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お茶の科学

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お茶という嗜好品を様々な角度から科学します。
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腎臓結石の疑いがあって念のため紅茶を控えるように言われたそのとき、食品研究者の私の頭に思い浮かんだ一抹の不安と疑念を言葉に残しておく

プロローグ先日の人間ドックで、エコーの結果腎結石の疑いというという、絶対その先の尿路結石に進みたくないという状況に追い込まれ、泌尿器科に駆け込んだのですが、再確認したらなんら問題ないとのこと。ふー。 医「でも小さいのが見えなくもないので、普段から水分摂取を意識するのと、シュウ酸を多く含むほうれん草とか紅茶は摂りすぎないようにしてくださいね。」 ほー、シュウ酸ですか。気をつけよう、うんうん。 しかし、私の中である疑問が生まれます。 なんで紅茶なん?? 紅茶がダメって言

お茶の科学 〜目次〜

普段は企業で食の研究を行なっている私が、科学的な視点で食品を斬っていくコーナー。 ずいぶん昔に、Twitterでこんなつぶやきをしました。 科学と一口にいってもいろんな分野があるし、食品での応用にもいろんなやり方がある。 これらが交わるところに食品の研究が生まれるわけですが、我ながら抽象的でわかりにくい! ということで、「お茶」という身近かつ研究も進んでいる(かつ私自身がちょっとは詳しい)ジャンルで具体例を出しながら、食品研究を語っていこうというのが「お茶の科学」のコ

お茶の科学 ~分類とカフェイン~

今回は趣向を変えて、本職の食品/飲料のお話 お茶を選ぶときにカフェイン/ノンカフェインを基準にする人は多いと思うけど、一つ一つ覚えるのはかなり難しい! そこで今回はお茶を分類して「どんなものがカフェインを含むのか?」その法則をまとめたので、へぇ~と思ってもらいつつ、ついでに簡単に見分けられるようになるかもしれません。 Twitterでは「食分類」というシリーズで色んな食品を色んな切り口で図解していたのですが、その中でも特にいいねが多かったのがこのお茶の分類 今回はこの

お茶の科学 ~カテキンの旅~

カテキンはどこから来たのか カテキンは何者か カテキンはどこへ行くのか(ゴーギャン) さて、今回はお茶と科学の第二弾 前回のおさらい お茶の基本的な製造の流れは「栽培→収穫→加熱(蒸すor炒る)→揉む→乾燥」。このうち、 ●栽培で被覆があると種類が変わる ●酸化の有無で緑茶、紅茶が変わる でしたね。 では、成分レベルでは何が起きているのか? 前回はチャノキ(カメリアシネンシス)という生物学的な話でしたが、今回は生化学的な観点でまとめてみました。 みんな大好

お茶の科学 〜カフェインの旅〜

カフェインはどこから来たのか カフェインは何者か カフェインはどこへ行くのか(ゴーギャン) 今回はお茶と科学の第三弾。冒頭に見覚えがあるけど忘れた人はこれを読もう。 カテキンと同じくらいかそれ以上有名な成分でもあるカフェイン。 避けられたり過剰摂取されたり。人類史に大きな影響を与えているというと言い過ぎかもしれないけど、誰しもがカフェインとのお付き合いを考えたことがあるでしょう。 そんなカフェインを今回は生化学的な観点でまとめてみました。 お茶のカフェインのこと