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まさかゴジラ-1.0で泣くとは

あなたは映画『ゴジラ』をご覧になったことはありますか?

日本を代表する怪獣ゴジラ

今作『ゴジラ-1.0』は70周年記念作品ということで、1954年から何と日米合わせて37作目のゴジラ作品があるのです。結構すごい数ですね。

僕が幼少の頃(1970年代後半)はTVの再放送でやっていたウルトラマンや仮面ライダー、そして映画のゴジラとガメラが大好きでした。お気に入りは『ゴジラ対メカゴジラ』。特撮万歳の時代ですね。子ども心に最強の怪獣はゴジラだと信じておりました。

ゴジラの顔、かわいい。

近年では庵野秀明監督作の『シンゴジラ』がお気に入りでした。エヴァンゲリオンとゴジラをミックスしたような庵野ワールド全開のシンゴジラはめっちゃ楽しめました。

一方でハリウッドが作るゴジラはどうにも馴染めません。1998年に公開された『GODZILLA』(ジャン・レノが出てた)はゴジラというより「ジュラシックパークかよ!」って感じでした(それはそれで楽しめましたが)。

どう見てもT-REX

とは言いつつもモンスターバース・シリーズもほとんど見ているのでゴジラに対する思い入れは「三つ子の魂百まで」状態なのでしょう。つまりは単なる惰性ですね。

さて前々から気になっていた『ゴジラ-1.0』。満を持して劇場に行ってきました。これは大きなスクリーンで見なくては、ということでIMAX!!

そしてまさか、まさかゴジラで泣く日が来るとは・・・。

『ゴジラ-1.0』は終戦後の日本を舞台に、焦土と化した日本に突如現れたゴジラと残された人々との戦いと生き様を描いた作品です。

この物語の主人公は神木隆之介演じる敷島浩一。物語前半はこの主人公のヘタレっぷりにめちゃくちゃイライラさせられました。エヴァンゲリオンの碇シンジと同じくらいストレスを感じます。

この映画のテーマは『贖罪』。

自身が特攻から逃げたことや、見殺しにしてしまった人たちを忘れられずに生きている主人公。毎夜悪夢にうなされます。ヒロイン大石典子との関係もモヤモヤさせられます。とにかく序盤はイライラ・モヤモヤ。見ている側はそんな風に感情を揺さぶられるのです。

人がイライラしたり怒ったりするのは、自分自身の内面がそこに投影されているからです。きっと僕の中にも彼のような一面があるのでしょう。

ですが敷島が典子に「自分は生きていてはいけない人間だ」と心の苦しみを吐露するシーン、神木隆之介の演技にはグッと胸にくるものがありました。

お見事です。完全に山崎貴監督の術中にハマってしまいました。この『ゴジラ-1.0』は『ALWAYS 三丁目の夕日』と同じヒューマンドラマだったのです。

夕日に沈むゴジラを見ているのでしょうか?

とは言え、VFXの達人でもある山崎監督。今作のゴジラが怖いの何の。前半のクライマックス銀座襲撃の場面では、どん底の恐怖と絶望を感じました。しかしゴジラが東京で大暴れするのはここだけでしたので、ゴジラの暴れっぷりを期待されたファンの方は少々物足りなさを感じたかもしれません。

そう考えると、やはり今作は人間が主人公のドラマなのです。特攻兵として「死ぬために戦う」から「生きるために戦う」へ変化していく敷島の心理描写が素晴らしかったです。

物語後半、主人公敷島は己の苦悩を精算すべく、ある決断をします。するとそれまでのヘタレキャラとのギャップから、彼がめっちゃ頼もしく感じるのですよ。

「実はええヤツやん、敷さん!」と一気に彼が好きなり、ゴジラとの決戦へ向け戦闘機で飛び立つ主人公の勇姿に、不覚にも僕の目には熱いものが込み上げてきました。

いや〜、まさかゴジラで泣くとは!
これが『ゴジ泣き』というやつですね。

脇を固める俳優陣もいいですね。佐々木蔵之介、吉岡秀隆、安藤サクラ、青木崇高が渋い演技で話を引き締めています。

この映画はぜひ劇場で見ていただきたいです。できるだけスクリーンは大きい方が良いです。また内臓まで響く「ドーン!」というゴジラの足音、「ギャオオオオオ〜」というゴジラの咆哮、そして雄大で血湧き肉躍るゴジラのテーマは劇場の大音量で味わっていただきたい。日頃ケチな僕ですが、奮発してIMAXで見た甲斐はありました。

上映が終わり、大満足で余韻に浸りながら周囲を見渡すと、観客はシニアの層多し。恐らく僕以上にリアルタイムで昭和ゴジラと過ごされた方々なのでしょうね。週末ともなれば若い人も増えるのでしょうか。子どもにはちょと怖いかな?思えば、幼き日、父に連れられて僕も映画館に行った記憶が甦りました。

世代を超えるゴジラ。また劇場で会える日を楽しみにしています。












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