見出し画像

升とハンズとブクロの雑踏。

今更ながら、池袋東急ハンズが無くなってしまった!

埼玉が巣穴

だった私にとって、東京というと池袋。東武東上線がドラマチックに滑り込む様は、それはもうズートピア。アメリカ映画オタクだったハイスクール時分、大型ブロックバスターを見るときは気合い入れて遠路、有楽町日本劇場、新宿ミラノ座などまで足を運んだが、それ以外は全部池袋でみていた。ハリウッド作品に限らず、ジャッキーチェン作品や、長渕主演のオルゴールとかも。楽しかった。

サンシャイン60通り

にジョイシネマがあって、シネマサンシャインがあって、テアトルダイヤ、池袋東宝があって、ついでにミスドとかピザ屋とかテッシュ配りとか、田舎者にはカルチャーショックなオマケ付き。ビックカメラの上には池袋東急、すげー並んでバットマン見たっけな。

「東京の雑踏#1」

ぴあで調べて、友達と映画見て、大戸屋さんでご飯食べて、ゲーセンふらふらして。思い出いっぱいの池袋なのだ。今も日本に帰る度に一度はブクロをブラりに行く。サンシャイン通りで録音した「東京の雑踏#1」も時々聞いたりしている。

青春の道草

映画見た後で食う道草に、東急ハンズがあった。サンシャイン通りにドーンってあって、なんか面白そうで、入ると大人な気分にもなった。カナダに語学留学する事になった時も、「日本っぽいくておもろいもの」を求めて、真っ先にここへ行った。わざとらしい唐草の風呂敷とか、小物入れとか、いくつか買った。

出番の無い役者

その中に、底に歌舞伎役者の絵を焼き付けた升があった。大きさも値段も雰囲気も、色々小気味よかったので買った。1991年の事。でもカナダ人から見たら、使い道不明のただの木箱だから、なかなかあげるタイミングがなくて、結局出番が無く、パッケージもそのまま、池袋→オタワ→サンダーベイ→トロント、の長い巡業中、一度も檜舞台を踏む事なく、ビニールぶくろの中に10年以上も眠ることとなる。

この升は現在、我が家の米びつの中にいて、家族が食べる米を毎日すくってくれている。もうこの仕事をお願いして15年になるかも知れない。歌舞伎役者の絵は少し褪せた気もするけど、しっかり歌舞いたまま。

あげるタイミングがなかったというより、本当はあげたくなかったのかも知れないな。

日本を初めて離れたあの日も一緒にいて、今でも青春の池袋を思い出させてくれる小さな可愛いヤツ。これからもよろしくお願いします。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?