見出し画像

【アニメーション制作フロー】~段飛ばしは失敗の原因~

「スケジュールが短いので、このままアニメーション工程に入ってくれませんか。」

個人で活動するクリエーターなら、一度はこんなことを言われたことがあるのではないでしょうか。渡されたのは、 ざっくり書かれた文字情報だけ。

「クオリティよりも納期優先でお願いします。」
経験の少ない方の場合、このまま引き受けてしまうと大抵失敗してしまいます。

実際に経験した話

「シナリオ(骨組み)はこちらで用意したので、そのままアニメーション制作に進んでもらえないか?」 納期は2~3週間。3分程度のアニメーション動画。まだ経験も浅い時期に、実際に引き受けた案件です。

時間はないものの、言われた通り1~2週間程度でなんとか形にすることができました。クオリティ的にも、そこまでおかしなものではありません。

しかし、返ってきたコメントを見ると、数えきれないほどの修正箇所。
その内容は、初めに渡されたシナリオからもだいぶ変わっており、尺もナレーションも、原型をとどめていないものでした。

結局、スケジュールも大幅の変更になり、振り出しからのスタートです。


段飛ばしは必ずこける

この失敗のもとを辿ると、「シナリオは用意した」「スケジュール優先で」という言葉を真に受けて、必要な工程を飛ばしていきなりアニメーションを作ってしまったことです。

アニメーション制作では、おおよそこの様な流れで制作されます。

①企画コンテ(ざっくりとした内容が書かれたコンテ/字コンテ/シナリオ原稿など)
②演出コンテ(細かい動きのイメージやラフ画などが描かれたコンテ)
③グラフィック・イラスト制作(実際に使用するデザインされたカット。スタイルフレームなどとも呼ばれる)
④アニメーション制作(BGMや効果音、仮NAなども並行して制作)
⑤収録/MAなど
⑥納品

※呼び方などは各会社さんによって違いますのでご注意を。

今回のケースでは、②と③を飛ばして④を作り始めていました。

また、映像の経験が浅いクライアントにとっては、①企画コンテが「骨組み」だと考えていたのかもしれませんが、これはあくまで構想段階で、実際には②演出コンテが動画の骨組みとなります。


どう対応すべきだったか

まず「スケジュールを優先させるので、最低限のことでいい。」という言葉に耳を傾けないことです。
クライアントは完成品がイメージと違う場合、納期は二の次になり、クオリティを優先させます。(逆の立場でもそうすると思います。)
「遅く作る」という訳ではなく、一定以上のクオリティを担保させることは、どんな時も優先すべきです。

また、短くても必ず各ステップを踏むことです。
各工程を1つでも飛ばした案件は必ず失敗します。
スケジュールが短い案件は断れ、という意味ではなく、
どんなに短くても各工程のチェックはしてもらう、ということです。

特にフリーランスで実績の少ない方は、どんな案件でも受けようと頑張ってしまうため、注意が必要です。

ラフコンテは最も重要な骨組みです。これを飛ばすということは、柱のない家を建てることと同じです。とても危険なことなので、プロとしてやるべきことではありません。


最後に

今回は実際の経験と反省をもとに、自分への戒めを込めてこの記事を書かせてもらいました。
アニメーション制作において守るべきことは「段飛ばしを絶対にしない」と心に決めることです。そのお陰で、大きな失敗は最近ではほぼ0になりました。

単純なことですが、いくら金額を積まれてもこれだけは絶対に守るべきです。
そうしなければ、自分が疲弊するだけでなく、信用も失ってしまいます。

皆さんの失敗を減らす何かのヒントになれれば嬉しいです。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?