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美しさが移り変わらぬうちに(ダリアの花言葉)

「この花は、なんて美しいのでしょう」

そう、つぶやいたその目には
なにが映っていますか?
なにを感じていますか?

フォルム(姿)、カラー(色)、アロマ(香)……

旬の花に、季節の訪れを感じる

部屋に花を飾ったら
心が穏やかに、癒される

自分の好みで
色んな花をくみあわせたら
色んなデザインが楽しめますね

それを花瓶に飾ったりして
部屋の雰囲気にあわせたりして
美しいと思うイメージが完成する

すると……
みとれていた視界の先から
黄はだ色の風景がそよいでくる

それに
花を飾ると……
自分まで美しくなった気になりますね

その証拠に
ヒトの脳には、ミラーニューロンという
神経細胞があるそうなのです
他の人の行動を見たら
まるで鏡のように同じ反応をしてしまう
まるで自分も同じことをしてるように共感する
だから、笑顔の人がいれば、こちらも笑顔になるし
逆に、不機嫌な人がいると、
こちらまで、その感情に飲まれたりすることも

美しく咲く花をみたら
頭の中で、それをなぞるように
美のイメトレをしてるのかも

そして、秋が深まるこの季節
花屋さんを覗いてみたら
ひと際目をひく
美しい花を見かけることでしょう
それは、ダリアの花

その花は
「花の女王」と、呼ばれています

幾重にも重なった花びらを大きく広げて
眩しいくらいに見惚れてしまう存在感……

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花言葉は
ダリアの花姿そのままに
「華麗」「優雅」「気品」

羨ましいほど、美しさに溢れてる

だから、あのナポレオンのお妃
ジョセフィーヌ様が見逃すはずもなく
バラとともに愛した花としても有名なのです

※ジョゼフィーヌ・ド・ボアルネ
フランス皇帝ナポレオン1世の最初の妻
1796年に結婚
ナポレオンは、遠征先から
何度も、熱烈なラブレターを送ったとか
浪費癖、浮気癖が絶えない、恋多き女性とも

「でも、その心移りはたやすいものでした」

えっ? 
そのお声……
あなたは?

私は、ジョセフィーヌ皇后の恋人です

え、それって……
つまり、愛人っていうことですか?

はい。まぁ、そういうことに……なります 笑

あの美しいダリアの花に何が……
何が、あったのですか?

ある日のこと
それは突然起こったのです

ジョセフィーヌが大切にしていた
ダリアの球根が、ある貴族に盗まれて
そして、自分の庭にダリアの花を
たくさん咲かせてしまったものだから……
彼女、なぜか
ダリアへの興味を失ってしまったんです

※ジョセフィーヌが育てたダリアの花を
ある一人の貴族が欲しがるも、拒否されたため
ダリアの球根をこっそり盗ませて、
自分の庭にたくさんのダリアを咲かせたという事件
ダリアの花言葉「移り気」の由来にも

えっ、それだけで?

そうです。
思えば、ジョセフィーヌは
珍しい品種だからと
そのダリアを自慢してたというか……

自慢?

自分以外の誰かが手に入れてしまったら
もう、希少価値がないと

希少価値……

ジョセフィーヌを愛していたダリアは
夜中まで取り乱していたんです

バラは愛され続けてるのに
そんなことくらいで、なぜ私だけと……

~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~
―公爵(愛人)は、ダリアの想いを語りはじめてー

(ダリア)
バラはたしかに
わたしに無いものをもっているわ
甘い香りで もっと心癒せるのでしょうね
ジョセフィーヌ様の肌を美しくする
化粧水にもなることができて……

わたしを美しいと褒めてくださったのに
あの言葉、嘘だったの?
わたしだって努力したのよ……

涙 シクシク……シクシク……

(公爵)
ダリア、君の美しさはそのままだよ
君の価値は、君が一番知ってるじゃなか

(ダリア)
わたしは、人生これにかけてきたの
この美しさに……
でも……
人に愛されなかったら、意味ないのよ!

シクシク……シクシク……

わたし、これから何を信じていけばいいの
あなたには、わたしの
気持ちなんて、分からないわ!

(公爵)
ダリアよ、甘えるのはもうやめないか
私だって同じなんだ
私だって……
彼女に、鼻先であしらわれ
もう、一週間も
一週間も……
涙で枕を濡らし続けているのさ
―ハンカチで、涙を押さえるー

それは、宿命なんだ!

