岩戸リンドウ

流浪のゲームクリエイター。16年選手。企画、シナリオ、レベルデザイン、なんでもやる。

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「斜めから見る: 大衆文化を通してラカン理論へ」紹介

スラヴォイ・ジジェク著『斜めから見る: 大衆文化を通してラカン理論へ』は、現実と幻想、欲望とその根源についての深い考察を通じて、ラカン理論をわかりやすく解説しています。本書の中でジジェクは、現実界を「現実」に穿たれた穴、つまりブラックホールのようなものとして捉え、その穴は幻想空間の剰余を含んでいると述べています。この視点により、私たちは現実を象徴界として、共同主観的なものとして見ることができるのです。 欲望と幻想 人間の欲望は、シニフィアン(意味するもの)によって組み立て

    • スタンフォードの人気教授が教える「使える」アイデアを「無限に」生み出す方法 - ゲーム企画に役立つ一冊

      スタンフォードの人気教授が教える 「使える」アイデアを「無限に」生み出す方法ジェレミー・アトリー (著), ペリー・クレバーン (著) 新しいゲームの企画を立てる際に、アイデア出しに役立つ本を探していたところ、ジェレミー・アトリーとペリー・クレバーン著の「スタンフォードの人気教授が教える『使える』アイデアを『無限に』生み出す方法」に出会った。この本は、アイデアを無限に生み出すための具体的な方法を教えてくれる。実際に読んでみて、ゲーム内容や世界観のアイデア出しに大いに役立った

      • ゲーム制作者にもおすすめ『他者と働く──「わかりあえなさ」から始める組織論』宇田川 元一

        ※この記事は私の読書メモを元にChatGPToで文字起こしし、わかりやすく補足してもらって作成した記事です。 この本を薦める理由 ゲーム開発者として働いていると、「なぜこの提案が通らないのか?」「なぜ上司は意味不明な反対をするのか?」「なぜまともに対話できないのか?」「論理的に説明してもなぜ動いてくれないのか?」「なぜ非合理的な組織やワークフローで作業しているのか?」といった疑問やフラストレーションを感じることがよくある。こうした疑問やストレスを抱えていたとき、この本を読

        • ChatGPToにゲームシナリオにブレイクスナイダービートシートが活用できるか聞いてみた

          ハリウッド脚本術のブレイクスナイダービートシート(Blake Snyder Beat Sheet、BS2)は、ゲームシナリオの制作においても有効とされています。その理由はいくつかあります。 1. 構造化されたストーリーテリング BS2は、ストーリーを具体的なビート(節)に分けることで、物語の展開を体系的に整理します。ゲームシナリオにおいても、プレイヤーの関心を引き続けるためには、テンポよく進むストーリーが重要です。BS2のような構造を用いることで、シナリオのリズムを調整し

        「斜めから見る: 大衆文化を通してラカン理論へ」紹介

        • スタンフォードの人気教授が教える「使える」アイデアを「無限に」生み出す方法 - ゲーム企画に役立つ一冊

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        • ゲーム理論
          3本

        記事

          リーダーとしての「迷い」を払拭してくれるオススメ書籍『リーダーの仮面』安藤広大 レビュー

          概要現場の第一線でバリバリ成果を出す「一流プレイヤー」が「マネージャー」になった途端、うまく回らない。よく聞く話だ。 この本はそんなプレイヤーがマネージャーになるときに、無駄なマネジメントにコストを払うこと無く、やるべきことをまっすぐと見据えるための処方箋のような本だ。 リーダーが見るべきポイントは「たった5つ」で、それ以外は任せたりスルーする。 そのために「リーダーの仮面を被るべし」という主張である。 リーダーは部下のモチベーションを管理しろとか、褒めろとか、一緒に飯

