのコメディショー
だと思っていたのです。

(そもそも人生の伴侶に対して
あざとさを求める需要は
100人中何人ぐらいなのだろうか🤔)


このように思考の渦に落ちてしまい

思考が追いつかず
会話が止まってしまいました。


予定の時間が1時間でしたが
巻きに巻いて30分でカフェを後にしました。


いま振り返って思います。

当時、アサーションなコミュニケーション術を
体得していれば
別の対応があったかもしれません。



◆【アサーションが浸透しない理由③】アサーションのテクニックに走りがち

そろそろウザがられるかも知れませんが
僕は常々思っているのです


日本におけるアサーションの認識は
いささかテクニック偏重の傾向にあると。

それともアカデミック過ぎるといったほうがいいでしょうか。

例えばこちらのアサーションの主要テクである「DESC法」

相手の感情に流されずに自分の意見や思っていることを
相手に伝えるコミュニケーションのテクニックです。

DESC法
1. Describe(描写する)
2. Express(説明する)
3. Suggest(提案する)
4. Choose(選択する)

まず、英語の頭文字を単語に戻して
さらに日本語に直して説明するめんどくささ。

しかも「描写する」と「説明する」の違いは
日本語でも良くわかりません😅

このままではわかりづらいので
「DESC法」を日本語に直した指導すればいいと思うのです。

その名も「みかんていいな」

【み】みたこと
(客観的事実・状況)
【かん】かんじたこと
(自分の気持ち)
【てい】ていあん
(提案)
【いな】いな(否)
(可否を尋ねて否定された場合の対案)
提案者がわかりません。誰だか教えてください💦


例えば、冒頭で説明した
レストランで間違った商品が提供されたシーン

活用の仕方は

【み】お忙しいところすみません。
【かん】どうやら私の注文した商品と違うようです。
【てい】すぐに作り直していただけるのなら待ちますが
【いな】難しい場合は伝票を直していただければ、このままで構いません。

うん。とても大人な対応ですね。
アサーティブです。

スネ夫だったら、相手の弱みに付け込み
ここであざといおねだりを期待するところですね。


あの当時、この「みかんていいな」を使えて入れば

お見合いでも相手に失礼のないように
自分の気持ちを伝えられたかもしれません。

【み】なかなか刺激的なお洋服ですね。
【かん】私が童貞だったら、うっかり殺されそうです。
【てい】ただここでは刺激的過ぎるので、店を出て外でお話ししませんか?
【いな】ただ今日は寒いので、後日タイミングが合えば改めて…

…あれ?なんか違うな。

これは暗にお断りしたい主張が強めに出ちゃってますね
スネ夫っぽい、あざとい断り文句です🤔


このように一見「みかんていいな」風でも
伝わる内容がノンアサーティブになってしまうこともあるのです。
なぜか?


