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2022公開!世界で大人気「ボブ猫シリーズ」幸せのギフトとは(本・映画編)


1.「ボブ猫」映画とシリーズ本紹介(ネタバレあり)

「ボブは、ぼくがこれまで受けとったことのない
最高のギフトをくれた」

ジェームズは感謝する。
なぜなら、彼の失われた十年を、
たった三年で希望へと変えたボブは、
その立役者で、かけがえのない存在だったから……。

2012年、本国イギリスで、ジェームズ・ボーエン著
「A Street Cat Named Bob: And How He Saved My Life」
が発売されるとたちまち話題に。
40以上の言語に翻訳、シリーズ化され、
世界でシリーズ累計1000万部を超える大ベストセラーに。
2017年には、日本でも映画が公開されています。
「ボブという名の猫 幸せのハイタッチ」

(2017年公開映画のあらすじ)
ボブとの出会いは2007年。
アパートの前で怪我をしていた
野良猫(ボブ)を見つけたジェームズ。
その頃、プロのミュージシャンの夢破れ、
薬物依存症とも戦いながら、
路上演奏で生計を立てていた。
それでも、なけなしのお金でボブを看病するうち、
生活をともにするようになる。

貧困と孤独のループにはまっていた彼を、
希望へと導いていくボブ。
その姿に、キュンと胸打たれ、癒される。
そして、猫との幸せな交流の裏では、
格差社会のさまざまな惨状が垣間見える。
ジェームズ本人の実体験(著書)をもとにしたストーリー。

この記事では、2017年公開の映画と、
来春公開する二作目映画の原作本(シリーズ完結作)
「ボブが遺してくれた最高のギフト」

両方をピックアップして、その見どころをお伝えします。
また、一作目の映画を観ていなくても、
二作目の映画を楽しんでいただける参考情報を集めました。

実は、このボブシリーズを最初に知ったのは、
2020年の2月のこと。
本の翻訳者である稲垣みどりさん(友人)から、
作品を紹介されたことがきっかけです。
最近、やっと、この本を読んだところ、優しい気持ちに……。

花を贈るときにも参考になる。
そして、先行き不透明な今の時代に、
希望がもてるような温かな作品で、
多くの方に観て(読んで)もらいたいと感じました。
翻訳者のメッセージも預かっているので、
それは、最後にお伝えさせていただきますね。

(大人気「ボブ」作品まとめ)
2017年日本公開、映画「ボブという名の猫 幸せのハイタッチ」
原作:「ボブという名のストリート・キャット」
(辰巳出版 翻訳者:服部京子)※「ぼくとボブの物語」
※2017年ナショナル・フィルム・アワーズUK
【最優秀英国作品賞】受賞
2022年2月日本公開、映画「ボブという名の猫2 幸せのギフト」
原作:「ボブが遺してくれた最高のギフト」
(辰巳出版 翻訳者:稲垣みどり)※「ぼくとボブの物語 完結版」
「ボブが教えてくれたこと」(辰巳出版 翻訳者:服部京子)
→写真多数、ボブからの学びを綴った作品(スピンオフ/エッセイ)
※完結版だけでも理解できますが、スピンオフエッセイ、
三部作シリーズあわせて読んでいただくと、より深く楽しめます。
その他書籍:
ボブがくれた世界 ぼくらの小さな冒険
 (辰巳出版 翻訳者:服部京子)※「ぼくとボブの物語」
→ボブとジェームズの温かな日常を綴った作品

2. 映画と本の見どころ(2022年2月公開映画の参考にも)

映画と本、それぞれの見どころをまとめました。

(映画)
ボブの愛らしい姿や、イギリスの名俳優たちが織りなす演技、
セントラルロンドン周辺の街の様子が楽しめます!
ー追加情報ー
※ボブ本人が、ボブ役としてほとんどのシーンに出演
※ルーク・トレッダウェイ(ジェームズ役)と
ルタ・ゲドミンタス(恋仲のベティ役)は、実際も夫婦です
(書籍)
ジェームズ本人が綴る過去、ボブとの日常生活、
彼の価値観や心の変化など、
よりリアルに知ることができます!

映画では、
(ボブとの出会い、恋仲の女性との関係など)
オリジナルのアレンジがされていますが、
本も映画も、ほのぼの癒される、
「絶望のふちにいた青年が、
ボブや温かな人々とのつながりから、救われていく」

そんな、希望を与えてくれる作品です。

3. 著者の思いをつなげるために(ネタバレあり)

「誰にでもセカンドチャンスはある」
自らの苦くも幸せな経験をシェアすることで、
多くの人に「希望」をもってもらいたい。
と、語るジェームズ。

本も映画も
ボブが、可愛すぎる!
その姿を見ているだけで、笑顔で楽しめる。
そして、ジェームズさんの本では、
希望がもてる)人とのつながりを、より多くの人に
知ってほしい……という思いが伝わってきます。

