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【社労士業界はどこへ向かう?】AIやHRテックと共存共栄するための具体的行動を考える【10000文字】

株式会社Flucle代表、社会保険労務士の三田です。社労士向け労務相談プラットフォーム「HRbase PRO」(https://hrbase.jp/)を提供しています。

先日、以下のnoteを投稿しました。

おかげさまで反響も多くいただき、多くの社労士の方が業界動向について真剣に考えられていることを感じました。

前回の記事は時代の流れやテクノロジーの進化についてまとめましたが、今回は「社労士として今後何をすべきか」というテーマで、具体的な行動について考察してみます。

とはいえ時代は予想もつかない方向に変わったりもしますし、私自身、社労士経験が何十年もあるわけでもありません。あくまで個人の意見であることをご了承いただき、お読みいただければ幸いです。
こちらも10000文字超えの大長編の記事となっています。

この記事で一番伝えたいこと

AIやHRテックによる変化は社労士にも大きな影響を及ぼしますが、とはいえ社労士が必要なくなるとは思っていません。むしろそのテクノロジーの進化によって、社労士としてやるべきこと、必要となる場所が明確になってきたと感じています。

活躍している先生方も以前から「同じような質問に手が取られ、本当に必要な提案ができてないことがある」とおっしゃられていて、このような課題がAIやHRテックで解決できていくのであれば、今後の世界は明るいでしょう。

私自身も社労士です。社労士がさらに重要な存在になれるよう少しでも貢献したいと思っています。ただ、電卓が出てきたときにそろばんの必要性が少なくなったように、パソコンが出てきたときにタイプライターの仕事がなくなったように、大きな変化の波が来ていることは事実です。

ダーウィンの「生き残るのは最も強い者や最も賢い者ではなく、変化に最もうまく対応できる者だ」を胸に、変化の方向性を考えていきたいと思います。

AIやHRテックができないこと

AIやHRテックが進化しても、構造上できないことがあります。人間にしかできない、そして人間がやるべきことを5つピックアップしました。

①課題発見

AIやHRテックはさまざまな課題解決や効率化に役立ちますが、課題自体の発見はまだできません。

会社が抱えている課題を発見する、もしくは課題であると認識させる(課題を羅列したレポートがあったとしても本人が課題だと認識していないケースは多い)スキルは、引き続き専門家に必要でしょう。

②多様性

ChatGPTなどの会話型のAIの仕組みは確率論です。文章の意味が分かっているわけではなく、大量のデータから一番可能性が高い文言を加えていく仕組みです。

https://bit.ly/3VsI6Y9

ChatGPTにいろいろ質問をしてみた方は感じられていると思いますが、仕組み上、標準的な回答しかできないため、個性や多様性がありません。ありきたりな内容はすぐに出せても、その会社に合わせた回答、もしくはある一定の考え方に基づいた回答はできません。(プロンプトである程度はカバーできますが、まだ個性といえるほどではありません)

HRテックも標準的な考えやルールから仕組みがつくられているため、多様性という意味では少ないです。

③身体性

当たり前ですが、AIは身体を持っていません。パソコン上でのデータ処理や言葉のやりとりはできても、目の前に実体として存在はできません。

これからは身体を持っていることが人間の強みになります。たとえば、安心安全な場をつくる、その人がいるだけで明るくなる、つらいことに寄り添うなどは身体がないと効果が発揮できません。「あなたは重い病気です」という宣告自体はAIにもできますが、できれば医者などの専門家に、繊細な配慮の元に告げてもらいたいものです。

④責任

基本的にAIやHRテックの使用は自己責任です。給与計算を間違えたからといってHRテックは保証してくれませんし、AIに解雇の手続を聞いて後日トラブルになったとしても、OpenAIなどの会社が責任を取ってくれるわけではありません。

経験豊かな人や経営者であれば責任を取れるでしょうが、担当者にとって「誰が責任を取るのか」というのは重大な問題です。

⑤人間関係

5年ほど前でしょうか、AIの話が盛り上がったとき「最終的に残るのはスナックではないか」と発言している著名人がいました。

スナックは料理やお酒自体に大きな価値があるわけではなく、客が仕事を手伝うこともあります。その場自体や人間関係が価値になっているのです。(私はあまりスナックには行かないのですが…)

