白井忠俊

縄文土器の装飾は蛇ではないか?日本美術の源泉である原始蛇信仰を“円筒絵画”によって問う…

白井忠俊

縄文土器の装飾は蛇ではないか?日本美術の源泉である原始蛇信仰を“円筒絵画”によって問う。 画家・ヲシテ国学門人・賞道師範代

最近の記事

遮蔽礼讃

隠されると見たくなる、透けて見えれば想像する。 現代は何も隠されていない時代です。 近代以降、”視線”はすべてを均質化し平板化しました。 見る事によって、絵は価値を判断されます。しかし 見られない事によって価値が上がる場合もあります。 ”遮蔽”です。 日本には遮蔽する建具が多くあります。 屏風(びょうぶ)・障子(しょうじ)・格子(こうし)・衝立(ついたて) 結界(けっかい)・御簾(みす)・垣(かきね)・幕(まく)・暖簾(のれん) などです。 ・御簾越しの天皇 ・結界

    • 象徴の蛇・隠喩の蛇

      2013 ブログ「縄文と古代文明を探求しよう」2013年1月掲載、のち加筆 あけましておめでとうございます。 本年もよろしくお願い申し上げます。 2013年.今年は巳年です。“へび”について考えるには良い機会ですね。 これから、「へび調査隊」のわたくし(隊員名:ハミハミ王子)が皆さんを「へび学」にご案内します。 「へび調査隊」とは世の中の名称・地名・図像・考古遺物などから“へび”を見つける巳右衛門隊長を中心とした集まりです。 蛇の目って何ぞや?へび調査隊が行く 嫌われて

      • 謎解き!日月山水図屏風 鑑賞の源へ

         2018年に天野山金剛寺所蔵の《日月山水図屏風》が国宝に指定されました。 見るものを圧倒するエネルギーに満ちています。ファーストインプレッションで驚きと笑いが込み上げてきて、さらに一歩進んで食い入るように屏風を見たことをおぼえています。 太陽と月があり、四季の変遷、水の循環、大気の動き、山と海そして緻密に描かれた木々によって世界の構造をとらえています。インドの曼荼羅でもない、中国の神仙峡でもない、日本に住む人が生み出した“すべてが循環する世界”です。 この屏風について

        • 平治物語絵巻模写そして鑑賞

          2015.6.23 日本画材の老舗「喜屋」に行ってきました。 あんまり変な質問ばかりするので途中から嫌がられましたが、 天然岩絵の具のみを購入する意図を理解してもらえてから、 こだわりのおばあちゃんが相談に乗ってくれました! ここで最近の勉強の成果をダラダラ書きます。(美術系以外のひとにも楽しんでもらえたらうれしいです。) まず、日本画の着色する絵の具は天然岩絵の具・新岩絵の具・水干絵の具・顔彩があります。 そこで、ぶっちゃけて言うと江戸時代前の大和絵は天然岩絵の具だけ

          イスラム教勉強中

          2016 インドネシア滞在に向けて勉強中、なんといっても8割がイスラム教徒なのでまったく知らないわけにはいきません。 ムハンマドの生涯 (「知の再発見」双書) アンヌ=マリ デルカンブル 創元社 2003-09 読んだ感想は置いといて、(イスラム教について注釈することそのものを躊躇します。) 美術の着眼点としては大きな発見がありました。 メッカ巡礼とはなんだろうと思っていたら、カアバ神殿に辿りつきました。 一神教だし、偶像崇拝しないし、でもあの人数が巡礼するわけだから 気

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          ヲシテ文献の参考書を作成

           ヲシテ文献のホツマツタヱも随分と知られるようになってきましたが、ヲシテ文献はヲシテ文字で書かれているためヲシテ文字で読み、類推しなければなりません。 読みにくいからと言って、漢字に当て嵌めた訳文を作り、ヲシテ文献の高貴さを貶める人が後を絶たないのも事実です。全くもって迷惑です。富士山の古い名前「ハラミヤマ」を「原見山」と漢字訳してしまう方がいて驚きました。漢字で意味を固定化してはならないのです。時代状況とヲシテ文献内の用語から考えれば「妊娠山」が近しいと思われます。でも漢

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          円筒絵画をめぐって

          2010 想像してもらいたい。 例えば、長大な画巻である横山大観「生成流転」そしてやまと絵の名品「日月山水図屏風」を描かれた内容のみを重視し、絵画形式をゼロベースに設定してみる。例えば、矩形であること、絵巻物であること、屏風であることをゼロにしてみる。 「生成流転」を始まりと終わりを繋ぎ合わせ円筒状態に展示する。 「日月山水図屏風」を蛇腹折りではなく、12面体の円筒にして展示する。 どうだろうか?円筒の状態であるほうが自然ではないだろうか。 なぜならどちらにも東洋

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          タツ(辰)の語源はツタ(蔦)ではないか?

          2010 駄洒落のようであるが漢字渡来以前のヤマトコトハであれば、音韻の組み合わせで固有名詞が増えるのではないか。 漢字の図像が持つ呪力“興”によって意味を考えてしまうことから一度離れる。 龍・竜   「説文解字」  龍は鱗のある動物の長であり、幽くなることも明るくなることもでき小

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          富士山の名の由来

          2011  みなさんは富士山の名前を気になったことはありませんか?  不二山、不尽山、などとも書かれますが、名前の由来は 平安時代にはすでに分からなくなっていたそうです。  「竹取物語」に不死の山と書かれていることが由来となったとする説がありますが、これは間違いだと思います。 なぜなら“不死”は漢文の読み方だからです。日本語は動詞の次に否定形がきます。 当然ですが富士山は漢字渡来以前からあります。 縄文人もきっと眺めていたでしょう。  実は、私は縄文人は富士山を「巨大な

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          縄文考“やまと”とは何か?

          2012年 序 東日本大震災から一年が経ち、復興に向けて人と人とが“つながる”ことが重要視されています。この震災により日本人同士の“絆”を再確認することとなりました。 私たちは未曾有の震災から言葉を失い、徐々に復興に向けての言葉を産み出しています。 2011年をあらわす漢字は“絆”になり、“つながろう”も多く使われるようになりました。 この文章は“ヤマト”についての論究ですが、今の私たちにとって大切な言葉である“つながろう”と“絆”を最初に取り上げて考えます。

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          再考「扇」

          2015 はじめに 明治から急激に近代化が進み、日本人の生活が均質化されていく中で 民俗学は柳田国男によって産まれました。  柳田民俗学は答えや結論があるわけではなく、フィールドワークの積み重ねから「問い」を発する学問と言えるような気がします。 その「問い」はたくさんのリレーのバトンとして後世に託されました。 そのひとつが最後の著作「海上の道」になります。 柳田国男は伊良子岬の海岸で黒潮によって流れついたヤシの実を拾い、はるか南から流れ着いたヤシの実から日本文化の基底には

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          ツタ考

          現在、日本美術は“縄文土器”から始まります。 当たり前だと思われるかもしれませんが、以前は“はにわ(埴輪)”でした。 それまで縄文土器は考古学上の“発掘品”であり“美術品”ではありませんでした。 変化のきっかけは、岡本太郎が1952年に発表した「縄文土器論」です。発表当時に話題となり、各分野に影響を与えました。 岡本太郎の功績により日本美術は縄文土器から始まることになります。  「平面的で穏やかな印象」であった日本美術は突如「立体的で重厚、複雑な美観」から始まることになったの