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食と健康コラム

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徒然なるままに食と健康について思うことを綴る場所。
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記事一覧

尿酸対策サプリを一年飲んだら、尿酸値が下がったお話

タイトルを読んで「どのサプリメントを摂っていたのか知りたい!」という方。 ちょっと一旦落ち着いて最後まで読んでほしい。 そして先に伝えておくと、私はPR系のインフルエンサーではないので、残念ながら最後まで読んでもその健康食品の商品名まで明かすことはない。 ただ、健康食品の正体よりももっと大事なものを持って帰ってもらえるはずなので、ぜひ読み進めていただきたい。 一食品研究者が尿酸と向き合った一年間の記録である。 時は遡り2023年私も年頃になってきて血液検査の結果で境

食品の健康効果を確かめる(入門編)

コラーゲンは美肌に良い ビタミンCは風邪に効く プロテインは運動後に摂ったほうが良い 食品の効果効能の情報は巷にたくさん溢れています。それら一つ一つ正しいか正しくないかを確かめるのも大変ですし、日進月歩のこの世の中全てを知っている人なんていません。 じゃあどうすれば良いの?? 今回のお題は食品の効果ってそもそもどうやって確かめているのか、その方法を知ることで対策をとりましょうと言うお話しです。 もしあなたが効果を確かめる方法をあまりよく知らないのであれば、その方法がど

なぜ栄養と機能性では盛り上がりの格差があるのか

現在新幹線で移動中の私。 暇な2時間の持て余し方として、ネットサーフィンするくらいなら食と健康について言語化してみよう!ということでタイトルのお題について考えてみる。 まず、栄養と機能性の違いについては、以下のコラムを参照にされたし。 これを理解した上で、じゃあ何がこの二つの格差を生んでいるのか? 格差とは?そもそも格差があるというのもあくまで私の印象なのでそこはご容赦いただくとして、私の中では以下のような格差を感じています。 ・産業界の盛り上がり 機能性表示食品が

健康の定義

「朝ごはんを抜くと健康によくない」 そんな話を聞いた頃ありませんか。他方 「朝ごはんは胃がもたれて不快だから健康に悪い」 こんな声も聞いたことがあります。結局朝ごはんは良いの?悪いの?どっちなの?! この二つの見解の違いを観察するに個人差はもちろんありますが、それ以外にも「健康」という言葉の捉え方の違いからきてるんじゃないかと、私は思うわけです。 健康食品というジャンルについて『健康食品は疾病の治療や予防目的ではなく、健康を増進するもの』だと説明されることが多いです

腎臓結石の疑いがあって念のため紅茶を控えるように言われたそのとき、食品研究者の私の頭に思い浮かんだ一抹の不安と疑念を言葉に残しておく

プロローグ先日の人間ドックで、エコーの結果腎結石の疑いというという、絶対その先の尿路結石に進みたくないという状況に追い込まれ、泌尿器科に駆け込んだのですが、再確認したらなんら問題ないとのこと。ふー。 医「でも小さいのが見えなくもないので、普段から水分摂取を意識するのと、シュウ酸を多く含むほうれん草とか紅茶は摂りすぎないようにしてくださいね。」 ほー、シュウ酸ですか。気をつけよう、うんうん。 しかし、私の中である疑問が生まれます。 なんで紅茶なん?? 紅茶がダメって言

「食品添加物は体に悪いんですか?」という質問に対する回答を直感と論理の枠に当てはめて考える

これに対して、いろんな方から意見をいただき、私色々頭を巡らせておりました。 直感に訴える方法と論理に訴える方法の2パターンあるなと。伝える相手の心に響かせ行動を促すことを考える際にはおそらく両方のバランスが重要。 ということで、「食品添加物が心配なんですけど大丈夫なんですか?どうやって避けたらいいですか?」という質問への答えを直感バージョンと論理バージョンで考えてみます。 皆様からの意見もふくめここにまとめていきます! 本題に入る前に直感と論理 こちらの書物で有名な

酵素に期待する人は酵素に何を期待できるのか

発酵食品、それは伝統的で洗練され体にも優しい食品という幽玄な響き。 発酵の「酵」の字ってなんだろう・・・酵素の酵か・・・じゃあ酵素も体にいいんだね! という単純な話ではございません。 でも酵素を売りにした健康食品とかドリンクとか色々ありますよね。じゃああれは一体意味があるのか?ないのか? そんな酵素のお話を紐解いていきます。 ちなみに、今回はいつものように最初に簡潔な結論を書くのは諦めました。端的にいうと酵素である意味ねぇよって言いたくはなるんだけど、もうちょっと多