人は、人間関係の中で満足度や幸福度を上げていきます。AIに命令されてもやる気は起きませんが、「この人にいわれたら行動します」という方も多いのではないでしょうか。これは人間関係が生む結果です。

この5つのキーワードを、社労士業務に落とし込んで考えていきましょう。

社労士業務の全体像

社労士としての業務は幅広く、以下のような業務があります。

社労士の業務

これらを「1,2号業務」(左側の領域)「3号業務(標準)」(右下の領域)「3号業務(高度)」(右上の領域)に分け、それぞれの戦略を考えてみたいと思います。

もちろん広くは採用支援、経営コンサルなども含みますし、勤怠管理の中でも専門知識が高く求められるものもあります。就業規則作成も正確には1,2号業務に入りますが、便宜的な分類であることをご了承ください。

なお、ChatGPTのようなAIが出てくる前は「1,2号業務は縮小傾向にあるから3号業務に移行しよう」という風潮がありましたが、もはやそれ自体もゼロから考え直さなければいけません。

AIを技術ではなくビジネス面から見ると、単価が高い職業からAIに置き換えられていきます。そういう意味では「3号業務の方が単価が高いからそちらに移行しよう」という話は危険な方向性です。

1,2号業務での戦略

1,2号業務

HRテックの進化と生まれた「負」

HRテック、特に労務管理クラウドの市場は前の記事でも書いた通り、毎年150%超の成長率で拡大しています。

HRTechクラウド市場の実態と展望 2022年度版 https://release.nikkei.co.jp/attach/650571/01_202303061334.pdf

2027年に労務管理クラウド市場が本当に1000億円になったとして、各会社の支払額を年50万円とすると、20万社が利用していることになります。従業員10人以上の法人は44万社程度であることから考えると、従業員が多い企業では労務管理クラウドの利用がスタンダードになっていくでしょう。

ただ、ここで課題が生じます。
労務管理クラウドが生まれた初期には、労務リテラシーとITリテラシーが高い企業が我先にと導入しました。彼らは自分でシステムを把握し、会社ルールを変更しながら使いこなしていきました。

しかしサービスの拡大にともない、次第に労務リテラシーやITリテラシーが低い企業の割合が増え、HRテック側のオンボーディングコストが増大しているのです。それでもHRテック会社は拡販しなければいけないので、リテラシーが低い層へ、もしくは首都圏から地方へと営業活動を広げています。

ここは社労士にとってチャンスでもあります。HRテックを提供している会社は今、こぞって提携社労士を求めています。システムのオンボーディングには、システム知識だけではなく労務の知識が必須だからです。

実際HRテック各社と話をしてみると、開発部隊やカスタマーサクセス部隊に社労士や労務に詳しい人材がいるケースは少なく、だからこそ彼ら(当社も含め)社労士と一緒に進めていきたいと強く思っているのです。

前の記事で触れたように、今後AIがHRテックに導入されることで、その課題も解消されるかもしれません。ただ同時にHRテックの新規顧客はさらにリテラシーの低い層に移行していきます。これから5年程度は、HRテックの導入現場には課題が残り続けると想定されます。

HRテックを活用できる社労士は強い

そもそもHRテックが業務すべてを行ってくれるわけではなく、労務管理に携わる担当者や責任者の存在は必須です。
今後、企業が求める労務人材には「労務が分かる」「システムが分かる」「従業員とのコミュニケーションも得意」という3つの要素が求められますが、そのような優秀な人材は確保が難しいため、社労士への労務管理アウトソーシングニーズは高まると予想できます。

上記のような市場で、社労士がやるべきことをまとめてみました。

①HRテックの会社と組む
成長市場かつ課題が大きいという現状は、社労士にとっては大きなチャンスです。伸びているHRテックの会社と提携を行い、導入サポートおよびアウトソーシングも視野に入れてください。(加えてセミナー登壇、メディアへの執筆なども巻き取れると関係性がより強固になっていきます)

