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4種の法人比較(3)~合同会社の名称のイメージ~

持分会社とは

合同会社は2006年に会社法が施行された際に追加された法人形態で、法律上は「持分会社」の一つです。
持分会社とは、株式会社と異なり、所有と経営が分離していない会社形態です。
株式会社の場合、会社に出資した人(=株主)と実際に経営を行う人(=取締役)は別であることを前提としています。多数の投資家から資金を集め、経営はプロに任せる、といったイメージです。
もちろん株式会社でも家族経営の会社なんかは株主と経営者が同じだったりするわけですが、それは結果的にそうなっているだけのことで、法律上は所有と経営が分離していることを前提とした制度設計の上に、株式会社は存在しています。

一方、合同会社の場合は会社に出資した人が経営を行うことを前提としています
つまり、株式会社の表現でおおざっぱに言うと、「株主=取締役」となるわけです。

持分会社の種類

持分会社には「合同会社」の他に「合資会社」「合名会社」があります。
出資者が会社の行為に対してどの程度の責任を負うのかーー
無限なのか、有限なのかに応じた区分です。

ここでいう「社員」とは、出資者のことです。
その出資者が会社がいざ債務を返済できなくなったときに、出資額を限度として責任を負う場合を「有限責任」、それを超えて連帯して責任を負う場合を「無限責任」と言います。
例えば株式会社の場合、出資者である株主は出資して手に入れた株式の価値がゼロになることはあっても、出資した金額を超えて責任を負うことはありませんよね。持分会社の「有限責任」も同じです。
一方、「無限責任」を負っているというのは、会社の全ての取引について連帯保証人になっているようなものだと思ってよいです(厳密には取引外の不法行為責任も連帯するので連帯保証人より責任は重いですが)。

合同会社ってなんなのか

理解できたでしょうか?記憶できたでしょうか?
難しいと思います。

まず、3種類の名前が一文字違いで似ています。

その上、なんで「合同」会社で、なんで「合資」会社で、なんで「合名」会社なのか。

制度と名前の関連が不明です。言い方を変えると名が体を表していません
率直に申し上げてネーミングセンスがありません。

ネーミングセンスについては私の感想ですが、「よくわからない」という印象はかなり一般的ではないでしょうか。
しかもこれは、合同会社について少し勉強したことがある人ほど染み付いています。
周りに法学部出身の人がいたら「3種類の持分会社の違いについて簡単に説明して」と聞いてみてください。かなり多くの人が答えに窮すると思います。

さらに、一般的に浸透しているのは持分会社としての位置づけではなく、株式会社との設立費用の比較です。
「株式会社よりも設立費用が安い」という実務知識はかなりたくさんの人が持っています。

なんかよくわからないけどたまに聞くよね、合同会社

合同会社という名称が持つイメージは、「よくわかないけど設立費用が安いので最近たまに見かけるようになってきた会社」といったところだと感じます。

決していいイメージではないかもしれませんが、企業によってはそもそも会社名はあまり問題ではないこともあります。
飲食店のように会社名ではなく店舗名が大事なケースや、個人的な資産管理のための会社、完全子会社として親会社の事業の一部を請け負う会社等がそれにあたります。

また、そもそも「合同会社〇〇」といった会社名が与える印象で比重が大きいのはもちろん「〇〇」の部分です。
本記事では「合同会社」の方にスポットを当てていますが、これで会社の印象が全て決まってしまうようなことはもちろんありません。

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