一方で、社会の課題(貧困や孤独)に対して、
イギリスと日本では受け止め方は、
少し違うかもしれません。

日本では、
チャリティー支援活動への受け止め方はどうか……。
大切なのは、希望なのか現実なのか……。
(希望を絵空事と、いつしか、
あきらめてしまっていないか)
そもそも、この希望のあるストーリーを、
現実に、自分のこととして心から信じられるか……。

世界的な大ベストセラーとなったこの作品を、
そんな社会課題と照らしあわせることで、
著者の思いを理解しながら、
作品をより深く楽しんでいただけると思いました。

そこで、
一作目の映画(ボブという名の猫 幸せのハイタッチ)と
本(ボブが遺してくれた最高のギフト)から、
印象的なシーンをピックアップ。
今の社会と照らしあわせて、個人的な感想を、
共有させていただきます。
作品を楽しんでいただくための
参考にしていただけたらと思います。

画像1

①お金に代えられないgive

(本・映画から引用)
その日暮らしを抜け出すため、ボブとともに奮闘するも、
次から次へと困難が立ちはだかる……。
薬物へと誘惑されたり、勘違いされたり、邪魔されたり、
人との関わりから、自立への道が阻まれてしまう。
一方で、彼を救ったのも人、そして、猫のボブでした。
路上演奏をするジェームズには、
人々の冷たい視線も向けられていた。
それが、ボブを肩にのせるようになってから、
徐々に、温かな視線が集まるようになり、
気持ちも前向きに変わっていきます。

この作品では、
色々な「give」が描かれています。

「~してあげた」という上からのgiveは、
相手の自尊心を傷つける冷たい視線と同じこと。
むしろ、それによって、その人の
希望や挑戦の気持ちを奪ってしまうかもしれない。

一方で、お金(時間)がなくてもできる
お金に代えられないgiveもある。

「人は、それぞれ固有の背景がある、
誰もが希望をもてる」
そんな、温かな眼差しと「共感」の気持ち

それは、(ジェームズがそうであったように)
その人が、希望をもって、
前に進む原動力を後押しすることになる。

そうはいっても、社会は複雑。
作品にも出てくる、弱さと依存につけこみ
荒稼ぎするドラック売人のように、
優しさにつけこむ人だっているかも……と、
偏見だったり、その複雑さから
逃げたくなる気持ちもあるかもしれません。

でも、セカンドチャンスに向けて、
必死に頑張ろうとする人もいる。
その(助けを求める)声が、
かき消されてしまう社会だとしたら、
とても残念なこと。
(ジェームズは、「助けを求めることの大切さ」
についても、語っています)

たとえ、
お金や時間という形でgiveできなくても、
自分の目線(言葉)一つで、
相手の人生を変えるような
大きな価値につながることもある。
また、その逆もある。
そう、あらためて、気づかされます。

②お金以外のgive and take

(本・映画から引用)
ジェームズの心の支えとなった人々の中には、
彼が自立するためのサポーターがいました。

ソーシャルワーカー
(薬物からの更生に向けた支援、住む場所の提供)
ビッグイシュー(社会的企業)
(ビックイシュー(雑誌)の路上販売による仕事の提供)
ライター
(ジェームズとボブの物語を、書籍として出版につなげる)

ジェームズが自立できたのは、
このような直接的支援があったから。

日本は、アメリカなどと比べると、
恵まれた社会保障制度もあるし、
他にも、チャリティーやボランティア、
営利を目的としないNGO、NPOといった
組織のソーシャルサポートもある。

非政府組織(nongovernmental organization)
主に海外の諸問題に取り組む団体
非営利組織(nonprofit organization)
主に国内の諸問題に取り組む団体

最近は、その運営を持続可能な収益につなげていく必要性から
ソーシャルビジネス(社会課題を解決するビジネス)が注目されたり、
ESG、SDGsに配慮した企業への投資に目が向けられるように。

ESG投資
環境(Environment)、社会(Social)、ガバナンス(Governance)
に配慮した企業への投資
SDGs
Sustainable Development Goals(持続可能な開発目標)
2015年に国連サミットで採択。
2030年までに国際社会が共同して取り組む17の目標。
誰一人として取り残さないをスローガンに
国連、政府だけでなく企業も巻き込んだ目標。

お金以外のgive and take
作品にも描かれている、自立したいのに
その出口が見えないという負のループ。
それは、辛く耐えがたいもの。
負い目を感じて、助けを求めることをあきらめて、
他に依存を求めてしまうことも。

その中で、お金以外でも、人の尊厳に配慮した
自立(「希望」や「個人の可能性」を見いだす)
を目指したサポートが求められています。

経済不況のなか、
日本にあるこの根深い課題には、
大きな枠組みを変えるような
知恵、アイデアもまた必要に。
人の幸せを目的として社会を変えていく、
社会デザインが期待されています。

個人的には
そんな支援活動をされている方々へ
感謝の気持ちを忘れずに。
そのようなビジネスを応援する意識を
忘れずに。そう、あらためて感じます。

ジェームズが路上で販売していた雑誌、
ビッグイシューは、ホームレスや生活困窮者に
路上での雑誌販売という仕事を創り、
社会的自立を支援している英国発祥の社会的企業です。

