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【トランジションの基本】~モンタージュ理論~

映像表現では、ショットからショットへ画が移行することを、"トランジション"と呼びます。
トランジションと聞くと、「エフェクトをかけること」を想像しがちですが、最も基本となる技術は「カット」です。

「カット」とは、撮影したフィルムをハサミで切って繋ぎ合わせるように、前後の画と画の組み合わせを変えることを指します。

デジタル化されている今では、当たり前でなんの変哲もない作業なのですが、まだフィルム撮影の時代に、「前後の画を組み替えることで、キャラクターの感情や、ストーリーの意味合い、メッセージを変えられるんだ…!」ということは、大発見だったんです。

この、前後の画を組み替えてストーリーを表現することを、モンタージュ理論と言います。


クレショフ効果

そのモンタージュ理論を、1922年に実験によって示した人が、ソビエト連邦のレフ・クレショフという映画作家・映画理論家がいます。

「映像の意味や解釈は、ほかの映像とのつながりのなかで相対的に決定されていく」とされ、映像表現においては、最も基礎になるもの、と説明しました。
この効果はクレショフ効果と呼ばれます。

モーショングラフィックにおいては、モチーフが絶えず動いているイメージがあり「とりあえず、エフェクトかければ良い感じに見えるよね」と思ってしまいますが、カットをうまく使うことで、効果的にメッセージや感情表現を演出することを忘れてはいけないように思います。


クレショフ効果の実験を参考にして、いくつか作ってみました。
最初に流れた画と、その次に流れるキャラクターの画(無表情)が組み合わせることによって、どんな印象を受けるでしょうか。

シーン1では、コップに入った飲み物を見る人物がいます。
この時は「喉渇いたな〜」とか「飲んでいいのかなー」と考えているように見えます。


シーン2では、地震が起きた後の人物を描いています。
この時は「怖いな..」とか「何が起きたんだろう?」など心配や不安な表情に見えます。

下の2つでは人物を見て何を考えているような印象を受けますか?


前提として、人物の表情は全て同じで無表情です。
にも関わらす、その他のシーンでも、それぞれ人物の感情や心情は変わって見えます。

これがクレショフ効果と呼ばれ、モンタージュ理論の基礎となります。

最後に

ご覧いただいた様に、映像において「カット」は最も基本的なトランジションです。当たり前の様な技法なのですが、映像を演出する上では非常に需要な理論となります。

特にアニメーションではただやみくもにエフェクトをかけて終わらせがちですが、目的を持って技術を選ぶことによって、よりメッセージの強い動画にすることができると思います。

ぜひ、参考にしていただけると嬉しいです!

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