提携は特定のHRテックに絞る方がリソースも分散せず、社内マニュアル作成なども楽になるためよいのですが、1社に絞るとそのサービスに悪評が立ったときや、他の社労士事務所を優先されると新規導入が止まるなどのリスクが生じます。

社労士事務所の規模にもよりますが、2つ以上の会社と提携しながら進めていくのがおすすめです。

勤怠管理だけでも多くの会社がある
https://teco-design.jp/blog/map_teco/

②アウトソースの範囲を従業員対応まで組み込む
HRテックの導入後は、いかに労務管理業務に深く入り込み、解約されにくくするかが重要です。
これまでの社労士事務所では、アウトソースを受ける際に「入社連絡票」などのフォーマットを用意し、顧問先に情報を入力してもらうことが多くありました。

よくある入社連絡票

ただし顧問先にはフォーマット入力の手間が発生してしまいます。こういったアウトソーシングの方法では、顧問先の労力を減らし切れず、HRテックで代替されかねません。

しかしここは社労士の優位性を発揮できる部分です。HRテックの導入で関係性をつくり、単純な入力作業をなるべく減らし、設定なども請け負えば業務フローに深く入り込めます。(いわゆる顧問先のDX支援)

さらにアウトソースの範囲を従業員対応まで行っていくと、より深く入り込むことができます。ここまでアウトソースを広くやっている社労士事務所はまだ少ないため、労務担当者が必要ないレベルまで請け負うことで解約の可能性を極限まで減らせます。

このように、HRテックの土台の上で幅広くBPOを受け持つ「BPaaS」に近いモデルを実現するのも解決策のひとつです。

③RPA、iPaaSなどの技術を駆使する
アウトソーシングを受ける以上、処理は効率化する必要があります。その方法にRPAやiPaaSがあります。RPAはすでに有名ですが、iPaaSはまだあまり浸透していないかもしれません。

ざっくりいえば、操作を覚えさせるのがRPA、サービス間でデータを連携させるのがiPaaSです。保険手続でいうと、公文書をフォルダに保存する作業などはRPA、保険手続システムの情報をチャットツールに通知させたり、個人情報を連携させるのがiPaaSというイメージです。
HRテックを導入しても作業やツール間の連携は発生するため、そこをRPAやiPaaSで自動化することで正確性と効率化を実現できます。

AI時代の1,2号業務に必要なものとは

今後HRテックへのAI導入が進めば、知識がなくても労務管理ができるようになっていきます。政府がマイナンバーカードを用いた手続きを仕組み化し、よりスムーズな労務管理ができる、そんな未来がやってくるかもしれません。

しかし、AIやHRテックにできない責任課題発見の部分は残ります。特に責任という面では、どんなに技術が発展しても「これで合っているという確証がほしい」というニーズは変わりません。

1年前にSmartHRさん含む複数社とディスカッションしたレポートも載せておきます。HRテックサービスの「確定ボタン」を押すのが社労士の仕事になるのでは?という話も出ていました。

ある社労士事務所では、労働保険料の年度更新を請け負うとき、請求書と一緒に「もし計算内容が誤っていたら私たちの事務所が責任を取って賠償します」という旨の文面を顧問先に送るそうです。
(そのために社労士事務所は賠償保険に入る必要があるとのことでした)

これこそ、社労士の本質的な価値ともいえるでしょう。

また、1,2号業務の過程にコンプライアンス的な問題がないか、もっと効率化できないかという課題発見も、社労士事務所の重要な役割になっていくはずです。そのためには社労士事務所の業務だけではなく、顧問先がどのような業務を行っているかまで知っておく必要があります。

3号業務(標準)での戦略

3号業務(標準)

AIができないことをやっていく

AIがすぐさま労務相談などの3号業務をこなせるかというと、そうではありません。AIの進化や学習させるデータの用意なども加味すると、労務相談に対して標準的な回答ができるようにまで1,2年はかかるでしょう。