(ご参考)
ビッグイシュー日本サイト
現在、路上販売者のボブシリーズ書籍販売は完売しています。
https://www.bigissue.jp/2020/11/16980/

③give and takeからgive and smileへ

(本から引用)
ジェームズが薬物に依存し、
ホームレスになったきっかけや背景には、
クリスマスへの歪んだ感情がありました。
両親は離婚、いつも一人ぼっちで、
悲しさや淋しさと結びついていたクリスマス。
でも、ボブと出会い、温かな人々の心に気づき、
その感情は変化していきます。

ジェームズは語ります。
これまでの人生は困難も挫折も多く、
自ら招いたものも少なくなかった。
でも、ずっと一貫していたことが、ひとつだけある。
いつも、思いやりあふれる人たちがいてくれたのだ。

何一つ義理がない中で、
自分の良心に従ってgiveをする。
そんな人々の愛に触れ、
もう、お金なんてどうでもいい、
「クリスマスカードを配って感謝を伝えたい」
という気持ちがあふれだします。

それは (純粋な愛による)真の助けあい
※少し言い過ぎましたが、つづきをお読みください。

give したら takeという、
お金や価値と交換することとは少し異なるもの。

といっても、現実は、
「生きるのに必死なんだ!」
「それは相手次第だよ!」って、言いたくなる。
信頼できる親しい人にはそうするけど、と……。

一方で、日本を含めた世界では、
SDGsという共通の目標を掲げている。
目標というより、壮大な理想のように思えますね。
キーワードは、「持続可能性」
「今さえ」の精神から、
世代間の公平さ、次世代に配慮する
未来への共感が求められています。
そこには、個性と個性が花開くような、
自由と愛がある……。

「give and take」 から
takeをもっと新化させた
「give and smile」へ
(勝手につくりました☺)
そんな理想的な未来へ

コミュニティーの枠を超え、
親しい人に接するように、
もっと多様にフラットに、その愛を広げて。
それが、社会全体の豊かさや繁栄につながる。
「お互いが自然と笑顔になるような共感性」が
ビジネスでもプライベートでも、
より求められていくのだろうと思います。

「きっと、それが本当の幸せなんだろうな……」と。
でも、自分にできるかどうか。
個人的には、自分のできる範囲で、
少しずつ、それに向かっていく。
そんな希望に目を向けていたい!です。

名称未設定のデザイン (77)

本の最後の章には、
親友のベルとボブ、二人と一匹で過ごした
小さいけど温かなクリスマスについて、書かれています。
そのときに、プレゼント交換で贈ったものは……。

ジェームズが選んだ贈り物も、普通じゃなくて面白いけど、
ベルが用意した贈り物には(涙)、ジーンときました。
それはお金では買えないような
ジェームズが「幸せ~(smile)」と、
心から感じただろう素敵なギフト。
ピュアな愛が込められているのです。

(それを、ここで伝えてしまうのはもったいないので……)

本と来春公開の映画でのお楽しみ♥

4. まとめ(翻訳者からのメッセージ)

悲しいお知らせですが、
ボブは、2020年6月に天国へと旅立ちました。

「ボブからの最高のギフトを大切にしたい」
と、著書の中で語ったジェームス。
Facebookでは、最近の彼の明るい表情、
日常生活の様子が伺えます。
本の執筆以外にも、チャリティー慈善活動を続けていて、
家族との関係も改善し、
音楽ライブなども楽しんでいるようです。

ボブ、そして、人々の温かさが、
彼の人生を変えてしまった……。
そんな「最高の、幸せのギフト」をもらったジェームズは、
その分、また多くの人にギフトを与えようと、
様々な活動に励んでいます。
(20+) James Bowen & Streetcat Bob | Facebook

そして、ボブの銅像も無事に完成。
2021年7月に、ロンドン北部
イズリントングリーン広場でお披露目式もありました。

この記事にある情報ソースの多くは、
翻訳家の稲垣みどりさんに協力いただき、収集したものです。
(他の訳書も多数出版。詳しくはAmazonにて)
※Callaお勧め
『BIG NINE(ビッグ・ナイン) 
巨大ハイテク企業とAIが支配する人類の未来』

(未来学者エイミー・ウェブさんがAIの未来を予測!)

最後に、彼女から、
皆さんへのメッセージです!

ボブとジェームズは、
偶然出会えたことでお互いの人生が好転し、
豊かで幸せな時間を過ごすことができました。

生活に余裕がないにもかかわらず、
怪我をしていたボブに手を差し伸べた
優しいジェームズだからこそ、
ボブも彼のそばを離れなかったのだと思います。

奇跡のような物語、
ぜひ多くの方に知っていただけますように。

「ボブが遺してくれた最高のギフト」
翻訳者 稲垣みどり

海の向こう・英国発~
心温まる映画とシリーズ本のご紹介でした。
ボブのかわいいハイタッチ、
肉球スタンプも、ぜひお見逃しなく♥

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