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諦めない人はいつだって孤独


2024年5月16日(木)朝の6:00になりました。

名声は爆発するものではなく、徐々に滲み込むものである。

どうも、高倉大希です。




諦めない。

多くの人はこの言葉から、ポジティブな印象を受けとります。


雨ニモマケズ風ニモマケズに努力する人を、頭に思い浮かべるからです。

たしかに、諦めずに頑張っている人はとてもカッコよく映ります。


しかしここで想像されるのは決まって、「できるようになるための努力」です。

本当に根気が必要なのは、「できていることを他者に伝える努力」の方です。


不可能だと信じ込んだ瞬間、人間は「諦め」を覚えるようにできている。自分の心が傷つかないための生存本能だ。しかしそれは弱者の行為。“不可能という呪い”で自分を殺して...自我の原液を薄めて生き長らえるだけのクソ弱者人間が俺はこの世界で一番嫌いだ。

金城宗幸(2024)「ブルーロック 28巻」講談社


ときどき、読み手のレベルに合わせてくれているなと感じる本と出会います。

本当はもっと多層的であるはずなのに、その表面だけを丁寧に提示してくれます。


言いたいことは、もっと深くにあるはずです。

ただ、それを直接的に説明してもきっと理解してもらえません。


伝えたいことはあるけれど、理解してはもらえない。

このもどかしさから生じるものこそが、諦めの揺らぎです。


自分の子供を見ていると、ああすればいいのに、こうしたらいいのに、と思うことがよくあるが、最終的には色々あってそうなっているんだからしょうがない、といわば諦める。私はようやく、そういうふうに自分自身を捉えられるようになったのである。

養老孟司、茂木健一郎、東浩紀(2023)「日本の歪み」講談社


ソクラテスも、アインシュタインも、宮沢賢治も。

諦めたくなる瞬間は、山のようにあったのだろうなと思います。


あまりにも伝わらないから、もしかしたら自分が間違っているのかもしれない。

そう思う瞬間も、きっとたくさんあったはずです。


それでも、彼らは諦めないという道を選択しました。

だからこそ今こうして、彼らの言葉を受け取ることができています。


夕焼けを美しいと感じるとき、そのまま切り取っても、美しさは十分に伝わらない。どうしたら、その美しさがいちばんよく伝わるかを考えます。デフォルメ(誇張)とアンプリファイ(増幅)という言い方を、ぼくはよくしています。つまり、いちばん美しく見えるように、光と陰のバランスを調整する。

延江浩(2021)「松本隆 言葉の教室」マガジンハウス


諦めないというのは、そんなに綺麗な話ではありません。

諦めない人は、いつだって孤独です。


他者に伝わるまでには、ある程度の時間を要します。

その内容が深ければ深いほど、時差は大きく開いていきます。


一気に言葉が通じることなど、基本的にはありません。

諦めることなく、辛抱強く待たなければならないわけです。






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