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古都春めく現代アート巡り~ARTISTS' FAIR KYOTO 2024~


1. 序文

「もうすぐ桜の季節……」
3月の花見スケジュールが気になり始めた頃。

「この機会にブログを書いて見たら?」と、
一週間後に京都で開催されるアートフェアのお誘いを受ける。

それはぐずついた心にはっぱを掛ける
天の恵みのように感じた。
数か月経つだろうか……
noteをしばらく更新できずにいたのだから。

そして
友人のご縁でいただいたチケットで、急遽、古都の旅へ。

「ARTISTS' FAIR KYOTO 2024年」
2018年にスタートして第7回目になるアートフェア。
若手アーティストの創作~マーケットづくりの活動の幅を拡げる目的で
アーティスト自ら企画、出品、販売を手掛ける新しいスタイルの展示会

その内容を聞いただけでも心踊る!
が……その前に難題があった。

1つは、「開催期間が短い」こと。
週末は、パブリックビュー3日間(金~日)のみ。

予定の調整ができたのは1日で、
やむなく「日帰り」で行くことに。

もう1つは、
「会場が京都市内の各所に点在する」
こと。
すべてを観ようとしたら、数日はかかってしまう。

それでも、沸き起こる好奇心。

じっくり鑑賞したい!
多くの作品を観たい!
観光だってしたい!
京都らしい美味しいものも食べたい!etc.

うぅ……と悩んだ末。

タイムパフォーマンスを最大にするための周遊ルートを考えることに。
(有難いことに、プランはすべて委ねられる)

そして、苦業?を乗りこえた先には快晴の空と貫禄の古都、
冬眠中の心も春めく現代アートが待ち受けていた。

この記事では、アート鑑賞+京都市内観光の一日をリポート。
その様子を、桜より一足早い梅の絶景も添えてお届けします!

<欲張りルートプラン>*は展示会場がある場所
ご興味ある方は、次回鑑賞のご参考に。

渉成園→*京都国立博物館 明治古都館→*音羽山 清水寺
ランチ(清水五城駅)→*京都蔦屋書店 アートウォール
お土産スイーツ→*西京極駅 Atelier Share Kyoto +Alt Space Post
→*Artist-in-Residence 賀茂なす→*丸太町駅 京都新聞ビル
→*MtK Contemporary Art gallery/Cafe.S 
→夕食(南禅寺エリア)→梅の花見(北野天満宮)

2. 京都タワーの借景で浄化【渉成園】


 平日のように賑わう週末の京都駅に降り立ち、
徒歩で最初の目的地、渉成園へ。

でも、朝9時開園のはずが、
門の前にはアートフェアらしき看板もない。
チケットを見せると受付の方は首をかしげる……。
(アートでなく、他のイベント(ハンドメイド作品展示)が
朝10時から開催されるとのこと)

結局のところ、渉成園は展示会場ではなかった😿
(HPに過去の会場として掲載されていたのを、
今年と勘違いしてしまったらしい)

ここは、真宗大谷派の本山・真宗本廟の飛地境内地という
由緒ある庭園。そこにハンドメイドとは面白い組み合わせ。

後ろ髪引かれつつも、軌道修正をと
拝観料を払い、庭園散策へ。

〜ひと騒ぎして千載一遇の光射し込む〜
Calla


イベント開始前で、園内にはわずか数組の人々。
視界を遮るものもなく、自然で長閑な景色を鑑賞できた。

園の中心に広がる「印月池」
月影を映すと言われる水面に光るさざ波
神々しい光のカーテンに包まれた「漱枕石」
文人趣味を取り入れた煎茶三席の酒店でもあったという
Heaven!と言っても過言でない快晴の空に
京都タワーが浮かぶ絶好のフォトスポット

わびさびと文人的雅な精神が宿る建物。
日々の喧騒を忘れる 朝の清々しい景色‥‥
寝ぼけ眼冴え渡り、心も浄化される。

新鮮な空気を吸い込んで、
エネルギーチャージできたところで、いざ出陣!

