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進化の行く末

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進化について考える。
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ある桜から教わった話

それは何の前触れもなく突然訪れた。 これまでも日本だけでなく世界中の聖地を調査していたので、不思議なことは何度もあった。だが今回は明らかに偶然ではないのだろうと確信している。宇宙まで突き抜ける青空が広がる暖かい春の昼下がりに、僕はその桜に呼びかけられたのだ。 仏陀の誕生日にあたるその日、僕は昼過ぎまで吉野で存分に千本桜を堪能して、近くにある龍鎮の滝へと車で向かっていた。その道中で路傍に立てられた一枚の看板が何気に目に入った。それを通り過ぎてから、数百メートルくらい進んだ時だ

“E”の問題

■■漠然とした不安「このままでは地球は長くは保たないのではないか–」。 この警告はすでに50年も前に発せられていた。1972年に出されたローマクラブの「成長の限界」という研究報告には、地球の許容量に比べて今の文明があまりに多くの課題を抱えていることが既に指摘されていた。それから半世紀近く経ったが、地球が抱える問題は一向に解決しそうにない。20世紀には私たちはまだ解決すべき問題が何かが見えていた。豊かになるためにどの政治経済システムを採択すべきか。核戦争による崩壊のシナリオを

地球の緯度と頭蓋骨

 地球の緯度と頭蓋骨の形状との間にある相関性について考えている。佐野博士は太陽の入射角と頭蓋骨の形状に関係性があり、太陽の入射方向とは直角の方向へ人間の頭蓋骨が延びていく性質があるのではないかとの仮説を立てている。  つまり緯度が高ければ高いほど、太陽は真横から差し込むので、人は顔を横にそむけるため、頭蓋骨が前後に長くなり、鼻が高くなるという白人(コーカソイド)のような形状を生む。そして赤道直下では真上から太陽が射すので頭が平べったくなり鼻が低いという黒人(ネグロイド)のよう

蛾の輪廻

 一匹の蛾が家の中に入ってきた。当て所なく飛び回る蛾を見て少し不憫に思った。このまま外に出て行くことが出来なければ、こいつはおそらく3日も経たないうちにこの家で亡くなるだろう。いやたとえ外に出て行ったとしても、寿命がそれほど長いわけではないに違いない。  人の寿命は80年もあるのに、それと比べて虫の寿命はなんと短いのだろうか。ぼくらがずっと生きている間に、何世代も生まれては消えるということを繰り返している。そのほんのわずかな生には一体何の意味があるのだろうか。そんなことを考え

5-6愚か者は世界を救うのか

「まなざしのデザイン」没原稿:第5章「心の進化」06    バックミンスター・フラーが私たちの惑星を宇宙船地球号と呼んだのは1963年のことだ。アポロ8号によって月面からの地球の姿が撮影されたのが1968年。その時以来、私たちは地球という一つの豪華客船に乗っていることを全員が知っている。  ある夜に一隻の豪華客船が大きな海を航海していると想像してみよう。視界はよくないが船は今の所、穏やかな海を進んでいるように見える。しかしその先に何があるかはよく分からない。向こうには大きな

5-8私たちはどこへ行くのか

「まなざしのデザイン」没原稿:第5章「心の進化」08   なぜ生命が進化を目指すのかということに、現代科学はまだ答えを出していない。宗教はそれぞれによって様々な解釈を持っているが、その中でも明確な理論を持っているのは仏教ではないかと思う。仏教の世界観というのは現代の素粒子論や分子生物学のように、この世界の一切のものはそこにとどまらずに生成と消滅を繰り返しているという輪廻転生がベースになっている。そしてその根底には「心」が関係していると釈迦は考えていた。  釈迦は生命というも

5-7心の進化をめざして

「まなざしのデザイン」没原稿:第5章「心の進化」07  これまでの延長線上では、きっと人間は次へ進化できないのではないだろうか。いや、進化どころかこのまま滅びて地球上から淘汰されてしまうような種になるかもしれない。おそらく、私たちが生き残って進化を遂げるためには、もっと根本的に何かを変えねばならないのだ。それは世間でまことしやかに叫ばれているようなイノベーションやデザインなどというようなものではなく、もっと決定的なものに違いない。頭を進化させ、物を進化させた私たちが、次に進

