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北国のフルーツ・湯の花に沁みゐる心(Calla's cafe)

✦前回投稿【チョコレートにロマンを込めて花束を】の続き✦

「叶わなかった奇跡……」

バレンタインデーの華やぐ街を背に
こぼれる涙を手で拭った

悲しみを癒したい……
そのために
どうしても行きたい場所がある

そう、極寒の北の地へ

スマホを握りしめ
12時の新幹線に乗り込む

駅弁を食べながら見る車窓の景色
まだ黄昏には早く

つい、うつろうつろしながら……

山脈を超えたら
「そこは 雪国だった」

吹雪に目を湿らせて
雪景色を分け入ると、そこは……
Calla's cafeへようこそ♨

~in 銀山温泉(山形)~
湯あがりにフルーツと花束をどうぞ

~・~・~・~・~・~・~・~・~・~

暖簾がひらりとゆれて

(Calla)
いらっしゃいませ~

(客)
あ、こんにちは

(C)
あ、こないだの……

~お客さまと、2週間ぶりの再会~

大雪のなか、遠いところ
お越しいただいて、ありがとうございます!

(客)
温泉街を応援してるとのことだったので

(C)
えぇ、大雪の日だけ臨時で……
メールの案内、見ていただいたんですね(嬉!)

そう言えば 今日はバレンタイン♬
(前回の花を贈るリハーサルの成果を期待して)

(客)
それが……
彼女、恋人ができたみたいで
キッパリあきらめようと (-_-;)

(C)
そ、そうですか……(失言)

あっ、ボーッとして、すみません
せっかくお越しいただいたのに

どうぞ、こちらへ
温まって、ゆっくりと
おくつろぎくださいね

~旅館入口の和洋折衷ラウンジへ~

✦掲示板✦ 銀山温泉
山形県の内陸部、尾花沢市(村山地方)にある由緒ある温泉街
(もとは「延沢銀山」として栄えていた場所)
銀山川の両側に、大正~昭和期の和洋折衷の木造建築が立ち並び
大正ロマンを思わせるレトロな風情が広がる
日暮れにはガス灯がともるフォトジェニックな街並み
川沿いには無料の足湯スポットもあり
※エリア周辺には果樹園、蕎麦屋などが多い

※詳細HP【山形県の公式観光・旅行情報サイト 】 

(C)
お待たせしました
温泉に入る前に
山形産フルーツワインの
試飲はいかがですか

(義理チョコも添えて)
こちらどうぞ……

(客)
あ、嬉しい!どうも

(C)
原料は、ぶどう以外にも
山形で獲れたさくらんぼ、ラフランス
他の果物のワインもあります

こちら、果物の案内チラシもどうぞ

(客)
それは興味深い! どうも

✦フルーツ王国 山形の旬の果物✦

さくらんぼ 旬5月~7月
佐藤錦(山形県彦根市発祥、柔らかくハリがある)
紅さやか(佐藤錦より酸味がある、実も大きい)
紅秀峰(甘味強い、大粒で硬め)など
※おうとうは、バラ科サクラ属の果樹
デリケートで温度変化や傷に弱く、栽培が難しいとされる
フレッシュに味わえる「さくらんぼ狩り」も人気
ぶどう 旬6~11月
スチューベン(甘味が強い)
シャインマスカット(肉厚で大粒、香り豊かで甘みが強い)
デラウェア(種がなく小粒、濃縮された甘味と酸味)
マスカット・ベーリーA(甘い香り、渋みや苦みが少ない)
ヤマブドウ(日本自生の山ぶどう、酸味がある)など
※ワインづくりの技術向上により、デラウェアなど生食用
外来品種のぶどうもワインの原料に
もも 旬は8月~9月
あかつき(定番)、川中島白桃(大玉で日持ちが良い)
美晴白桃、黄金桃(果皮と果肉が黄色で甘味が強い)など
西洋梨 旬は8月~1月
ラ・フランス(フランス原産の西洋梨、コクがありしっとりした風味)
シルバーベル(山形県産、ラ・フランスより大きい、甘味と酸味)
バラード(山形県産の品種、黄緑色の甲皮)など

※詳細HP【おいしい山形】

~お客さまは、フルーツワインを静かに味わう~

人の手で丹念に育てられ
たわわに実った果実を
贅沢に味わう 至福のひととき……
甘く優しい香りに包まれて
口の中で
苦みや渋みと一緒に絡みあい
じんわり、ふわ~っと、ひろがっていく

✦山形県のワイナリー✦
県産のぶどうを使ったこだわりのワイナリーが点在
(日本ワインコンクール他、数々の賞受賞も)
※日本ワイン(国内で生産され、原料が国産ぶどう100%)は
和食や地元食材との相性にこだわったものも多い

※東根フルーツワインHP
県内で獲れた果物100%、フルーツワインを販売

(C)
酔いがさめたら、温泉もどうぞ♪

(客)
はい、では ゆっくりと

~・~・~・~・~・~・~・~・~・~

お客さまが、温泉に入っている間に
花を飾っておもてなしの準備

そして、デザインの隠し味に選んだのは
「青文字」という枝

枝物ですが、すっきりした緑色の実が付いているので
寂しくなりすぎず、かっこよく、華やかに
洋の花にも、和の花にもあわせやすい枝物です

大正ロマンの風情と
しっとりした果物
そこに、さりげなく花を添えてスタンバイ!

ここは、雪降る冬の銀山温泉
和洋折衷レトロへ タイムスリップ!