次の目的地へ行くバス停に向かう途中に、
「Kaikado Café(開化堂カフェ)」を横切る。※まだClose中

昭和2年、市電の事務所を改装して建てられた
茶筒の老舗「開化堂」が監修するカフェで、2016年にオープン。
ギャラリーも併設されている。

3. 創造と革新のアート【京都国立博物館 明治古都館】

重要文化財となっている「明治古都館」
重厚な煉瓦造りの西洋式モダン建築

このアートフェアでは国内外で活躍のアーティストや
その推薦や公募で選ばれた新進気鋭のアーティストが出展している。

この会場では33名程のアーティストが作品を展示。

個人的に嬉しかったのは、
アーティストに直接お話を伺える機会があったこと。
ギャラリーを通さないスタイルで作品を直接購入できるとともに、
その作品への想いを直接聞くことができる。
制作した本人が語る言葉との相乗効果によって
作品がより魅力的に感じられた。
(会場内写真撮影可。以下、許可を得た上で撮影)

色彩や質感など、繊細に描きわけられた作品
1つの絵の中で、国内外様々な時代の、様々な技法を取入れているとのこと
【品川美香さん】
メルヘン気分に♬ 絵本「かいじゅうたちのいるところ」が頭をよぎる
完全にはコントロールできない焼成の工程から生み出される陶芸の彫刻
【RYU JEYOONさん】

身近なものからアートは生まれる。
↓ 何が隠されてるでしょう?

下の水色の作品は、鍵にスプレーを吹きつけて描かれた作品
パーテション、キャビネのパーツをキャンバスに利用するなど
オフィス廃材を利用したアートを手掛ける
アーティストユニット【オフィセルさん】

↓ カーペット?のような風合いに、一瞬で目を奪われる。
遠目だと「お洒落なゴブラン生地」のよう。
近寄ると「隠し絵」が浮きでてくるかのよう。

戦国の世で武将が身に着けた強さの象徴
狩猟や花のモチーフから発想を得たという版画作品
対照的な動物の姿など独自の着想も織り交ぜているとのこと
【吉浦眞琴さん】

↓ 北斎の鳥瞰図のような古典絵画のように見えるけれど、
現代アートの精神を感じる社会風刺と
今話題の伝説の怪獣が隠されていた。

西垣 肇也樹さん】

全体に広がる金の屏風のように見えるものは
雲のように見えて、実はゴジラが吐き出す炎なのだそう

ズームアップすると、享楽的に酒を飲みかわす人々が見えてくる。
これは、危機がせまりながら、のうのうとしている現代の日本人を
象徴しているとのこと。
手前には、近代化の象徴として、天高くそびえるNY高層ビルが建つ。

もとは水素実験から生まれたゴジラ
メタリックに光る水の流れは原子炉で、ゴジラを冷やすための水
経年で、赤茶に変色して周囲の色に近づいていくとのこと

時代ごとにゴジラが違うように、どの時代が良い悪いというのはない。
現代の世相を俯瞰した自身の考えを、風刺というユーモラスな形で、
古典絵画のオマージュを取り入れて描写している
とのお話もあった。

他にも、この絵の中には、様々な社会問題、その意味が込められている。
作品とのつながりを語るご本人の雰囲気やその言葉、表現の世界観、
すべてが相まって、創造と革新のエネルギーがみなぎっていた。
今回の展示作品を(頭の中での構想は別として)
2週間程度で描きあげたというのも驚く。

視覚的な絵画としての魅力もさることながら、
そこに込められた意味が明かされることで、
作品のパワーや面白さが次々と湧きだしてくるようだった。


ブログを書きたいとお伺いを立てると、
「全部晒してください!」とのお言葉をいただき、
ページを割くことに。今後のご活躍にも期待!

手前はロダンの彫刻
少し雲行きが……グレーがかってきたか?