          リーダーとしての「迷い」を払拭してくれるオススメ書籍『リーダーの仮面』安藤広大 レビュー

          「方舟」夕木春央 レビュー

          特殊シチュエーションミステリとして、一言あらすじを聞いただけで「なにそれ、気になる」というヒキがありつつ、最後の最後までミステリとして驚かせてくれる。ミステリとしての推理も手堅い。 主人公達は山奥にある謎の巨大な地下空間(本編では古いうち捨てられた過激派のアジトか宗教施設じゃないかと説明される)に閉じ込められてしまい、おまけに地下空間はやがて浸水する。地上につながる出口は大岩で塞がれてしまっている。一応、大岩にはしかけがあり、中から動かして持ち上げることが出来る。 だが、そ

          「方舟」夕木春央 レビュー

          会社員のゲームシナリオライターが副業で脚本書いてみた感想

          会社で副業許可が出たので今年からシナリオ関係の仕事をしています。 しばらく続けてみた感想をつらつらと…… ①結構稼げる コネで仕事をいただきました。 ですので、ある程度信頼がある前提での仕事です。額では確定申告が必要なくらいには稼げ、本業での仕事に比べると、仕事の量も必要な時間もそれほどではなかったです。 ただこれに関してはクライアントさんの自分への信頼ありきです(信頼やコネって大事)。 転職しても前の職場での関係は続きますし、それが思いがけぬ形で副業につながりました。

          会社員のゲームシナリオライターが副業で脚本書いてみた感想

          【講座】面白いストーリー、ゲームシナリオの作り方講義:資料と解説第1回

          私は普段コンシューマーゲームのシナリオプランナーをしております。 これまで40~100万本前後売上のある有名IPのシナリオを複数手掛けてきた中で蓄積したノウハウや様々な文献をあたって学んだノウハウをまとめて、ゲーム系シナリオ学校のゲームシナリオゼミで講義をしていました。その資料をこの記事で解説とともに紹介します。 ゲームシナリオ用に作ったものですが、ゲームシナリオに限らず役に立つのかと思います。 ゲームシナリオをかいたことがない人向けに作成したレジュメです。 学校では当

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          【講座】面白いストーリー、ゲームシナリオの作り方講義:…

          ラスト・オブ・アス part2はゲームシナリオとして挑戦的すぎたのか?

          微ネタバレ注意。 致命的なネタバレなしですが前情報なしでクリアしたい人は読まない方がよいかと。 クリアしました。 物語の出来に賛否両論あるようですが、個人的にはストーリーはアリでした。 ただですね、途中めっちゃ退屈というかノれない。挑戦的なことをやってるんですが、うーん。挑戦的すぎてゲームとして乗っかる上でいまいちハマってないといいましょうか。 というのも途中、操作キャラが何度か切り替わるのですが、そのキャラの「動機」に全く共感できないんですね。 このもうひとりの操

          ラスト・オブ・アス part2はゲームシナリオとして挑戦的すぎたのか?

          ゲームシナリオにハリウッド脚本術は使えるのか?おすすめ本の紹介とともに

          ここ数年、ハリウッドの脚本術の本が色々と出版されています。 ハリウッドで定評のある本は、どれも非常に論理的にわかりやすく説明しており、シナリオを書く人にとっては何かしらの発見がある読み物かと思います。 ただ、何度か商業用のシナリオを書いた経験がないと、ピンと来ないことが多いかもしれません。 「ハリウッド・リライティング・バイブル」については、ゲーム業界に入ったばかりの頃に読んだのですが、正直ちんぷんかんぷんでしたが、何本かシナリオを書き、ユーザーの反応などを見て、「なぜあ

          ゲームシナリオにハリウッド脚本術は使えるのか?おすすめ本の紹介とともに

          映画「ボーダー 二つの世界」レヴュー

          ネタバレ全開レビュー。構成の観点からの感想。 .ログライン 自分探しの映画。自分が何者かを知らず、孤独に過ごしてきたティナが自分の異質さを受け入れ、自分が何者であるかを知る話。 .ざっくりあらすじ 幼い頃から生きづらさや疎外感を感じ過ごしてきたティナが、自分とよく似た姿形の男性ヴォーレと出会い、惹かれ合う。ヴォーレと過ごす内に、ティナは人間とは異なる種である自分自身の存在を受け入れ、孤独を癒やされていくが、その過程でヴォーレの犯罪を知り、人間社会と非人間社会の間で葛藤し、