AIとの共栄共存を目指すなら、その間に「人間にしかできないこと」を強化しておく必要があります。

①課題解決から課題発見へ
これまでの労務相談では「相談が来たら答える」という受け身になりがちでした。企業側からも「顧問社労士は相談には答えてくれるけど、相談しないとアクションがない」という話も聞いたりします。

これはAI時代にはより顕著になるため、課題発見のためには社労士からの「情報共有」「労務診断」が今まで以上に重要になります。顧問先から相談が来る前に、社労士側から法改正などのニュースを配信したり、定期的な労務診断や労務監査で労務管理上の問題を洗い出すなど、やるべきことを提案しなければ、AIに負けてしまうのです。

労務監査では業務を支援してくれる協会やサービスもあります。そちらの力を借りることもおすすめです。

②事務所の中でノウハウを蓄積し、幅広い回答を実現
平均的な回答がAIでできる時代では、人間として社労士事務所の色が濃く出た回答の作成や、幅広い労務知識から顧問先に合わせた内容を選択するスキルが重要になるはずです。そのためには職員の教育だけではなく、事務所の回答内容やノウハウ、ひな形などを蓄積し、職員が常に参考にできる環境をつくる必要が出てきます。

事務所の色でいえば、回答方法(たとえば労務知識がない担当者にわかりやすく説明する、大企業向けに根拠を明確にして回答する、など)で特色を出す方法もありますが、スタートアップ、運送、食品など業界に特化して色を付ける方法もあります。特定の業界に対し、労務だけではなく経営まで見据えたアドバイスができれば、平均的な回答しかできないAIよりも付加価値を出しやすくなります。

③対面することで価値を向上
コロナ禍以降、リモートで顧問業務を行う機会も増えました。全国展開する社労士事務所も増えましたが、AIの台頭で逆に地元社労士が強くなるかもしれません。

労務相談に文章で回答し、必要があればZoomや電話で打ち合わせを行うスタイルで価値提供をしてきた社労士も、今後は

・社長とリアルで対話し、人間関係を築き、人にはいえないような悩みを聞き出す
・トラブル時にすぐに駆け付け、従業員のヒアリングや折衝まで行う(非弁行為にならない範囲で)
・入退社など従業員が不安を抱えやすいタイミングで訪問し、従業員に直接会社ルールの説明を行い、トラブルを未然に予防する

などのサービスがより価値を発揮していくと考えられます。AIができない「身体性」「責任」「人間関係」を中心にサービスを考えることが大切です。

必要なスキルは昔に戻ったのかもしれない

「それって昔の社労士事務所でやっていたことじゃない?」と思われた方も多いと思います。ある士業コンサルの方と話したときも「必要なスキルは戦後に戻っている」とおっしゃっていました。

この数十年、仕事は「標準化」「効率化」「最適化」というキーワードで語られてきました。「定期的に顧問先に会いに行く」などの施策は重要だとは分かりつつも、デジタル化を通じた効率化が優先されてきました。

しかしデジタルが発展した、発展しすぎたことによって、結局は人間らしさが重要視されるようになってきているのです。

AIがいくら「残業代払ってください」と命令しても、払わない顧問先はいます。そのとき社長をどう説得するのか、そして顧問先に対して上から目線ではなく、一緒に成長する同志として協働できるのかが問われています。

知識の部分ではある程度AIでカバーできます。だからこそ最後の最後に必要になるのは、個人のキャラクターや人間性、洞察力、多様な経験、思いやり、逃げない胆力なのです。

リスキリングなども話題ですが、修身などの道徳教育が、これからの時代に真に必要になるのかもしれません。

3号業務(高度)での戦略

3号業務(高度)

AIに高度なコンサルはできるのか

3号業務の中でも、人事制度や人的資本経営、労使トラブル解決などには専門知識が必要です。この高難易度業務は、AIにはまだまだカバーできない領域ではないでしょうか。

もちろんそれらの業務の一部を担うことは可能です。

ChatGPTに評価項目を作ってもらう

人事制度や人的資本などの人事施策は、会社の状況が千差万別なため、AIの行う標準的な回答では解決が難しい領域です。社員数や規模などある程度の状況はプロンプトとして入力可能かもしれませんが、人事コンサルのご経験がある方はお分かりの通り、経営者の考え方や社内の人間関係、社風など言語化できない要素も多く、AIの判断材料としてデータ化はできません。