噴水の向こうで待つ送迎車に乗り込み、次の目的地へ。

4. 古刹×現代アートの大作【音羽山 清水寺】

清水寺に西門に着くなり、飛び込んできた大作。
(この会場では、第一線で活躍のアーティストの作品が展示

「古刹×現代アート」だけに
1000年以上の時を経た古刹にも引けを取らないほどの
存在感あるアートと、そのコラボレーションの情趣を味わう。

↓ 黒猫のアートの前に、
写真撮影を待つ人が次から次へと集まってきて……。

人混みかき分けパシャリ!(無念にもお寺とのショットは断念😿)
ネコの顏や胴体に人の群れが歪んで映り込む
ヤノベケンジ「SHIP'S CAT(Ultra Muse Black)」

↓ お寺の前に横たわる巨大な伝統こけし

「インスタ映え~」と中から声がして驚く
時々、歌も歌うとのこと。
Yotta「花子」
斜めから観ると、こけしの表情が全く違う!

モアイ像?のような人形と目が合う……。

アルミで鋳造した自然石に描かれているのだそう。
朱塗りの屋根瓦、石垣や階段にさりげなく溶け込んでいる。
加藤泉「Untitled」

空気はひんやり、陽射しは温かいこの日
快晴の空には、かすかに舞う粉雪が。
(そんな素敵な一瞬をスマホで映し撮れず😿)

↓ 次に、普段は非公開の「成就院」へ。
「月の庭」とも称される名庭と書院に展示された現代アートを鑑賞。
(作品以外(庭や建物)の撮影は不可)

伊庭靖子「Untitled 2023-06」(左)
鶴田憲次「-niwa-2023 緑「コムケ湖」(右)
北海道紋別市のコムケ湖の原生花園を描いた作品


伊達靖子「Untitled 2023-06」(左)
水の流れや木漏れ日輝く情景を描いた作品 鶴田憲次
「-niwa-2023 水「天川村 川迫川」」(右)

掛け軸には龍が描かれ「one for all all for one」と文字も刻まれている
手前は、硝子石からできた耐熱ガラスと石で構成
ミヤケマイ「珠 circle or cycle」
「天の配剤 Sometimes the Apple Falls Far from the Tree」
椿昇「Dragonfly」
黄金のヤンマ(蜻蛉)が産卵のため水面を叩いているという作品
アート鑑賞後は、本堂の清水舞台〜音羽の滝へと散策
天から神秘的な光のカーテンが!

清水寺を後にして、
多くの人が賑わう清水坂〜五条坂を下り、清水五城駅へと歩く。
(この時期、混んではいても身動き取れないほどではない)

駅から2分の鴨川沿いにある「川間食堂」へ。
天気も良いので、テイクアウトでもよかったが、
窓際の席がちょうど空いていてラッキー。

湯葉入りの「湯バーガー」が美味だった♥
ご飯をのりで挟むけど、おにぎりと呼ばないのが👍

店内の壁には、いくつか目を引くアートが飾られていて、
小さなカフェのようにリラックスできる。
実際もカフェだけど、店名からは想像できなかった。

時計を見ると、午後1時を経過。
電車で次の会場へと急ぐ。

5. 時と場が重なりゆくアート【蔦屋書店 アートウォール】

わぁ~!と一瞬で心掴まれる。

統一感あるインテリアに、書棚が整然と配置されていて、
様々なスペースにアート作品が飾られている。
フロア内のギャラリーでは個展も開催されていた。

アートと文化の「伝統と最先端」が共振する場として
2023年10月オープンした「京都 蔦屋書店」
時代にあわせて、本屋さんも新化してきている。

京都初の「SHARE LOUNGE」(シェアラウンジ)120席
テレワークやリモート会議が当たり前の時代、仕事もはかどりそう

個展 constancy of space  @蔦屋アートウォール
【前田紗希さん】

書棚を巡る導線上のウォール(壁)に作品が展示

幾重にも重なりあう三角形と青の色彩。
どこか潔さのある作品を目の前に、神秘的なパワーを感じる。

なぜ三角形なのか?その理由も気になり、
作品の背景を伺う。

制作工程が同じ作品も
1つ1つの絵に様々な表情がある
(大きい方の作品は、1年程度の長い期間をかけて完成させたという)

