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ポエム、そして旅先の朝ご飯のお話【KOZUKA 513 shop paper vol04】

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店の中ではジャズが流れている
ときどきボサノバ
その日そのときの気分にあった音楽を流す
気持ちのよい音楽の中で一日を過ごす
これもやりたかったことの一つ
 
店を閉めて音楽を止めると
いろいろな音が聞こえる
蝉の聲、鳥の聲、様々な虫の聲
木の葉の音、竹と竹とがぶつかる音、風が生み出す音
長狭街道を走る車やバイクの音
はるか上空を飛ぶ飛行機の音
 
真夜中に一人で古民家にいる
聞こえてくるのは虫の聲、まれに通る車の音 あとは静寂
「星の聲が聞こえる」って、誰が言ったんだっけ?
世界には気づいていないたくさんの音があるのかもしない
看板犬「開」はそんな音を聞いているのかもしれない
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2019年9月の第4号、ポエムに過ぎる、と反省はしていたのだ。なんとかもっと中身のあることを書きたいな、と思っていた。
このショップペーパーの中には、もう一つ、ゲストハウスの朝食について書いている。


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農家民宿の朝食は、「日本の朝ご飯」にこだわっている
自分が旅館の朝ご飯が大好きだということが理由なのだけど
 
長狭米を土鍋で炊き上げたご飯、出汁をとって仕立てた味噌汁
そこに煮物、おひたし、焼き物、蒸し物、揚げ物を合わせる
出汁を取ったあとの昆布は佃煮にして添える
納豆もやっぱり欠かせない
今は献立に載せていないけれど、酢の物や和え物も好きだから献立に載せたい
何より、季節が変わっていくたびにいろいろ考えるのが楽しい
いよいよ実りの秋を迎えます
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本当に旅先で食べる朝食が好きすぎてたまらない。普通に旅館の朝食でも、ホテルのビュッフェスタイルでも。
湘南の海で波乗りして茅ケ崎の旅館に泊まった時、アジの開きやハムエッグ、刻みキャベツのサラダ、味噌汁というけっこうシンプルな朝食が、なんだかたまらなく美味しかった。
そんな朝食を出したいな、と考えたのだ。

土鍋でご飯を炊くのは楽しい。普通に炊飯器で炊いても美味しいし、実家の圧力鍋で炊いた少し水分が多い柔らかいご飯も嫌いではない。
でも、土鍋で炊いたご飯は何かが違う。

少し多めに水加減して、最初は強火。沸騰して蒸気が出たら弱火で10分。
市販の普通の土鍋で、蓋の蒸気を逃がす穴以外からも蒸気が漏れるけれど、それも計算して水加減してある。10分経ったら強火で5秒。火を止める。
本当は15~20分蒸らしてから初めて蓋を開けるのだけれど、こっそりちょっと開けて炊きあがり具合を確かめる。そしてすぐに蓋を戻して蒸らしにはいる。
これは、昔、飯盒炊爨をやっていた頃、ベテランの指導員に言われたこと。
「絶対蓋を開けちゃいけないなんてことはないんだよ。水分の様子を目で確かめることも大切。」という理論(?)に基づいている。
蓋を開けて確かめて、ちょうどよい具合の炊き上がり、いわゆる「カニの穴」を見ると自然に顔がほころぶ。
あとはそれ以上蒸気が逃げないように、穴も布巾で覆う。食べる人が蓋を開けた瞬間の様子を想像して嬉しくなる。




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