社員が主体性を発揮できる組織とは?必要な3つの文化
働くことの主体性が注目される理由
今、幸福という抽象的な概念が「ウェルビーイング」という考え方によって徐々に具体化され、働くことにウェルビーイングが求められている、という話は前稿『なんのために働くのか』でしました。
ウィスコンシン大学のキャロル・リフ氏の研究では、心理的ウェルビーイングには以下の6つの要素が重要であると述べられています。
このように、働くことが自身の幸福に結びつくためには、上記①②③⑤からも分かるように、働く人一人ひとりが主体的であることが必要なのです。
主体性を発揮する場があればよいのか
では、社員が主体性を発揮できる職場にするためには具体的にどうすればよいのでしょうか。
例えば、社員が主体性を発揮できる場づくりをするのはどうでしょう。
「全社員参加のプレゼン大会を定期的に開催し、新商品や業務改善の方策等、良いものについては採用し、実践する」といった仕組みを作ればよいのでしょうか。
確かに、その仕組みにより水を得た魚のように主体性を発揮する社員もいるかもしれません。しかし、少なくない社員にとっては、興味をもてず、なんなら新たな業務が増えた、主体性とは真逆の、気乗りしない業務になったりしないでしょうか。
では、強制力をなくして任意参加にすればいいのでしょうか。あるいは賞金をつけてモチベーションを上げるのはどうでしょう。
活発なインプット文化
主体的なアウトプットの場づくりの前提条件として、各々の社員が適切なインプットをできているか、という問題があります。アウトプットをしようにも材料がなければ出すものがありません。
この際、インプットにも主体性が取り入れられるかがポイントです。「社員に年間〇時間の研修を義務化し、内容は会社が決める」ような制度では個々の成長には繋がりにくい。
社員が自分自身の興味やキャリアと向き合い、自ら何を学ぶかを決定できた方が学習効率も高まり、組織から見ても多様な見識を得られるのではないでしょうか。可能なら社外や家庭での学習を支援するような仕組みが良いのではないでしょうか。
企業理念・ビジョンが全社的に共有される文化
活発なインプットが行われ、アウトプットの場があれば主体的に働くことができるでしょうか。
企業理念やMISSION・VISION・VALUEといった組織の考え方や目指すものがわからなければ、主体性を発揮する方向性がわかりません。
方向性も分からず各々が主体性を発揮すれば組織の秩序は乱れ、場当たり的な意思決定が乱立して迷走するか、秩序を守るために主体性を排除するしかなくなります。
理念やビジョンの共有共感があってこそ、個々の主体性が組織としてプラスに働くのです。
良好な関係性の文化
理念やビジョンが共有され、適切にインプットが行われ社員が成長し、アウトプットの場があれば主体的に働くことができるでしょうか。
「主体性」というキーワードに目が向くと、問題を「個」のものとして捉えて視野が狭くなりがちです。組織の中で主体性を「発揮する」のですから、他者にも必ず影響します。同僚の協力、上司の決済、他部署への根回し、経営者の決断が必要かもしれません。タテヨコナナメの関係性が良好でなければ、発揮できる主体性の幅が極めて狭くなります。
また、そもそも、発揮しようとしている主体性が組織のためになるかどうか、社員の頭のなかなかは不安でいっぱいです。勇気を出して形にしてみようと思えるためには背中を押してくれる他者が必要かもしれません。チャレンジを推奨する文化やそれぞれの社員の心理的安全性が保たれているかが重要になると思います。
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