またコンサルには身体性や人間関係も重要で、顧客への寄り添いや説得力、巻き込みも大切です。総合的に見てAIでは代替しにくい業務だと考えられます。

高度なコンサルはより一層求められる

労働関係のトラブルは増加傾向にあります。労働者も自身で法律を調べる機会が増え、あわせて企業のコンプライアンス意識も高まっています。

労働関係民事通常訴訟事件と労働審判事件
https://www.jil.go.jp/kokunai/statistics/timeseries/html/g0703_01.html

社労士だけではなく、一般企業を取り巻く環境も激しく変化しています。環境変化に対応する組織づくりはどの企業でも急務となっており、旧日本的なマネジメントや人材活用からの脱却が叫ばれています。今後、労務管理から人事管理までを一貫してコンサルティングできる社労士へのニーズはますます高まるでしょう。

人材版伊藤レポート
https://www.meti.go.jp/shingikai/economy/kigyo_kachi_kojo/pdf/20200930_4.pdf


労務相談でも、標準的な回答だけではなく「労働法からの観点」「訴訟からの観点」「IPOからの観点」「社風などの人事的な観点」など、多様な視点でアドバイスをすることができれば、高度なコンサルティングとして単価も上げられるはずです。

必要なのは採用と教育

ただし高度なコンサルティングができる人材は多くはありません。理想は、給与計算、保険手続などの定型業務からコンサルティングまで幅広く対応できる人材だとは思いますが、それは難しいのが現実です。

高度なコンサルティングの提供を開始すれば、コンサルティング会社などとの競合も避けられません。そのため採用基準や給与体系も検討し直す必要が出てきます。

このとき、社労士事務所内で給与体系を分けると摩擦も起こりやすいため、株式会社と社労士事務所で法人を分ける、組織として場所を分離する、行き来ができるようなキャリアパスを設計するなど、柔軟に組織の組み方を考える必要があるでしょう。

このような取り組みは一朝一夕でできるものではありません。今一度、AIやHRテックにできること、できないことを分析し、事務所の方向性や取り組みを定めていきましょう。その思考や行動が、より求められる社労士事務所への発展のカギになると信じています。

社労士業界全体でやるべきこと

社労士同士で協力し合う時代に

これまでの社労士のライバルは「同じ地域や同じ業務領域の社労士」でしたが、これだけテクノロジーが進化してくると、今後はAIやHRテックがライバルになっていきます。

そんな時代に、社労士同士で争っていてよいのでしょうか?

そもそも社労士を含む士業は、一事務所あたりの従業員数が一般企業に比べて少ないのです。AIに負けない多様性を担保するため事務所のノウハウを蓄積しても、一事務所では限度があるはずです。

ファイブスターマガジン『事務所経営白書2020』P15

2020年、新型コロナウイルスの流行初年度、全国の社労士事務所にはコロナ対応や雇用調整助成金に関する質問が殺到しました。そこで複数の社労士で集まって「コロナから会社と従業員を守るプロジェクト」を立ち上げたことがあります。

このプロジェクトにはかなりの反響があり、サイトも数十万のPVが集まりました。多くの企業さまや社労士の方から「助かった」というお声をいただき、自分としても大変やりがいを感じました。

これこそが、「社労士同士で協力することの意義」ではないでしょうか。

ノウハウや資料を共有し合い、ゼロからの資料作成を極限まで減らし、あいた時間を顧客に合わせたコーディネートに使えるようにする。それをスタンダードにすることこそが、社労士業界として取り組むべきことだと感じています。

AIやHRテックについて知ろう

今後もAIやHRテックは爆発的な進化を遂げるでしょう。何が起こるか、専門家ですら予想ができません。ただし社労士業界に影響があることは確実です。社労士業界も、この変化を追い続けていかなければいけません。