作品は、コンセプトやモチーフを意識するのではなく
その時その場で自分の内側から出てくる
感覚的、抽象的なものをペインティングナイフのみで削り、
何十層も油絵具を塗り重ね、
「時間の堆積と境界」を表現している
のだそう。
(境界線は、マスキングテープを使用)

~三角形について~
極限まで削ぎ落として最後に残るのが三角形。
多角形の中では最小単位で、普遍的なものだと言う。

↓ 青のグラデーションが目を惹く

マチェールや凹凸、光沢感など細かなテクスチャー

色は、物が光を反射した色が見えているだけで、
その見え方は変化するもの。
だから、色より形。
極限までシンプルにした三角形が重要だという。

一方で、絵をどう解釈するか、その印象をどう感じとるかは、
ある程度鑑賞者に委ねられるもの
だと話す。

三角という丸みのない鋭い形、寒色系の色の重なりは、
機械的、人工的な印象を与えそうなのに、
自然の中にいるような安らぎを感じる不思議。

個人的には、青とモノトーンという配色が
生命の源、地球や海に。
近づくと、ラピスラズリの原石のようにも見えてくる。

縦の皺は白樺の木肌のようでもあり、
表面の光沢感は、反射する光の揺らぎのように。

それは、カオスに覆われて見過ごされている
極限の中で宿るエッセンシャルな存在を可視化するようで、
そこに大きなロマンを感じた。

リモートとリアルで人の印象が変わるように
この感動は、二次元でなくリアルで
目の前で見て肌で感じられるもの
だと思う。

「説明することで整理されるんですよ」と、
謙虚に答えるご本人の言葉と、
日々、真摯に作品に向きあい、制作に励む姿が重なった。
自然体で親しみある雰囲気にも癒されながら作品を鑑賞。

帰りがけ、
祇園四条駅前の「nikiniki」でお土産を買い
(伝統的八ッ橋の新しい楽しみ方を提供しているお店)
電車で次の会場へ

6. アーティストスタジオを見学【A.S.K-Atelier Share Kyoto+Alt Space Post】

アーティストの作品制作現場に潜入できる
オープンスタジオプログラム「OPEN ARTIST'S STUDIO 2024」
6つのスタジオからその一つ
「A.S.K-Atelier Share Kyoto+Alt Space Post」へと向かう。

話に花が咲き、乗り越しUターンした末、西京極駅に到着。
時間が押してきたため、タクシーを貸切ることに。

学歴、年齢、国籍さまざまなアーティスト13名が所属
友禅染工場を改装した3階建のシェアスタジオ(2010年開設)
スタジオ内は肌寒く、厚着しながら制作に励む
1階のアーティスト・ラン・オルタナティブ・スペース
紙皿に版を押して一瞬でピザが出来上がる実演
三分クッキングのBGMも流れる♬
企画展 大ままごと 【木版画家 若木くるみさん】

「Wiki世絵」
AI+若木くるみキュレーション
~wikipediaで検索したテキストを画像生成AIに
読み込ませるとどうなるか~
絵とは何か、絵心とは何かをぼんやり問いかける、
デジタル時代のスーパーアナログ展覧会。

