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スイス留学での言語事情

あけましておめでとうございます。新年早々、日本からの悲しいニュースに胸を痛めておりますが、ぶれずに情報発信を続けていきたいと思います。

今回は、留学に際して考えないわけにはいかない言語のことについてお話ししていきます。

留学先の公用語を話せる必要があるか?

スイスの公用語は地域によって異なる

ヨーロッパの国で英語が公用語である国はイギリスとアイルランド、マルタのみです。ドイツではドイツ語、イタリアではイタリア語、フランスではフランス語、というように、その国固有の言語が公用語であることが多いです。

スイスの公用語はドイツ語、フランス語、イタリア語、ロマンシュ語の4つです。下図のように、公用語は州によって異なります。

スイスにおける公用語の分布。スイス政府観光局HPより

私が住んでいるチューリッヒ州はドイツ語圏です。ドイツ語と言っても、実際には「スイスドイツ語」と呼ばれるくらい、ドイツの標準ドイツ語とはかけ離れているようです。実際、ドイツ人の学生に聞いてみても「ドイツ語とスイスドイツ語は違う言語」ということでした。

表記は公用語が基本

食品の包装などにはドイツ語・フランス語・イタリア語の3つが記載されていることが多いです。

パスタの袋に記載されている説明文。上からドイツ語、フランス語、イタリア語となっています

街中の看板や、役所から送られてくる文章などはすべてドイツ語で、英語記載はありません。Google翻訳のカメラ入力で英訳すれば読めるので、手間はかかりますがドイツ語が分からなくても対応できます。

基本的に英語は通じる

一方で、スイスでは45%以上の人が英語を話すとされています。ドイツ語圏ではこの割合がもっと高いと考えられています。したがって、英語は通じると言っていいと思います。

実際、チューリッヒへ引っ越して、役所や郵便局、銀行などいろいろなところで手続きをしましたが、すべて英語で問題なく対応していただけました。
特に都市部では、英語はほぼ通じると考えていいと思います。

公用語を話せなくて困ることはあるか?

私の知る限り、ドイツ語を話せなくて困ることはほとんどなさそうです。
私が滞在しているETH Zurichには多種多様な国から人が集まっているため、ドイツ語が話せない人の方が多数派です。ドイツ語を話せなくて困った経験があるか同僚に聞いたことがありますが、あまり思い当たることがないようでした。
大学でのコミュニケーションはすべて英語です。食堂の職員の方に英語が通じないこともありますが、メニューの名前を言ってあとはキャッシュレスで決済できるので全く問題ないです。
ちなみに、学部と大学院以上では事情が違うみたいで、学部はスイス出身の学生が多く、学生どうしではドイツ語でコミュニケーションを取るようです。
スーパーのレジの人はドイツ語しか話せないということもありますが、たいていの場合は会話なしでもなんとかなります。セルフレジが多く、英語表記もあるので特に問題は起こりません。

スイス留学での英語事情

多種多様なアクセント

様々な国から人が集まるということは、母国語が異なる人どうしで英語を使ってコミュニケーションをするということです。必然的に、それぞれの母国語の影響を受けた発音・アクセントが英語に現れてきます。母国語のアクセントが近い言語どうしで話すと問題なく会話ができますが、アクセントが大きく異なる場合には慣れるまで会話が結構大変です。
面白いのは、相手の英語を聞き取りずらいと感じる場合、たいてい向こうもこちらのアクセントを聞き取りずらいと感じていることです。これは私自身も経験しましたし、他の人の会話を見ていてもそのように見えます(よく"Sorry?""What?"などと聞き返しているときは、アクセントの関係で聞き取るのに苦労しているのだろうと思っています)。逆に言えば、ちゃんと聞き取れる時には相手も自分の英語をわかっている可能性が高いです(よほどひどいアクセントでなければ、ですが)。

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