このnoteもその施策のひとつではありますが、各社労士が、もしくは各地の社労士会が、AIやHRテックの状況や進化、活用方法にもっと敏感になり、知見を広め、「社労士がどうすれば活躍できるか」を議論していく場が必要ではないでしょうか。

社労士業界にとっては、この5年が勝負です。このチャンスにAIやHRテックの進化を外から眺めているだけでは、社労士自体の価値が落ちてしまう可能性が大いにあります。

一緒に行動を起こす方がたくさん生まれてくるのを願っています。
私自身は社労士会での講演なども受けておりますので、もしご依頼があれば、日本全国行きたいと思っています。

ChatGPTは士業にとっても大きな武器に

ChatGPTは士業の大きな武器にもなりえます。ChatGPTの業務活用はあまり進んでいないため、今がチャンスです。

プロンプトの入力方法によって回答の精度は異なりますので、プロンプトの基礎を学びながら、業務に活用できるかを試してみてください。

当社とHRbase PROについて

「HRbase PRO」は社労士の未来をつくるために開発したサービスです

最後に、当社と、当社のサービスのご紹介をさせてください。

株式会社Flucleは「最適な労務管理で、すべての人に安心を」をビジョンに掲げ、煩雑な労務管理業務の最適化や社労士業界への発展に寄与するべく、日々奮闘しています。

サービスとしては社労士向け労務相談プラットフォーム「HRbase PRO」を提供しており、5月10日に大きな機能リリースを行いました。

HRbase PROは、元々からAI時代を想定して、今後の社労士がより活躍するために開発したサービスです。特徴を書かせていただきます。

①情報共有で課題発見できる
労務相談を待つだけでは、付加価値は生まれません。HRbase PROでは週1で顧問先に「労務情報」を共有し、課題発見の先手が打てる仕組みを設けています。上記でもご紹介した労務コンプライアンス協会やヨクスルとも協業しており、労務監査領域についてもカバーしています。

②労務相談に必要な情報を学べる、検索できる
業務フローを検索、確認できる機能が実装されています。「入社 / 結婚 / 懲戒解雇」などの業務フローの発生時に、業務の全体像や各工程に必要なひな形やQAを検索できる機能です。

搭載資料も、当社のオリジナルQAだけではなく、厚労省など公的機関の最新版リーフレットなど幅広く揃えています。労務相談に必要な資料をまとめて検索・管理できるため、調査時間の短縮が可能です。

③独自のノウハウを蓄積できる
AI時代に必要なのは、事務所オリジナル資料です。顧問先への説明資料やオリジナルマニュアル、顧客に寄り添った回答内容、判断の付きにくいレアな事例など、業務で生まれた事務所の資産を以下に活かすかがカギになっていくでしょう。HRbase PROでは事務所オリジナルの資料を蓄積・検索でき、新しい職員が入ったときにも事務所ノウハウの即時共有が可能です。

④社労士業界全体でノウハウを共有できる
ひとつの事務所では資料の蓄積にも限りがありますが、社労士業界全体で、資料を共有しあうプロジェクトも立ち上がっています。

ありがたいことに多くの先生方にプロジェクトの趣旨に賛同いただき、すでに1000以上の資料が集まっています。
プロジェクトはこれからも発展させていきますので、一度説明会にお申し込みください。

⑤AIの力を享受できるようなる
ChatGPTなどの生成AIの力は、過去にない大きなインパクトを生みました。一般の方でも活用できるよう、当社でもシステムに取り入れるための開発に着手しています。機能リリースはこれからですが、ご期待ください。


一緒に働いてくださる方も募集中です

株式会社Flucleでは、これからの時代を一緒に切り開いていただける社会保険労務士、もしくは労務経験者の採用に力を入れております。「最適な労務管理で、すべての人に安心を」というビジョンに共感いただける方からのご連絡をお待ちしております。

最後まで長文を読んでいただき、誠にありがとうございました。
社労士業界の発展のために尽力してまいりますので、今後ともよろしくお願いします。

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