          映画「ボーダー 二つの世界」レヴュー

          百田尚樹「夏の騎士」レビュー

          ネタバレ全開レビュー。構成の観点からの感想。 ・ログライン 自分の臆病さ、勇気のなさに悩みを持つ主人公遠藤宏志(小6)は、勇敢な男になるために友人二人とともに騎士団を結成。殺人事件を追ったり、忠誠を誓ったレディに認められようと奮闘したりしていく中で成長し、恐怖に立ち向かう勇気を手に入れる。 ・感想 一気読み。非常に面白かった。 主人公の宏志は、勇敢な男になるため、その手段として騎士団を結成するわけだが、彼が勇気を手に入れたいと思うことには理由がある。 バックストーリーとな

          百田尚樹「夏の騎士」レビュー

          「ショーシャンクの空に」レビュー

          ネタバレ全開レビュー。構成の観点からの感想。 .ログライン 無実の罪で刑務所に入ったアンディが、厳しい仕打ちを行う刑務所の中でも決して希望を失わず、自由を求め続けた結果、周りの囚人たちにも希望を与えていく。最終的には脱獄に成功し、自由を得る。 .簡易あらすじ 【起】 アンディは無実であるにもかかわらず、妻殺しの罪を収監される。刑務所は看守と所長が人権を無視した暴力を振るい、アンディは先輩囚人からは何度も犯されそうになり、繰り返し暴力を振るわれるようになる。アンディは周りと

          「ショーシャンクの空に」レビュー

          ヒッチコック「見知らぬ乗客」レビュー

          ネタバレ全開。映画を構成の観点からレビュー。 .ログライン 交換殺人を断った主人公ガイは、実際にガイの妻を殺してしまった交換殺人の相手・ブルーノにつきまとわれ、さらに、警察に妻殺しを疑われてしまう。その後、ブルーノに命を狙われるようになるが、最終的には警察の疑いを晴らし、ブルーノは死に、平穏を取り戻す。 .感想 ハイコンセプトは非常にキャッチーだ。 主人公は浮気ばかりしている妻に死んで欲しい。今は交際相手もいるので、妻の存在は邪魔だ。 そこにブルーノという頭のおかしい男が

          ヒッチコック「見知らぬ乗客」レビュー

          映画『HELLO WORLD』レビュー

          ネタバレ全開。映画を構成の観点からレビュー。 .ログライン 高校生のカタガキナオミが、未来(現実世界)から来た自分自身に導かれながら、ヒロインの一行瑠璃と恋仲になり、彼女を死の運命から救う。その過程で世界の意外な姿と真実を知ることになる。 .メインプロット 高校生のカタガキ君とヒロインの一行さんのラブストーリー。カタガキ君は、一行さんを死の運命から救うことができるのか?また、カタガキくんは一行さんをライバルから取り戻すことができるのか? .サブプロット 高校生のカタガキ

          映画『HELLO WORLD』レビュー

          映画ヒッチコック「北北西に進路を取れ」レヴュー

          ネタバレ全開。映画を構成の観点からレビュー。 .ログライン 広告会社の社員、ロジャーがキャプランという正体不明のスパイだと勘違いされ危険な組織に命を狙われ逃亡する羽目になる。逃亡の過程でロジャーはヒロイン、イヴと出会い、彼女と共に逃亡。組織の手から逃れ、ヒロインと結ばれる。 .面白かったポイント ・主人公が正体不明のスパイ「キャプラン」だと間違えられ、ひたすら敵組織から追われ続けるわけだが、そのキャンプランは存在しないということがわかる場面。キャプランというスパイは、

          映画ヒッチコック「北北西に進路を取れ」レヴュー