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【トークイベント】依頼されやすいクリエイターになるには?【イベントレポ】

今回は、「依頼されやすいクリエイターになるには?」をテーマに、企業アニメーションを中心にこれまで750件以上の案件に関わってきたベテランプロデューサー・松浪宜秀さんをお招きしたトークイベントを開催しました!

イラストレーター&ディレクターとして活動されている松波さん。クライアントからの視点だけでなくクリエイターからの視点からも踏まえて伺った、貴重なお話をレポートしていきます。


プロフィール

ゲスト:松浪 宣秀 (まつなみ のりひで)さん


会社員としてIT業界にてPG、SEとして従事する傍ら、イラストレーターとして2足のわらじで活動。 2014年頃、イラストレーションおよびクリエイティブ関係に専念するため独立。
同年、国内動画制作会社にて外部クリエイターとして動画ディレクション業務開始。 翌年よりプロデュース業務を担当。これまでに750件以上の動画制作案件に関わる。 担当案件の9割ほどアニメーション案件。
現在は別の動画制作会社にて動画ディレクション、プロデュースを担当している。

 ▼主な業務内容(プロデュース業)
与件・条件確認、クリエイターのアサイン、スケジュール策定、進行管理、予算管理(状況に応じてディレクターサポート、クリエイティブチェック)

ホスト:FLAMo合同会社


イラストアニメーションを中心に制作するモーショングラフィックスタジオ。シナリオからモーションデザインまで「人はなぜ観るのか」を問い掛けながら、日本中のクリエイターと知識を共有し、デザインされたアニメーションをお届けしていく会社を目指しています。

 ▼WEBサイト
https://flamo.co.jp/


プロデューサー目線で、どんなクリエイターが依頼しやすいのか?


一般的に企業案件では、プロデューサーとしてスケジュールや予算などの与件確認後、クライアントの要望にあうクリエイター探しが始まります。

ポートフォリオサイトや動画制作者が集まるプラットフォームを中心に見ていくという松浪さんですが、その中でもまずは”イラストが0から描ける””ディレクションができる”などの技術的なスキル面についてお話を伺いしました。



定量的側面(ハードスキル)

専門的な知識や具体的な技術といった「定量的側面」
費用感・スケジュール・テイスト
の3つがポイント!

アニメーション制作をするクリエイター

1.費用感

「要望のクオリティに対しての費用感は妥当であるか?」
「クライアントの予算内で対応可能そうか?」
  
という面でみていきます。どんなにクオリティが高くても、クライアントが持つ予算内でできる範囲でなければマッチしません。
ポートフォリオには、担当した案件の情報(再生時間や内容、目的など)や担当領域の他に、費用レンジを書いておくと分かりやすいです。

細かい金額を掲載する必要はありませんが、「このくらいの内容なら、この費用感でできる」ということがわかると、声がかかりやすいと思います。

2.スケジュール

「要望のクオリティに対して、制作工数は妥当か?」 
どの工程にどのくらいの日数がかかるのか?がわかることも重要です。手が早いクリエイターかどうか、というのは1つの評価するポイントでもあります。

「クライアントの希望納期に対応できそうか?」
当たり前ですが、納期を守るクリエイターであることは必須条件です。
クライアントからの希望納期がタイトであっても、受注した以上は「できる」とみなされます。納期に不安がある場合は、きちんとその旨をプロデューサーやディレクターに相談しましょう。

3.テイスト

「案件に合ったテイストであるか?」 
もかかせない条件の1つです。クライアントが希望するテイストの動画を作れるかどうか?を見極めるために、ポートフォリオに掲載された実績や経験を見ています。

客観的な意見ではありますが、声を掛けられる可能性が高いのは、幅広いテイストの実績がある人です。

実案件の業種・内容はクライアントの数だけ多種多様です。対応できるテイストの幅が広ければ広いほど、パッと頭の中に思い浮かぶ存在になれる可能性が高いといえるでしょう。

プロデューサーという立場は常に多忙で、複数案件が同時進行していることがほとんどなので、限られた時間(依頼を受けたその日中など!)でクリエイターを探さなければいけないことがほとんど。
また、案件としても最初から希望のテイストがピンポイントでが決まっているわけではなく「AかBみたいな感じで、Xではない」というような、やや広いイメージから始まることが多いのです。
そのため、特定の分野の実績しかない人よりも、様々な業種の実績を持つ人の方がアサインされる可能性は高い傾向にあります。


クリエイターの得意ジャンルやテイストの重要性

プロデューサーが依頼をしたいクリエイターを選ぶ際に重視する項目の1つ、「テイスト」について、もう少し掘り下げていきたいと思います。
実際にFLAMoでも、「どんなテイストのアニメーションを作っていけばよいのか、方向性がわからない/決められない」といったクリエイターからの相談を受けることもしばしば。

アニメーション制作と一言で言っても様々なジャンルがありますが、今回は4タイプのクリエイターを例に、それぞれの特徴と活躍できる場についてお伺いしました。

1.テイストの幅が広いクリエイターの場合



前述の「定量的な側面」で触れた通り、クライアントが希望する方向性が定まっていない場合でも、プロジェクトを進行させながら柔軟に対応ができるのは、プロデューサーからしても大変心強い存在です。