この違いは「共感」にあります。


レストランでの事例は、
伝える相手である店員さんに
「あなたも忙しい時に大変だ」と寄り添って
共感を伝えてます。

ところがお見合いの事例ですと
「なかなか刺激的なお洋服ですね」
「私が童貞だったら、うっかり殺されそうです」


と、観て感じた通りのことしか主張してません。

どちらかというと「嫌味」を打ち明けてます。


「アサーション」とは直訳すると
「主張」であり「断言」なので
勘違いされやすいのです。

それに現状ですと

アサーティブネス」
「アサーティブ・コミュニケーション」


といった
これらを意味に該当する日本語がないのです。


よって、
そのままカタカナ語で用いられていると
日本語に意味がちゃんと理解されていないと考えられます。


仮にこの場で定義するとしたら

「アサーティブネス」とは
共感を伝える主張であり

「アサーティブ・コミュニケーション」とは
互いに共感を伝え合うコミュニケーション術。


まずはじめに「共感」ありきで
会話の最初には「説得」ではなく、
自分自身の状況を相手に説明することです。

また、ありがちな勘違いとして多いのは
「自分が正しいと思うことを語れば説得できる」
です。

そもそも「正しさ」とは、
それを見る角度、見る立場、見る人の気分で変わってしまうのです。

説得の場面で大切なのは、
自分の伝え方が「相手に正しく聞こえること」であって
「自分が正しいこと」ではないです。


「あなたもOK、私もOK」の精神とは
互いに共感を紡ぐ精神であると言えますね。


◆【まとめ】スネ夫的コミュニケーションは共感されないから「生きづらい」だけ


ここまでをまとめます。

今回のテーマは
日本でアサーションが浸透しないのは

スネ夫的コミュニケーションが
大人のコミュニケーション術

これが暗黙知になっているからではないのか?

その理由としては

●スネ夫的コミュニケーションの立ち位置の認識が欠けている
●あざといことが肯定化されてる
●アサーションのテクニックに走りがち

つまりは
アサーションの本質である
「共感」が伝わってないのが問題です。



もしも共感を持って
スネ夫にアサーティブに伝えるとしたら
考えてみました。

出典:https://doraeiga.com/2019/


大人のフリが上手な人が大人だだけだよ


そうなんだ。
スネ夫はそう思っているんだね

でも、そんなことを言うスネ夫は
なんだかとっても寂しそうに見えるよ。

スネ夫。
たぶん大人のフリって
相手に共感しているようで

実際には、そこまで相手のことを
考えたりしていないだけなんだと思う。

会話のキャッチボールをしているようで
ドッジボールをしているんだよ。


これだと相手もスネ夫のことを
共感しようなんて考えない。

このままだと
どんどん孤独になって
生きづらく感じてしまうよ。

まずは、
大人は大人のフリをしているだけ
なんて決めつけずにさ

ちゃんとしてる大人を探してみようよ。

僕も一緒に探してみるからさ。

大人探しが
大人になるってことじゃないかな。



▼「共感」についての詳細は
こちらの記事内のミラーニューロンを参考にしてください。



最後にアサーションの
普及を願う理由を書きます。

それは働く人にとっても、
企業にとっても、

アサーションを取り入れるほうが
合理的で生産性が高いからです。


例えば、前述しました
ANAでのアサーションの活用法では

本書のタイトルである「ANAの気づかい」とは
言いやすい雰囲気をつくるアサーティブな活動のことです。

ANAではパイロット同士がアサーションを活用するところから始まりました。

航空会社の至上命題は「安全」です。

その安全のためには
「機長 → 副操縦士」の方向だけでなく、
「副操縦士 → 機長」の方向にも

情報がしっかり伝わるように
上司側も気づかいをしているのです。

アサーションを使える人材は
「仕事ができる人材」になるです。

このアサーティブ活動はのちにCAの方達も活用され
ANA全体に浸透しました。


アサーションの基本である
「否定しないコミュニケーション」は

現状いおいて
コミュニケーションの在り方について

個々人の判断に任せて
明確に示している企業は少ないと思います。

しかしチームとして生産性を上げるためにも
コミュニケーションのあり方については
明確に定めておくと良い循環が生まれると思います。

従業員が働きやすいコミュニケーションを会社として目指す。

こうした目標があるだけで、
組織のコミュニケーションのあり方は
変化していくのかもしれません。


前回ご紹介しました「アンガーマネージメント」

怒るべきときはうまく怒り
怒るべきでないときは
怒りを抑えるコツを身につける

でしたね。



そして今回の「アサーション」

今後この2つは
働く人の必須スキルになると考えてます。

コミュニケーションの取り方によっては、
感情的・攻撃的になるあまり
お互いに後味の悪い思いをしてしまったり、

あるいは反対に自分の意見が伝えられず
後悔してしまうことがあります。

しかし、アサーションスキルを高めることによって
不要な対立を回避できるだけでなく、

より良く有意義な議論へと
発展させることもできるようになるのです。

日本の職場がアサーティブに変わっていくことを
望んでやみません。


最後までお読みいただき
ありがとうございました。

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