食における人工と天然の概念と幾らかの考察

人間とは理解するために単純化したがるもの。 善か悪か、表か裏か、男か女か、関東か関西か、賃貸かマイホームか、きのこかたけのこか、そして人工か天然か。 みんな二元論的な議論や対立が大好き。確かに、人間は4次元空間を想像できないことからもわかるように、多くの因子を同時に認識するのは難しい。 でも、そんな単純化して本当にいいの?ていうかその二つで合ってる?というのが本日のお話。 食品の文脈における人工と天然に関する議論はすでに出尽くされている感もありますが、私の考えをまとめ

カフェインの科学 図解をもっと詳しく解説してみた

今を遡ること1週間前、こちらのツイートがおバズり遊ばれました 「この図に関して中途半端に解説してしまうと同業他社に迷惑をかけちゃうので、読み取り方は各人判断してね」というスタンスなので、あえて言葉すくなく載せてますが、本当はもっと知ってほしい!!でも140字じゃ足りない! ということで、この図をもっと楽しむために見るべきポイントや誤解を解くための解説をしてたらなんと5000字超えました・・・。暇な時に読んでみてください。 一番言いたかったことあえて触れずに来てましたが、

発酵はなぜ人を魅了するのか(前編)

発酵食品 なんとはなしに素敵な響きです。なんでだろう? ・体に良さそう ・美味しそう ・文化的っぽい ・人智を超えた何か この辺りを想起するきらいがあります。 発酵食品がなぜ魅力的なのか、色々考えてみました。 発酵とは発酵食品の前にまずは発酵とは何か? 狭義(生化学のハナシ)でいうと、「生物が栄養素として取り込んだ有機物を酸素を使わずにエネルギーにする過程、ということでWikiの項目もそうなってます。 ですが、発酵食品に関して言えば広義の意味で使われることが通常

グルテンフリーという響きから得られる快感とその実態

○○フリー、○○ゼロ ○○には大抵体に悪そうなものが書いてあります。 カロリーゼロとか糖類ゼロとか明らかに摂りすぎたら体に良くなさそうなものなら、確かにアピールになりそう。 コレステロールフリーなんてのもありまして、(植物油に書いてあるとそりゃそうだろとなりますが、(まあそれはそれで知らない人もいるので))一定の役割はあるんでしょう(知らんけど) 添加物フリーもあるかな?添加物が体に悪いのかは一旦置いておいて(以下のコラムをご覧ください)、それを求める人には大切な表示

食品添加物と私

しばしば悪者にされがちな食品添加物。 食品企業に勤めている人は添加物まみれの自社製品を実は避けているとか、ソースはなんやねんという言説も聞かれる今日この頃ですが、そんな話を聞いてふと思ったのです。 私自身食品企業に勤めているわけですが、そういえば私自身食品添加物とどう付き合ってるんだろう?と。 そう考えた始めた時に自分自身の中に存在するいろんな属性ごとに議論が始まって、頭の中がカオティック状態。 じゃあその属性ごとに文字におこしてみよう!というのが本日の趣旨でして、

分子栄養学について調べてみた

Twitterの栄養界隈は大きく二つに分かれているらしい。 一つは管理栄養士を中心とした、食事摂取基準など活用しつつ、さまざまな独自性を持っておられる方々。世間一般的な栄養の専門家です。 しかしながらよくよく眺めると上記とは異なり、「分子栄養学」「オーソモレキュラー」と呼ばれる、別の集団がどうもいるようです。 とりあえずググってみると、、 うーん、予測変換が香ばしい。 これは調べるしかない!ということで、私なりに調べてみました。 結論「栄養学」とは現場で使える、す

機能性食品はこう調べる(後編)

前回までのあらすじ 機能性表示食品について調べようにも、本家のWEB サイトは分かりにくい・・・そこでわかりやすいサイトにたどり着いた筆者らはいろんな機能性表示食品を調べたり、お目当ての食品の情報を入手することができるようになった。しかし、概要を眺めるだけでは物足りない体になってしまった我々は、巣窟ともいうべき消費者庁のサイトに足を踏み入れるのであった・・・。 という冗談はさておき、後編行きましょう! ※根拠論文を知りたい人は「ついに論文にたどり着く」まで飛ぶべし!