モヤモヤした恋の苦味
ジンジンした恋の渋味
そんな心の澱は
温泉で温まって、洗い流して
湯あがりは、さっぱりリフレッシュを

そして
銀山温泉(臨時)女将 Callaが
花束を花器に仕立てました

花と果物がおりなすレトロなブレンドを
ぜひ、お楽しみください♪

~・~・~・~・~・~・~・~・~・~

白バラとグリーンのシンプルな花束 ~雪に芽吹く「凛」~

りんごのすっきりした甘みでシャキッと気分転換
温かいほうじ茶とともに、どうぞ☘
【りんごを温めて味わうなら】
煮りんご(りんごをはちみつとレモン汁で煮て、シナモンをふる)
スイートポテト(スイートポテト生地に刻んだ煮りんごを入れる)

花材:バラ(白)、デンファレ(白)
ドラセナ、ミスカンサス、青文字

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薄紫の花々とグリーンのレトロな花束 ~温泉ろまん宿の「艶」~

ラ・フランスのコクのある甘味をシットリ堪能
温かい珈琲とともに、どうぞ✦
【ラ・フランスを温めて味わうなら】
コンポート(ラ・フランスをはちみつ、ワインで煮る(冷やしても可))
洋梨の白玉あんこ(白玉あんこ、ラ・フランスのコンポートあわせ)
※もちっと食感同士の組み合わせ

花材:トルコキキョウ(紫)、ストック(紫)、スターチス(紫)
グリーン、青文字

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チューリップとスイトピーのふんわり花束 ~湯の花の「灯」~

冬みかんの優しい甘みにホッと一息
温かい緑茶とともに、どうぞ♥
南国みかん:南国の味が恋しい方へ
【みかんを温めて味わうなら】
温みかんゼリー(寒天でつくったみかんゼリーをレンジで温める)

花材:チューリップ(オレンジ)、スイトピー(白)
ミスカンサス、青文字

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(客)
湯あがりの花に、ゆんらり ひんやり……
Relax……Relaxing

酔いざましの冷たい果物と
花景色に、心洗われて

ふ~っ、ポッ
黄昏~夜の灯りへと変わった瞬間……

♬♬♬ ♬♬♬ ♬♬♬
どこからか……演歌(都はるみさん)が聞こえてくる

音が漏れてくるふすまを
そぉーっと開けると
ステージでは、歌にあわせてダンス

(客)
おぉ~ す、すごいコラボ
まさに 冬メロ……
(懐メロを夏メロと勘違いしてる……)

~心の奥で凍っていた琥珀がグラリと揺れて~

トントン♪
~ふいに、肩をたたかれ~

(客)
ドキッ

(C)
のぞき見ですか? フフッ

(客)
いえいえ
レトロだな~って
思わず、感動しまして

(C)
それは、良かったです
大正ロマン、ゆっくりご堪能ください

(客)
ありがとうございます!
もう堪能してます……

~こぶしでポンポンと胸を叩きながら~

ここの傷も癒されつつありますよ、ハハッ

(C)
フフッ
それは、遠いところ
来ていただいた甲斐ありましたね

(良かった……)

さくらんぼも 今は冬
さくらんぼの木は、秋に葉が落ちて
温度が次第にさがると、厳しい冬を越す休眠へ
春には花が咲き~実が育ち、5月頃に熟した姿へと変わる
極寒の冬を越えてこそ
花は美しく実は美味しくなる それが自然の摂理

ところで、今日はお泊りに?

(客)
いえ、明日仕事なんです
でも、どうしてもここに来たくて……

(C)
そうだったんですね
それは、女将冥利につきます

でも、せっかく会えたのに
寂しいですね

(客)
はい
でも、8時の新幹線に乗らないと……

……いや、やっぱり名残惜しい
少し温泉街、散策しながら帰りますよ

(C)
あ、お客さま
これ、さくらんぼのハンカチ どうぞ

さっき、涙がきらりとしてたので

(客)
えっ? あ、あれは……
雪ですよ、雪がまつ毛について
それが溶けたんでしょ

(C)
それは、失礼しました 笑

(客)
いえ、いいんです
ハンカチはいただきます
美味しそうだし……

(C)
んだの~(方言を使ってみたくて)

「春になったら、赤く実りますように」
願いを込めてハンカチを渡す~

(客)
どうもです!
じゃあ、また

(C)
えぇ、寒いのでお気をつけて~

♬♬♬ ♬♬♬ ♬♬♬
そのとき……曲が変わって

【愛は花、君はその種子 都はるみ】

♬♬♬ ♬♬♬ ♬♬♬

一歩 踏みこんだら ギュッと 靴が鳴った……

子どものころ 童話で見た 

白銀の景色が 目に映る

ゆかしい 温泉街の川沿いを 歩きながら……

シトリ……シトリ……

冷たい雪が ふっている

ユラリ……ユラリ……

ガス灯の光が ふるえてる

たゆまなく たゆまなく つづいてる

時が止まったような 空気に
流れ 漂う
優しい言葉に 包まれながら

足ゆの波止場で 立ち止まる

雪の天使が あらわれて
すっと 忍び込んできた
胸の奥まで

グラリ 動いて
君の息 すっと沁みて

凍え 固まったままの 
胸の琥珀

湯気になって

溶けだしてゆく

いたずらに たわむれて
僕の大切なもの 連れて

ユラリ ユラリ
夜空へと のぼってゆく

灯のぬくもり
乾いた目 溶かして

ポトリ ポトリ 落ちてゆく

さくらんぼのハンカチ濡れて

凍える手 行き場なくて
指先のばす

ふわふわ咲く 湯の花に……

たおやかに しなやかに

もてあそび かわすよに 

君は

とおく はるか遠く

遠のいていく……

「春になったら 赤く……」

ため息に 白い淡雪 

まざりあう

ひと息 ひと粒 逃さぬように

キュっと ギュッと 唇とじる

いつか実る その日まで
冷んやり優しい関係に、別れをつげて☘

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