帯、どうしてますか?

1 異常な円高がストップし、為替はここ数日でかなり円安に振れている。もっとも、数年前は$=120円程度だったのだから、$=140円ではまだまだ円高と言わざるを得ないが、このまま円安が続いてくれれば、久しぶりにギを個人輸入で購入出来るのではないかと密かに期待している。
 コロナ禍から「ニュー・ノーマル」に移行して、昨今の物価高に伴う実質的な購買力の減少に苦しんでいるのは私も同様である。アメリカのGIメーカーのサイトを見ると、GI本体の価格が相当上がっているが、ヨーロッパのメーカーはそれほどでもない。為替がもっと円高なら・・・と歯噛みしないで済む日が早く訪れて欲しいと切に願っている。
 「トリクルダウン」という謎のロジックを用いて、「為替を円安に誘導して、大企業の輸出を後押しし、その恩恵を国民各層に広く行き渡らせる」というのが安倍政権以来の経済政策だったらしいが、今この10年来の経済政策を振り返ってみれば、ほぼ失敗したと言ってよい。20年前ならいざ知らず、大企業に限らず工場の海外移転が進んで、「輸出で儲ける」という「トリクルダウン」の前提がもはや成り立たなくなっているからである。話を「貿易収支」に限って見れば、日本は資源高と円安のせいで貿易「赤字」続きであり、もはや「貿易立国」という考え方は時代遅れだと素人目にも分かる(但し、「経常収支」は黒字である)。

2 さて、コロナ禍の始めにヨーロッパのGIメーカーでも「Back to school」等の名目でセールが頻繁に開催され、私もその機会を利用して2度ギを安くで購入したが、その後は今日に至るまでギを購入していない。
 
 おろしたてのギを着て稽古に臨むのは気持ちがいい。別に新しいギを着用しただけで、RPGのように防御力や素早さが上がったりするわけではないが(そういうギがあるなら私も欲しい)、それでもなんとなく心が浮き立つ。
 とはいえ、おろしたてのギも一度でも稽古に使えば洗わなくてはならない。昔の柔道では道衣を洗わない人もいたそうだが、BJJの場合、一度稽古に使ったギを洗わないという人はまずいないだろう。
 
 私の場合、ギは稽古の後当日のうちに必ず洗濯機で洗うようにしている。古流の稽古をしていた時は九桜の一番安い柔道着を使用していたが、洗濯に際しては毎回粉末洗剤を使っていた。だが、水温が下がる冬場になると、洗剤が溶け残り、その洗剤カスが赤カビの原因になっていたので、今では液体洗剤でギを洗うようにしている。
 また、古流と違ってBJJではグラウンドの展開がメインになるので、ギは自分の汗だけではなく、道場に来る他の人々の汗も吸ってしまう。だから、その日のうちに洗濯していたとしても、いずれ黄ばみや黒ずみが出てくるのは避けられない。
 黄ばみや黒ずみを落とすのに「オキシクリーン」が効くと聞いて、下記のサイトに掲載されたやり方を参考にして、「オキシ漬け」をやってみた。

 「黄ばみ」や「黒ずみ」が完全に落ちるという事はないが、少なくとも「臭い」はほぼ確実に取れる。盥に水を張って、やかんで沸かした熱湯を入れ、60度の湯にする手間はかかるが、これをするとしないとではギの持ちが明らかに変わってくるし、自分が気持ちよく稽古するためにも毎月ギとラッシュガードを1セットずつ「オキシ洗い」している。
 
3 さて、前置きが長くなったが、本稿の主題は「帯の洗濯について」である。柔道や空手では帯を洗わないそうである。私が稽古していた「古流」柔術の場合、「帯を洗ってはならない」という決まりがあった訳ではないが、洗っている人はいなかったように思う。
 今、私の手元にある「古流」の黒帯を見てみると、灰色になってなんだか達人の巻いていたような趣があるが、残念ながらその変色は自分の汗によるダメージと経年劣化によるモノに過ぎない。

 「古流」の稽古に際しては、帯は袴の中にたくし込まれるので、稽古相手に直に触れる事はほとんどないと言っていいいが、(2でも述べたように)BJJの帯はそうはいかない。
 自分の汗はもちろん、道場に溜まった汗も吸う。一月も洗わずに放置しておくと異臭がしてくるので、私は週に1度は洗うようにしている。
 以前、他の会員に「帯を洗濯しているか?」と何人かに尋ねてみたが、洗濯する人としない人が半々くらいだったように記憶している。私は衛生面の観点からも洗った方がいいと思っていたのだが、医学的な観点からの根拠を示すことは出来なかったので、他の会員にも自分の意見を押し付ける事はしなかったのだが、大分前に次の記事を目にしてからは「洗うべき」という自分の意見を伝えるようにしている(強制はしない)。

 道場の清掃がいくらなされていても、会員がどれだけ清潔にしていても、練習すれば汗をかく。その汗をエサにバクテリアが繁殖する。マットを清掃し、ギを洗濯しても、帯を全く洗わないのであれば、上の記事にあるように「ブドウ球菌感染症 」や「白癬」に感染するリスクは残る。
 
 BJJを始める前に私が危惧していたのは(少なからずそういう偏見を持っている人がいると思うが)、「寝技でくんずほぐれつして病気が移ったらどうしよう?」というモノであった。幸いにして私の通う道場では、私が危惧したような風呂にもロクに入らない、ギも洗わない、というような不潔極まる仁にお目にかかったことはない。ただ、帯からも感染症が発生し、最悪道場が一定期間閉鎖されるリスクがあるという事は知識として知っておいて欲しい。
 感染症のリスクについては、コロナ禍で皆が学んだ事である。「ブドウ球菌感染症 」等のリスクを完全に失くそうと思えば道場に通う全ての人が帯も洗う必要があるが、感染症に罹りたくないと思うのであれば、まずは自分が率先して帯を洗うべきだろう。
 
 
 

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