若木さんの展覧会案内はがきの
洒落たコピーとユーモア溢れるテーマも気になった。

他にも、海底に沈む貿易船から発掘された
様々な国の陶器の破片の絵柄を版画で再現したアートなど……
数名のアーティストの作品や制作の様子を見学。

タクシーで次の会場へ。

7. 小粋な町屋に和むアート【Artist-in-Residence 賀茂なす】

町屋造りの小粋な喫茶Bar
店内はムード一杯🥂、和みの空間に心安らぐ。

ギャラリー(アーティスト・イン・レジデンス)は2階にある

今回の展示は、アーティストがそれぞれの表現を通して
交流を行う場面を動画化するという試験的アーカイブをスタートする
お披露目の機会も兼ねたグループ展。
ネットワークの活性化、新しい文化のあり方を目指しているとのこと。
(会場では、アーティストが作品について語る動画が上映されていた)

靴を脱いで2階へ

喫茶Barと親和性ある作品に味わいを感じる
【香月美菜さん】
小さなスペースに、ゆったりした展示
窓から見える家屋が日常を感じさせて、自然と心和む
ねじれたポカリは瓶なのかビニールなのか?
喫茶Bar併設の小粋なギャラリーの空気に馴染んでいる
【大東 真也】

午後4時20分を経過!
ここまで駆け足することなく鑑賞してきたが、
ついにピンチを迎える。次の会場は17時まで。
ダッシュでバスに駆け乗り込み、烏丸五城駅へ。
そこから東西線で丸太町へ向かう。

8. コンセプチュアルなアート【京都新聞ビル→Cafe.S】

16時50分に滑り込み到着。

残り10分!
昭和の香り漂うソファーや通路を抜け
階段で地下1階の会場へ。

そこは、お化け屋敷のように
あのゾクゾク、ワクワクした懐かしい感覚が蘇る。
暗闇にネオンが光り、機械音が鳴り響く。

陶器の残骸の山(ほとんどが欠けている)
鉄板の上でジュ~ジュ―と音を立てる「もんじゃ」のアップ動画
(ナレーションとテロップもついていたが、理解が及ばず)

コンセプチュアルなアートだけに
掲示された作品の解説を読まないと理解するのは困難。
結局、それを読む間もなく、終了のメロディーが流れる。

ぐるりと一周してその雰囲気を味わい、次の会場へ。

18時までだから、時間は十分ある!
急いでタクシーに乗り込み「Cafe.S」へ。

外観は平屋の日本家屋のようでも、中はカジュアルモダンなカフェ
車のショールームも併設されている

この敷地内には、3つの会場がある。
Cafe.Sに入る前に、隣の「MtK Contemporary Art gallery」を鑑賞。

「Travels and Dreams (in daily life)」
仮想世界が現実世界と接続され、現実の一部になって共存している世界
現実の移動と空想について作品を通じて考える機会を提供するグループ展
音や楽器、映像など機械的、動的なアート
ボタンを押すと動くなど、さまざまな工作仕掛けも

Cafe.Sの2階、離れの会場へ

空港の到着ロビーで見かけそうな
このサインは何?
ジェームズ・ボンド映画「007は二度死ぬ」のワンシーン
(ボンドガールは浜美枝さん)
タイトルをなぞったような「You Only Live Twice」の文字は
ホテルニューオータニのロゴと同じ書体なのだそう

「浮遊感」
異国の地から空港に着陸したばかりのとき(入国に至るまで)に経験する、
まだ現実とは思えないようなぼんやり曖昧な感覚
を表現しているとのこと。
(理解できそうで理解し難い、ありそうでも曖昧に思える
抽象的な感覚を表現しようと力を注ぐ現代アートの世界)

ここで、あの「Arrival」のサインの意味に気づく。
飛行機から降りた後に経験するであろう「浮遊感」の中、
空港内を歩くシチュエーションを演出しているのでは?と。

ギャラリーから見える岡崎エリアの景観
松の木と屋根瓦

↓ 最後に、Cafe.Sの店内へ。
カフェのインテリアアートのように展示された作品。
「mtk+vol.18/川村摩耶」
【川村摩耶さん】

カジュアルモダンなインテリアがパッと華やぐ、明るい油彩画
カフェの隣は車のショールーム
キャンバスに文字?
言葉の意味の移ろいゆきを重ね
文字のように見える図像などを描写しているとのこと

