見出し画像

「アバター近藤が解説する業界史~逆タイムマシン経営論845」

皆さん こんにちは アバター近藤です。
「逆タイムマシン経営論」として、業界唯一の経営情報誌であるフィットネスビジネス誌のバックナンバーを引用しながら、それぞれの年のトピックスや記事について、示唆することは何かをアバター近藤なりに解説していきます。
「歴史に学ぶ」とは良く使われる言葉ではありますが、フィットネス業界史について、詳細に検証した文献は恐らくないと思いますので、これから良い歴史を作るために何かしらのお役立てになれば大変うれしく思います。

~Fitness Business通巻第41号(2009.3.25発行)「事業存続のための4つの指針ー経済の荒波を乗り切るクラブ運営のヒント」3~※名称等は当時、一部文章省略

4.経済低迷に苦しむ会員をサポートする

ペンシルベニア州ランカスターのユニバーサル・アスレティック・クラブのオーナー、リック・キャッスルベリー氏は、新規入会こそペースダウンしていないものの、退会が増えていることを懸念している。
定着を高めるために彼が実施しているのは、金銭的な理由から退会を余儀なくされている会員に対して、無料でクラブ使用を認めるという思い切った手法である。

「我々はお客さまに会員になっていただくために様々な努力をしています。だからこそ、職を失った、手取りが減った、といった理由でお客さまが退会を申し出られると、大変心が痛みます。お客さまはすでに仕事や収入を失って辛い状況であるのに、そこでさらに彼らの人生からフィットネスを奪うことはしたくないのです。そうした方々を助けたいと思っています」と同氏は語る。
同氏は、このようにサポートした顧客は、収入のレベルが復活したときに、会費を支払ってくれると考えている。
彼らに無料でクラブ使用を認めても、クラブにコストは掛からない。
むしろ、このようなサポートを行うことで、お金を掛けずに熱狂的なファンを作り出せることができる、と同氏は考える。

会費を徴収しないからといって、彼らがクラブでお金を使わないわけではない。
サラダや水、その他の有料物品やサービスは利用する可能性が高い。
ユニバーサルの売上の40%はこうした付帯収入から来ており、顧客は1回のクラブ利用で平均5ドルの有料物品やサービス購入をしている。
このような付帯収入こそが、厳しい経営環境下でクラブのキャッシュフローを底支えするのである。

以上、営業体制の再編成、トレーニングの強化、新しいマーケティング手法の導入、付帯収入を増やすためのプロモーションの実施、顧客サービスポリシーの見直し、と様々な事例を紹介してきたが、一貫しているのは、現在我々はかつてない苦境に立たされており、変わらなければ生き延びられない、という現状認識である。
誰もがこの切迫した状況を肌で感じていることだろう。
問いはただ一つ、あなたは自己変革し、飛躍するための一歩を踏み出すことができるだろうか?ということだけである。

~ここまで~

最後の文面、「現在我々はかつてない苦境に立たされており、変わらなければ生き延びられない」という現状認識は、現在のフィットネス業界企業に最も必要な感覚だと思います。

何故ならば、パンデミックによってマーケットが縮小したにも関わらず、異業種からの参入を含め、相変わらず24Hジムやパーソナルトレーニングジム等小型ジムの出店が旺盛で、クラブ数は増え続ける一方だからです。

業界28年目のアバター近藤の視点だと、マーケット縮小時にクラブ数が増えている現状にとても違和感を覚えますが、本業で苦境に立たされているロードサイド型の異業種企業にとっては、隣の芝が青く見えるのかもしれません。

「健康(ヘルスケア)領域は注目され続けているし、ジムに改装してマシンを並べれば、それなりにやっていけるのでは」といった思考です。
アバター近藤はこれまで、業界内で一定の成功を収めたと評価された企業複数社に運よく属した経験があるものの、一度として簡単な事業だと思ったことはありません。

最近、それを特に強く感じることもあり、安易な参入で生じた競争過多で共倒れする事態を避けるべく、独自路線の強化が必須だと改めて考える次第です。

お読みいただきありがとうございました。

宜しければサポートお願い致します!