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礼儀作法をするだけでモテる


礼儀作法についてどう思うか?
と、武道受講者の同志から聞かれた。
それは、昇段審査の作文の課題であった。
「うーん…乱雑な家庭にいれば、こういう礼節を重んじる場所にきて、礼儀作法をすると、癒されるよー」

家の中は狭くてごちゃごちゃしていた。
野良猫達の保護活動や、不登校の子供達にうつ病の夫
片付ける気力もない。
足の踏み場もないと言ってもいいくらい生活の場は乱雑な状態な時があった。
食事も皆がそろう事は普通なかった。
夫は会社の歯車で不定期な勤務時刻。
ボロボロになって夜中の帰宅後、すぐに部屋で休憩しないと、
翌日の早朝出勤のために、会話も殆どできなかった。

妻である自分もボロボロになる。
子育て、家事、家の問題を一人背負う事になるから。
子供達は、自分の想い通りにならなかった。
何度も、ああしようこうしようと教育に励んだが、
全部無駄だった。
幼少からと大人になってからの問題が積もり積もって。
こうなると、自分の頭の中もぐちゃぐちゃで
容量オーバー。
人との会話もできないほど。
あれ、なんの話していたんだっけ?
人とコミュが取れなくなり、対人恐怖症が再発した。

やはり、精神はすでに崩壊していた。
四六時中恐怖症が襲って来て、家族の中に居ても孤独感がつきまとった。
生きた心地がしないほど。
頼みの綱は、精神科の診断名
出るわ出るわ、発達障害、強迫神経症、統合失調症など

信じるものは何もなかった。
唯一心の中の存在だけ。
もう一人の自分。
それは神様のような存在で、救ってくれると信じた。
念じた。「助けてください」と

すると、リアルに次から次へと私に手を差し伸べてくれる人が
どんどん現れて、人の温かみを思い出した。

そして、武道である居合を習い始めることができた。
初めて畳に正座をしたとき、ようやくここまでたどり着いたと嬉しさで涙があふれた。
礼に始まり礼に終わる。
礼儀作法から学ぶことになった。
静粛に座り丁寧な作法で、床礼という両手を床についてするお辞儀。

形式通りにやってみると、心の中が素直で従順になるような気がした。
おのずと落ち着き、自分に向き合える感じがした。
そして相手に敬意を表す事ができる。
向かい合った相手も同じように、感謝の意を表してくれる。
すると、相手から感謝される形を見て、大切にされていると感じる。

うちの中では挨拶も殆どしなかったから、感謝の気持ちも忘れていた。
秩序のない居場所もない状態で、ゆっくりと落ち着くことはなかったから。
そんなわたしが、このような秩序のある環境で、マニュアル通りの礼儀作法をするだけでも、それまでの沢山の不要なものが一時的にも洗われたようだった。

フラフラと漂い廻っていた魂が、すーっと体の中心に降り戻ってくる瞬間だった。わたしも一人の人間だったし、一人ではなかったのだと感じた。


日本では、”型に入って型に終わる”形式的な伝統的文化がある。
特定の枠組みや規則に従って行動するから、

型は、予測可能で平凡な人生を送ることを指す。この言葉は、個性や自由な発想を抑えて、周囲の期待や社会的な規範に従って生きることを意味する。

例えば、学業や仕事、人生の選択において、自分の本当の望みや情熱を抑えて、安定した道を選ぶことがある。これは「型に入って型に終わる」と言えるだろう。一方で、冒険心や独自のスタイルを持ち、新しい道を切り開く人々は、この言葉からは逸脱していると言える。

この表現は、人々が自分らしさを保ちつつ、社会的な枠組みに縛られずに生きることの難しさを示している。

しかしながら、多様な乱雑とした生活や社会の中で生きていくには、
心の中までも乱雑になってゆくのではないだろうか。

礼儀作法とは、先代から人々が潤滑なコミュニケーションを可能にするために自然と作り出された型なのだろう。一時的な形式に身を置くことによって、無秩序な状態から解放される。
心を癒し、涙がでるくらい救われる事もあるのだ。
そして、相手に感謝を表すことにより、相手も感謝の意を表すだろう。
多様な社会の中で、円滑なコミュニケーションや調和を促すことになる。

特にコミュ障で小心者や挑発的で嫌われ者などに、とりあえず礼儀作法を試してみて欲しい。空気を読むような難しい会話ではなく、基本的な型通りなので簡単にできる。何よりそれだけで素敵なコミュニケーションになるから。
日本人の古い精神を大事にするその姿勢もまた粋な雰囲気を味わえるから、私ってかっこいいと自己肯定感も上がるだろう。

まとめると、
わたしが思う礼儀作法とは、
心を一旦静め、自分に向き直る事ができる癒しの泉であり、
人と人をつなぐ社会全体の潤滑油となる、最高の型だと言える。


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