PB戦略 現場からの声

PB戦略 現場からの声 

「店長、おはようございます」
「加藤さん、おはようございます」
「店長、最近値札の張り替えで、忙しそうですね」
「本当、どの商品も値上げになってしまって、値札の張り替えが大変なんです」
 ヨコシマスーパーでは、メーカーの出荷額が値上げになってしまうと、基本的に、その分を値上げして販売していました。
 一部のスーパーでは、自動で、値札の価格が変化する設備を導入している所もありますが、ヨコシマスーパーでは、まだまだ、POP印刷機で値札を印刷し、価格変更時には、対応していたのです。値札の入れ替えは、単純に入れ替えるだけで無く、表示した価格が本当に合っているか、商品のバーコードをスキャンして、スキャナーに表示された価格と、値札の価格が合っているかを確認しながらの作業になるので、値上げの品数が多くなると、結構手間がかかる物です。
 青山店長は、産地を細かく表示する事で、店の売り上げを上げたので、現場からの声を本部、仕入れに伝え、この値上げラッシュの対応をどうしたらいいかの、プロジェクトに入ったのです。
 スーパーは自社ブランドのPBを作りだし、NB品よりも価格で有利であることを全面に打ち出して、販売しています。しかし、PBの中には、全く中身がNBと同じ物で、ただ、包装資材のみが変わっている物が市場ではほとんどなものです。
 なぜ、価格がNBよりも安いかというと、単純にまとめて発注し、まとめて購入して、返品を行わないと言うことです。
 しかし、製造している現場を熟知すると、過剰な品質を少し、緩めるだけで、歩留まりが上がり、生産性が上がる物が多いものです。
 例えば、ポテトサラダを1000pk作るときに、包装時点で、すべて200gの重量にするためには、1パックづつ計量することが必要です。お客様は、195gで195gの価格、205gで205gの価格であれば、すべて200gである必要は無いのです。
 ポテトサラダを同じ重量にする作業の手間を外すことで、値上げすること無く、いままで通りの価格で販売することが出来るのです。
 せんべいなども、割れてしまったせんべいは、B級品として販売していた物を、正常品も、割れている物も、包装工程の流れの中で、「同じ袋に詰めました」と表示し、販売することで、選別工程、割れた物を再度包装する工程などを省くことが出来、値上げすることが無く販売することが出来るのです。
 過剰な包装、過剰な品質を、本当にお客様が願っているか、真剣にお客様と会話することで、本来のPB商品が出来るはずです。
 納豆であれば、本当に添付している辛子、出汁を使用しているかどうか、出汁を使用せずに、家庭にある、醤油を使用している方がほとんどかもしれません。
 鮮魚部門の刺身のツマも家庭では、食べないかもしれません。
 見栄えのための商品を外して、盛り付けるだけで、価格を下げることが出来るのです。
 海外のスーパー、市場に行くと、日本のように、野菜、果物を包装せずに販売していることに気がつくと思います。
 リンゴ、レモンなどを、包装すること無く販売することで、包装する手間が無くなり、その分価格を上げること無く販売することが出来るのです。
 逆に品出しの効率を上げるPB商品もあってもいいかもしれません。
 例えば、PETボトル飲料の顔を揃える必要が無い商品を作ることです。
 品だしで時間がかかるのは、缶詰、PETボトルの商品の顔を揃えることです。
 品出し時に、缶詰の顔、正面をきちんと向けて、揃える事に時間がかかってしまうのです。
 単純にどこから見ても、同じデザインにすれば、誰が並べても、同じ向きになるようにするのです。逆に、かごの中に無造作に商品を入れることで、顔を揃える、必要の無い品だし方法にすることも考えられます。品だしする方に教育すること無く、誰でも出来る、品出しの商品をPBで作りあげることが、作業性を上げる事につながるのです。
 レジでの作業性を上げる事も考えられます。レジでスキャンするときに、商品のどの部分をスキャナーにあててもスキャンするように、全面をバーコードにしてしまうデザインにするのです。
 レジの方が、どの商品の一回でスキャンできれば、レジの作業性は間違い無く上がるのです。
 果物、野菜の個包装を止め、レジでは、カメラで商品を認識し、自動で、レジに入力するようにすれば、レジ作業の効率も上がります。
 現に、パン屋さんでは、クリームパン、あんパンを自動で、カメラで認識し、レジに入力する設備が実用化されています。
 野菜などの畑から、卵の養鶏場から、肉の整形の仕方から、製造方法、品だし、レジまで総合的に考えることで、無駄を省き、本当のPB戦略を考えていったのです。
 いままで考えられていなかった、あらゆる部門での作業性を上げる事を考えられる、PBを作りあげることで、値上げしないスーパーをヨコシマスーパーは目指したのです。
あくまでも空想の世界です。

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