発達障害と詐欺~マルチ商法編~



発達障害者は騙されやすいのか

一般的に、発達障害者(特にADHD)は騙されやすい、と言われる。
様々な本に書いてあるが、人を疑うことをあまりせず、「言葉を言葉のまま受け取る」ことが原因のようだ。空気が読めない=その場に合わないサムいことを言うだけでなく、相手の醸し出す空気感にも気づかず、言葉のみを聞いて信じてしまうことが原因の一つのようだ。
かく言う私も20歳の時に失恋直後に高額なエステ契約(100万円以上)してしまったことに始まり、20万円以上の基礎化粧品セット、マルチ商法にも騙されそうになったこと、実際に騙されたこともある。
これを読んでくださっている発達障害を抱える方、また、自分も今後騙されないためにどうすればいいか考えてみた。

そもそもマルチ商法とは何か

マルチ商法はア○ウェイ、ニュー○キンなどに代表される、消費財を売るビジネスであり、自分が紹介した人が製品を購入すると、その分お金が入る、というものだ。消費財だけでなく、アロマオイルのドテ○などもあるし、古くは水やアロエのなんちゃらもあった。とにかく、古代からある商法なのだ。
そして、これは端的にいうと、「人間関係における信頼をお金に変えるビジネス」だ。
そう、信頼は時にはお金になる。そして、換金した後には二度と戻らない。お金で信頼は買えないからだ。
ここをまず肝に銘じることだ。マルチ商法で売るものは化粧品でもアロマでもない。得たお金は信頼をお金にしただけだ。

初対面で距離を縮めてくる人は100%マルチか宗教

初対面なのに、フレンドリーに話しかけてくれて、連絡先を交換、「今度一緒に遊ぼう」と言ってくれる(そして実際に誘ってくれる)、これはもう間違いなく詐欺だ。大人になってから人間関係を築くには労力もコストもかかる結構面倒な作業で、それをよく知らない人にしようとは普通思わない。何度か会って「気が合いそう」「是非長く付き合いたい」と思ったら話は別だが、初対面の時点ではまず思わない。それをしてくる=何らかのメリットが相手にあるのだ。
前述したように、マルチは人間関係を換金するもの、そのため、自分ではやりたくない(もしくは、もう換金しきってしまった)、となると「新しい人に(自分はノーリスクで)それをやらせるしかない」のだ。
初対面でやたらと距離を縮めてくるのは100%それが理由だ。
でも、新しい土地に引っ越したばかりで友達がいなかったり、上京して不安、というときにはひっかかりやすい。これは発達障害でなくてもそうだろう。だからこそ、これは過去の自分にも言いたい。
「何らか自分にメリットがあるやつしか話しかけてこない」

ホームパーティーは100%マルチ

そして、前述の彼女(彼)に誘われた先はホームパーティー。(もしくは、すごい人のセミナー。凄い人って誰なんだ)
ホームパーティーではみんながフレンドリーに話しかけてくれ、人気者になった気がする。自分以外のメンバーは元々知り合いなんだからそりゃそーだ。自分の情報は既にその場のメンバーには共有され、話しかけるようにマニュアルができている。そこで「仲間感」を共有し、ズブズブハマらせる作戦だ。
ちなみに、ホームパーティーの次は料理教室だ。ア○ウェイの鍋を使っていかにすごいか、宣伝だ。そいつらの仕事はア○ウェイ(詐欺)であって、料理のプロではない。教えるプロならYoutubeにいくらでもいるからそっちを見よう。鍋ならSTAUBの方が断然おすすめだ。50年以上歴史もある。調べたら結局ただの無水鍋なので、マジでSTAUBでいい。

お前らの言うすごい人っていったい誰だ

このホームパーティー、もしくはセミナーで紹介される「すごい人」、そいつは一体誰なんだ。まぁそのマルチグループの長なのでただの詐欺師野郎なのだが、それを崇め奉る数々の言葉…発達障害者は言葉を言葉のまま受け取るので、「そんなすごい人が!」と思ってしまう。
そこで、その言葉をもう一度繰り返してみよう。
「自分のビジネス」
「自由を手に入れた」
「何もしなくてもお金が入る仕組み」
→そう、言葉をなぞるとわかるのだが、一体こいつ何やってんだ?
お前の言うビジネスってなんだ?
ア○ウェイだのニュース○ンだの詐欺しかやっていないから当然なのだが、「ビジネス」の実態がない。
本当にちゃんとビジネスをしていたら、「最近手がけたプロジェクト」「自分の社会的役割」「自分のビジネスを通して目指すもの」このくらいの話は出来て当然だ。そんな話は一つもない。
すごい、という言葉に惑わされがちだが、具体的な話があるのか、あったか、言葉をよく思い出してみよう。

大手企業ではできない?そんなわけないだろ

ホームパーティー後、ア○ウェイ、またはニュー○キンだと種明かしされた後、製品の説明入る。
その時によく言われるのが「大手企業では原価が高すぎて使えない○○という成分を使っていて」「大手企業の話は全部断った○○という技術者が作った△△という成分が云々」などだ。
そんなわけない。特に大手企業の話は全部断った、とか、なんだ?それ。
どう考えても、資○堂からオファーがあったら普通そっちを受けるだろう。売る気がないのに作るやつなどいないでしょ。本当にいいものだったら資○堂も絶対に使う、大してよくないから使っていないだけだ。
もう一度書くが、大手企業は長い歴史と信頼、ブランドがある故、大手企業なのだ。そのお眼鏡にかなったものしか使わないし、絶対に使いたい技術・成分があれば大手企業の名に懸けて手に入れる。それをしていないならそれだけのものなのだ。

友達に声は絶対にかけない

前述したようにマルチ商法は「人間関係における信頼をお金に変える詐欺」だ。100歩譲って会員登録してしまったとしても、友達に対して声は絶対にかけてはいけない。
アップの人から「話を聞いてもらうだけ、それでやるやらないは相手が決めること」「あなたにやましい気持ちがあるから、声をかけるのをためらうのよ」「話してみて、嫌と言われたら『もう、この話はしないね』といえばいいい」と言われた?いやいや、信じてはいけない、アップは自分の友達に声をかけるわけではないのだから。
アムウェイ・ニュースキンを友人に勧めようと勧めまいと、話をしたした時点で友人にとって自分は「そういう人」であり、信頼を失ってしまう。そして失った信頼は取り戻せない。何度も書くが、信頼はお金になることもあるが、お金で信頼は買い戻せない。絶対に。
もし、話してしまったとしたら、誠心誠意謝るしかない。表面上は「いいよ~」と言ってくれるかもしれないが、信頼はもう失っている。それでも、何も謝罪しないよりはマシだ。
でもとにかく、友人に声はかけないこと、これは鉄則だ。ただでさえ発達障害者は友人が少ない。そんな数少ない友人を詐欺で失うなんて、こんな悲しいことはない。

おわりに

マルチ商法の流れ、危険ポイントをものすごく端折って書いてみたが、それでも長くなってしまった。まだまだ書けそうだ。
これを書いたのは、発達障害者は言葉を言葉のまま受け取る、つまり言語化した情報があれば頭に入ってきやすいのでは、と思ったからだ。
これを読んで「なんかおかしい」と思っているが、断り切れていない人や、今まさに誘われそうになって困っている人が一人でも多く逃げ出せたら本当に嬉しい。発達障害者が騙されやすいのは、性格ではなく、脳の問題であり、あなたのせいではないんだよ、ということも重ねて伝えたい。


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