9. 南禅寺エリア→梅鑑賞(北野天満宮)

Cafe.Sからほど近い南禅寺エリアへ。

夕食の予約をしたお店の向いに、
素敵すぎるブルーボトルコーヒーが。

町屋造りのコーヒーチェーン「ブルーボトル」
(市内にはスターバックスの町屋もある)
この奥にもまだまだある
(手前のお店はセルフサービス専用)
離れにお店がもう1軒。2階は何だろう「お座敷?」
ブルーボトルのロゴが酒瓶に見えてくる

「料庭 八千代」で美味しい湯豆腐を!

冷たくなった身体がホッと温まるお豆腐
日本を代表する造園家「植治」が作庭したという「青龍庭」を望む

お腹を満たしたところで、
タクシーで梅の名所 北野天満宮へ

北風が吹く暗い参道を歩くうちに
豆腐で温まったはずの身体が一気に冷え込む。

楼門に到着!ぽつぽつ光る提灯が眩しい

梅花の歌で有名な学問の神様
菅原道真を祀る全国天満宮の総本社

連歌師の松永貞徳が作庭したという「雪月花の三庭苑」の一つで、
約50種1500本もの梅の木がライトアップされる「花の庭」が公開。

タイムパフォーマンスとの闘いを終え、
フィナーレを飾るのは梅の庭園✿

苑内に入ると大きなしだれ梅がお出迎え
「船出の庭」
しっとり厳かな夜の境内

入口から幽玄な世界が広がる。
この後、さすが京都と思える演出の数々に感動することに。

庭園入口では、老松の和菓子「菅公梅」と梅昆布茶
1人1人に手渡しで配られる。
入苑料に込みだとしても、嬉しい茶菓子のおもてなし。

焚きつける篝火
幾千の時を超え、平安にタイムスリップ?

海外の方を殆ど見かけなかった……何故だろう。
桜より梅の方が、もっと古風な日本を感じられるのに。

控えめなライトアップと暗闇に見え隠れする梅の花
平安時代の梅の宴の情景が浮かんできそう
温もりを感じる蝋燭のランタン
1つ1つ手作業で取り付ける大変さより、風情ある演出
 これが京の風格なのだろう

10. まとめ

朝9時~夜9時頃まで1日かけて巡った
「ARTISTS' FAIR KYOTO 2024」+(市内観光)

一般的な美術館での鑑賞スタイルとは異なり、
京都市内を歩きながら巡るので、
ちょっとした観光も楽しめる。
(気づけば1万7千歩!……いいエクササイズに)
その土地柄、それぞれの会場の特徴によって、
展示スタイルも工夫され、そのコンセプトにも
バリュエーションがある
ところが面白かった。

短い開催期間なので、作品の全てを観尽くすなら、
せめて2日+事前にプランニングをしておきたい。
今回のルートは、京都新聞ビルでは短時間で涙を呑むも、
梅シーズンの京都を味わい尽くすことができた。

AIやDXなどの文明の利器を活かしながらも
一方で、近代化に抗うように
長い歴史の伝統や風格を今も大切に守り続けている京都。
梅のライトアップ一つにも、アナログな演出で人々の心を動かす。

現代アートも一つのアナログな世界と言えるだろう。
(AIもデジタルアートも人の創造力の賜物)
ときに、多くの人々が理解し難く封印をしているような
抽象概念や社会風刺を表現しようと力を注ぐ。

それは、AIやデジタルの便利さで新しい時代を切り開くだけでは、
制御できないもの、失われる大切なものを補うように、
人が創造力で生み出すエネルギーの結晶
でもある。
自分もChatGPTに負けないように

……と、悦に浸りながら、
帰りの新幹線は、いつの間にか深い眠りに落ちていた。

いつか、春爛漫な心でアートを身近に過ごしてみたい……
そんな浮遊感を味わいながら。

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