5-5どこまで「より良く」を目指すのか

「まなざしのデザイン」没原稿:第5章「心の進化」05    しかし一方で、より良く生きることへの追求はどこまで行けば終わりがあるのだろうか。生活はどんどん便利になっていくことを目指す。苦しいことは生活の中から出来るだけ減らして、楽しいことだけを見つめることが当たり前になる。暮らしの質を上げていくことが必要なことは当然だが、どこまで行けば私たちは満足するのだろうか。より良く生きることの意味を取り違えると、それはどこかで反転することになる。  私たちは「どこでも、いつでも、新鮮で

5-4文明から文化へ

「まなざしのデザイン」没原稿:第5章「心の進化」04    私たちは一体どういう文明を共有しているのだろうか。文明というのは文化よりも大きな枠組みだ。この文明の全体像が見えないままで、文化や芸術の問題だけに焦点を合わせると問題の本質を見失うだろう。そして文明を考えるためには、それを成立させた生命の相互協力へとまなざしを向けねばならない。  あらゆる生命が共有する唯一のテーマは「生存する」ことだ。しかし生命の生存というのは他の生命との協力なしには成り立たない。私たちの身体も、は

5-3問題はもはや部分的には解決できない

「まなざしのデザイン」没原稿:第5章「心の進化」03    私がクリエイティブシェアを考えるために、アトリエで共異体(Transunity)の活動を始めた2008年はリーマンショックの真最中だった。しかしその時にはまだ自分の中でのまなざしは、共同体のあり方や価値観といったまだ身の回りの問題にしか向けられていなかった。しかし2011年に東日本大震災で明るみに出た様々な事実は、自分の周辺の問題だけでは済まされないという危機意識を私に突きつけてきた。  今世紀に入ってから、マグニチ

5-2モノの進化

「まなざしのデザイン」没原稿:第5章「心の進化」02   では人類は退化しているのだろうか。進化と退化の基準ははっきりとは定義できないが、私たち人類が地球において他の動物とは異なる戦略を取ったということは確実だ。それは身体を進化させてまなざしの高さを物理的に持ち上げるという方法ではなかった。直立の状態まで頭を持ち上げ、頭の高さをこれ以上あげることが出来なくなった私たちは、ついに頭の中を進化させたのだ。  頭の中の想像力を使って、実際の頭よりもさらに高いところにまなざしを設定

5-1まなざしの高度と進化

「まなざしのデザイン」没原稿:第5章「心の進化」01 あらゆる生命は環境に適応させて身体を変化させてきた。ダーウィンの唱えた進化論が正しいとすれば、環境に適応した身体を持ったものだけが生き残り、その他の遺伝子は淘汰されていく宿命にあると言える。地球には約40億年前に原始生命が生まれたと言われているが、その頃からずっと継続されている生命の進化の中で我々人類はどのように位置付くのだろうか。  進化論というものがもし正しいとして、我々人間がその進化の頂点に立っているということ

科学者が人間は脳から独立した神経系を持つと確信

Ученые полагают, что у нас имеется нервная система, независимая от мозга Земля. Хроники Жизни.より June,6,2018  私やあなたがたが今この文章を読むことができているのは、私やあなたの頭の中に「脳」があるからだ。  しかし、私たちが「もうひとつの脳」を持っていることをご存じだろうか。それは頭にあるのではなく、脳とは関係のない場所の「腸」にある。  その部分は中枢神経系の関与

ダーウィン進化論のほころび

「DNAバーコード」大規模解析、進化の新事実が浮き彫りに 2018年5月30日 17:41 発信地:パリ/フランス [ ヨーロッパ フランス ] 【5月30日 AFP】すしバーでマグロと偽って客に出されているテラピアを暴くために使われた携帯型の遺伝子検査機器。この機器が進化に関する深い洞察をもたらす可能性があるなどと、いったい誰が想像しただろうか。  あるいは、世界中の研究者数百人が10万種の動物から採取し、米政府の遺伝子データベース「ジェンバンク(GenBank)」に蓄