(ダリア)
えっ、宿命……

(公爵)
美しさはいつだって翻弄されるんだ
君だけじゃない
みんな苦しんでいるんだ

宝石だって、絵だって、花だって一緒さ……

みんなから愛されているあのチューリップさえ
君より もっと波乱万丈だったんだ

(ダリア)
あのチューリップさんが……
―ダリアの涙が止まったー

名称未設定のデザイン (21)

(公爵)
かつて、チューリップには
熱狂的なファンがたくさんいて
多くの人に求められていた
そのうち、価値が高まりすぎて
でも、それに気づかない人々が、
こぞるように買いあさったから、価値が急落して
人々は、チューリップを捨てるように手放していった

※チューリップバブル
ネーデルラント連邦共和国(現:オランダ)
商業的に繁栄していたころ
人気が高まっていたチューリップ球根価格が異常に高騰
1636年~1637年にピークに、急落した
鮮やかな色味の花弁など希少な評価を受けていた
その詳細については、限られたデータの中で様々な見解も

(ダリア)
捨てる……そんな、かわいそう

(公爵)
そのとき、私の親族は大きな利益をあげた
そして、今の私がいる

(ダリア)
な、それって
それだって、同じじゃない!

(公爵)
ち、ちがうよ。
それは、チューリップの将来性にかけていたんだ

(ダリア)
将来性……

(公爵)
ダリア
人が求めているのは
美しさだけとは限らないんだよ

(ダリア)
そんなのおかしいわ!
じゃあ、なんでこんなに弄ばれるの?
美しいって言って、みんな近寄って来たんじゃないの!
シクシク……シクシク……

(公爵)
……。

(ダリア)
ねぇ、心移りされない薬はないの?
あなただったら、手に入れるのなんて簡単でしょ
お願い……

(公爵)
それは、知らないんだ。ごめん
それに、そんなもの
お金で簡単に止められるもんじゃないよ

ダリアよ
君は、君らしく、美しく咲くことだ
実は……今日
君に会いに来たのは、理由があってね
大切なことをお願いしたくて

(ダリア)
えっ? 大切なこと……

(公爵) 
私の娘が、君のことが好きなんだ

(ダリア)
えっ? わたしを……

(公爵)
あぁ、彼女の結婚式のブーケにしたいって
君は、彼女の一番好きな花なんだよ

(ダリア)
わたしが、一番好き……

(公爵)
そうだよ

(ダリア)
それなら、最高のブーケをつくって!
彼女のために……
わたしの美しさを使って
花びらが、一枚枯れてきたわ。早く……

(公爵)
わかったよ。ダリア
お願いしてみるさ
君を最高に美しく、とね

―そして、ダリアは結婚式を迎えてー

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この傷ついた心を、涙とともに水に流したら
それを浄化するように、生まれ変わりたい
潔く、わたしの真っ白な花びらを輝かせて

わたしは、そのために生まれてきたの
たとえ、誰かの心が移り変わろうとも

(公爵)
「ブーケ届いたぞ」

(娘)
「あっ、お父さま」

「まぁ、嬉しいわ!」
「本当に綺麗ね ダリアって」

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海風にふかれて
その水面がキラキラしたさざ波でゆれている

純白のドレスに身を包んだ花嫁の手には
純白のダリアのブーケ
花嫁を美しく飾るように光輝いている

(娘)
「今日、この大切な日を……
 このブーケと一緒に、一生の宝物にしたいの 」
「だから、お父さま。写真を撮って!」

✦修正p1070667

~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~
―公爵は、ポケットから手紙を取り出してー

その日、私はダリアから、手紙をもらったのです

あの日、通りすがりに
あなたと出会えてよかったです。
わたしを美しいといってくれる人を見つけてくれて、
そして、正直なこと、教えてくれて。

もう、涙で枕を濡らさないで。

あなたの美しさを待っている人がきっといる。
いつか、その人に出逢ったら
あなたの笑顔を
素適な花束にして届けてください。

本当にありがとう。
ダリア(Dahlia) 

私は、帰り際 
ダリアにウィンクしたんだ

そうしたら、答えてくれたよ

虹色の光をあびながら
濡れた花びらふるわせて
「素敵!」って……
あの美しい笑顔をふりまいてね☘

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