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チームTRITON南伊勢 海の未来を考えるワークショップ第二回を実施しました

三重県南伊勢町の水産関係者や町の方が集い、この町の海の未来について考えるワークショップの第二弾。今回も漁業者や漁協職員、役場職員、地元の大学生が参加。さらに町で飲食店やカヤックのツアーを実施している方も参加していただき、活発な議論が行われました。

まずはフィッシャーマン・ジャパンの安達より、前回のワークショップの振り返りと、その際に参加者のみなさんからの意見を整理していくと、そこから「海での活動が、町全体によい影響を与えていく」という図が見えてくる、ということを共有。
海で取り組むべきことを考えるためにも、今回は半分勉強会も兼ねた対話の場となりました。

南伊勢町育ちの大学生、上村駿介さん フィッシャーマン・ジャパンのクルーとしても活躍。

日本における水産資源の状況を、南伊勢町育ちの大学生、上村駿介さんからご説明していただきました。自身で水産資源の状況をリサーチし、南伊勢のみなさんにわかりやすく、データを三重県や南伊勢町のものも引用しながら解説してくれました。

南勢種苗センターの山本 大さんからは、磯焼け対策やブルーカーボンについてのお話が。

南勢種苗センター 山本 大さん

南伊勢町ではウニ駆除を活発に行なっているエリアがあり、それが藻場再生にもつながったこと、さらにそこが「ブルーカーボン」として認められ、昨年、ブルークレジットを発行しました。

まだブルークレジットの販売面で課題はあるものの、近年急速に減少してしまっている藻場を再生させることは、生態系位への貢献だけでなく、海中の酸素濃度が上昇することなどが期待され、水産業にとっては重要なこと。これらの活動をより活発に行えると、南伊勢の漁業はもっと盛り上がるかもしれません。

フィッシャーマン・ジャパン アートディレクター安達

勉強会の最後に、フィッシャーマン・ジャパンの安達より近隣地域の資源管理の事例をお伝えしました。三重県の尾鷲市では、早田が定置網漁業で「稼げる漁業」を目指し様々な改革を行なっており、操業日数も人員も船の数も、水揚げ量すら減らしても、売り上げは減らず、資源管理に繋がっています。徳島県美波町の日和佐町漁業協同組合では、刺し網の伊勢海老漁で資源管理を行い、操業日数を大幅に減らし、網の数も三分の一以下に減らしても、水揚げ量は2倍に、そして売り上げは2.5倍に伸びました。

このような資源管理の取り組みはヨーロッパやアメリカの市場ではスタンダードとなっており、そのようにグローバルマーケットで評価されるためにも、サステナブルシーフードの国際認証の取得が求められています。水産発展国と言われている国では、マーケットの圧力により日本以上に取り組みが進んでいます。

これらの話をきっかけに、参加者のみなさんで海での取り組みについて対話をしました。

まき網船のサステナブルシーフード認証の認知度を上げたらどうか。産卵期には水揚げを避けるルールを作り、たくさん獲ることを目指した漁業から脱却しながらも、経営を多角化することで稼ぎは確保できるのでは。漁業権のあり方を見直すことで、新しいビジネスチャンスがあるはず。それが従来の漁師の枠を超えた新しい働き方に繋がるのではないか。町にすでにあるマリンアクティビティや、釣り人を巻き込むことが、本質的な「海業」を実現できるのではないか。。。など、多くのアイデアが飛び交いました。

さらに、漁業の効率を上げるためには漁法をシフトした方がいいものがあったり、マダイやマグロ養殖では海水温上昇の影響を受け夏枯れが起きていること、稚魚放流の対象が、漁師の高齢化などに伴い沿岸部で生息する生物にシフトしてきていることなど、前回の対話では出てこなかった新たな課題も明らかになりました。

時間が過ぎても全く話がとまらないほど場は盛り上がりました。多くの課題があるからこそ、そこに向かってみんなで一丸となれるチャンスでもあると感じさせてくれるワークショップとなりました。

ここから具体的なアクションを定め、一歩一歩南伊勢の海を盛り上げていく活動につなげていきます。次回もワークショップを3月に実施予定。南伊勢町の方、南伊勢の海を盛り上げたいという方、ぜひ参加をお待ちしております!

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