ただし注意が必要なのは、諸刃の剣にもなり得るということです。
特定のテイストを持たないということは、悪く言えば特色がなく、その人でなくてもよいというケースも。
クリエイターとしての参入障壁が低いので、その分競合が多くなります。

全てが飛びぬけてクオリティが高いという場合は別ですが、1つのジャンルに特化しているわけではなく、ある程度の水準で幅広いテイストの実績がポートフォリオに並んでいる場合、長い目で見ると厳しいかもしれません。

例えばテストの点数で考えてみましょう。
5教科の全部が66点のAさんと、
4教科がそれぞれ60点で、1教科だけ90点のBさんがいたとします。
この場合、2人の合計値は同じですが、1教科が飛びぬけて高い得点のBさんの方が、仕事においては声が掛かりやすい傾向にあるのです。

一定の基準以上で幅広いテイストに対応できる能力は評価されますが、さらに何か1つでも自分の強みをもっていることが今後の活躍に繋がるかもしれません。

デザイン性が高いクリエイターの場合


アタックムービー・MVといった”デザイン性や動きなどで目を引かせる必要性”があるプロジェクトにはうってつけです。
ただしこのテイストを希望する案件は、クライアントもリテラシーが高く、こだわりが強いケースが多いので、費用面や制作途中のすり合わせで苦労することもしばしば。
決められた予算や納期で、最大限の強みを発揮できるよう、デザインの引き出しを持っていくことが重要です。

モーショングラフィックスが得意なクリエイターの場合


幾何学的なシェイプや文字といった要素を中心としたアニメーションは、情報や数字を伝えるインフォグラフィック動画の魅力をひきだします。
対ビジネス向けの動画はもちろん、真面目な雰囲気・シャープな印象を必要とする場合や、やや堅めなサービス内容、専門的な内容への親和性が高いと考えています。
特に企業側としては、「固定的なイメージをつけたくない」という希望も多いため、あえて意味をもたない抽象的な図形やピクトグラムなどを使用したアニメーションなどが好まれる傾向にあります。
最近はインフォグラフィックスを使ったアニメーションの需要が高いです。


キャラアニメが得意なクリエイターの場合

キャラクターアニメーションをつくるクリエイター


親しみやすさ、共感性を重視する場合に親和性が高いといえるでしょう。
生き生きとした人物や動物などのアニメーションを取り入れることで、柔らかい雰囲気のサービスや個人向けの動画、伝えたい内容の事前知識がない層へのアプローチがしやすくなります。
ただし、前述の通り、企業としてはあまり特定のイメージをつけたくない場合も。線画系のシンプルな人物イラストが最近流行っているのは、そんな背景からきているのかもしれません。

キャラのテイストに関しては、その時の流行り廃りが存在します。
例えば映画の「君の名は」が流行ったときは、「新海誠監督風のキャラアニメができないか?」などの要望が増えたことも。(笑)

日常や身の周りで見かける広告を参考にしたり、自分の好きなキャラクターと目指したいクリエイターとしての在り方を鑑みて、キャラのテイストを考えてみると良いと思います。

条件面以外で、求められる人物像

定性的側面(ソフトスキル)

次に、コミュニケーション能力や協調性・問題解決能力などの「定量的側面」について。
いかに条件とテイストが噛み合ったとしても、やり取りをしていく中でコミュニケーションに難がある人への依頼は避けたいのが正直なところ。
プロデューサーとして多くのクリエイターと関わる中で、技術面以外でどのような人が好まれるのかお伺いしました。

ソフトスキルのイメージ

ポイント1:丁寧なコミュニケーション

言葉遣い、物腰が柔らかく、より丁寧にコミュニケーションしてくれる人へ依頼は集まります。
初回はお互い目で見える部分で判断しますが、その1回でコミュニケーションがきちんととれるか・スケジュールが守れるかなど、基本がしっかりできていることは最低ラインです。この基本が1回目でできていないと、よほどのことがない限り2回目はないというのが本音です。

ポイント2:柔軟さ

条件面でも、ある程度バッファを持った(=余裕を見込んだ)対応をしてくれるとなおベターといえるでしょう。

ポイント3:専門的な知識や経験

案件によって専門的な知識や経験を求められるケースがあります。
この専門的な知識とは、ツールが使えるかどうかといったものではなく、職歴であったり、特定の趣味のことを意味します。

例えば釣りが趣味なら、釣り好きなことをプロフィールに書いてみるのも1つのアピールになり得ます。釣り好きならではの推しポイントがわかるので、釣り関係の案件が来た際には、クライアントのコミュニケーションも円滑にとれる・クリエイターとしても好きなものをクリエイティブに生かすことで良いアウトプットにつながるという良いことづくしなのです。

自己紹介で趣味や得意分野の記載は充実させておくと良いかもしれませんね。仕事に繋がるきっかけになるかもしれません。

同様に、学歴や経歴に関しては、動画制作やクリエイティブに関係のない分野でも記載しておくと目に留まる可能性があります。
その際、ただ「〇〇学校卒」と書くのではなく、その学校でどんなことを学んだのか?ということをプラスの肉付けとして記載することでより価値のある情報になります。


松浪さん、参加者の皆さん、ありがとうございました!

質問会の内容はこちらの記事でまとめていますので、ぜひご覧ください。


学習コンテンツも配信しておりますのでぜひ下記URLよりご覧ください。
https://www.flamoschool.com/

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