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食生活を見直してみた 15

断食講座を受けると、食費が減ると事前に聞いた気がしたが、そんなことがあるのか? と懐疑的だった。
しかし、少なくとも講座期間中は野菜をたくさん食べるようになったし、野菜を本当に多く食べるなら、食費が減ることがわかった(残念ながら普段の私の生活に、野菜は足りない)。
そして野菜を本当に食べようと思うなら、自炊したほうがよいし、自炊すれば(特に外食が多い私の場合は)食費は減る。
そして自炊なら、塩分の取りすぎや食べすぎも防ぎやすい。講座期間中みたいに油も使わないなら、食器洗いも劇的に楽だ。私は普段、食器なんて洗わないのだが(それは私の仕事ではなく、食洗機の仕事だ)、断食期間中だけは食器があまり汚れないので、食洗機を使わなかった。

しかし、一度は手に入れかけたちゃんとした食生活も、今ではほぼ手放してしまった。自炊もしなければ、ストレスも多いとなると、自然に食生活が乱れるのだ。
しかし、節制期間中に、面白い現象が私の身に生じた。お菓子が「招かれざる者」になった、という現象である。

私はお菓子が好きだ。というより、ストレスなどによって、お菓子を必要としている。
恥ずかしいことだが、うちの食卓には、いつもお菓子の皿が置いてあって、しばしばその皿におさりきまらず、お菓子が溢れ出ている。そして会社には、お菓子が大量に入った引き出しがあり、お菓子屋さんが開けるんじゃないかと思うくらい、お菓子が詰まっている。
年度末にみな、順番に春休みを取るので、お土産をお互い買ってくるのだ。そして異動者も、しばしばお菓子を配る。お客さんにもらったお菓子を、分けてくれる社員もいる。
でも私は食事を制限していたので、それらをしばらく食べなかった。そしたらどんどん溜まるのである。

普段ならお菓子をもらえば嬉しい。それどころか積極的に自分でお菓子を買う。お菓子は食べるだけでなく、買うこと自体が喜びだ。帰宅前にコンビニに立ち寄るのは、私の日課になっている(だからお菓子をやめるだけで、食費は若干減るだろう)。
お菓子が溜まってきたな、と思うと、購入するのをしばらく我慢して、ストックの中から食べる。だから私にとってお菓子は基本的に、これまで善でしかなかったのだ。
それが一瞬ではあったものの、悪になった。

お菓子を控えているあいだに、贈答品を購入する機会があった。先方は甘いものが好きなので、お菓子をプレゼントするのは妥当だし、贈答品のお菓子を買う行為は、むしろこれまでは楽しみだった。
しかし今回は節制中だったので、どうにも気乗りしなかった。お菓子なんてもらっても、相手は迷惑なんじゃないか、と思ってしまったのだ。
同僚に何を買うべきか相談したら、先方は和菓子を好みそうなので、有名店のどら焼きや、手に入りにくい酒饅頭などがよいのでは、と勧められた。普段ならそれらは、私も大好きな品だ。
しかし私はどうしても、それを求める気にはなれなかった。そんなものをもらったら、一両日中に食べなくてはならないではないか。仮に今私がそんなものをもらったら、迷惑以外の何物でもない。そう思ったらどうしても買う気になれず、結局自分で買うにはちょっと高いので二の足を踏む、日持ちする焼き菓子を選んだ。日持ちするなら、好きなタイミングで食べられるからだ。結果的に先方には喜ばれたので、まあよかったのだが。
こんな稀有な経験ができたのも、節制生活を送ったからならではだと思う。お菓子が悪になることなんて、予想していなかった。

今度いつか、私自身が断食講座に参加してみたい。
断食に参加するときは、ちゃんと会社を休んで臨みたい。仕事しながら断食に参加することもできるようだが、重要な仕事は避けるように、みたいなことが説明資料に書いてあった。しかし現実的には、今は断食中なので、重要な仕事はしません、と言って通すのは難しいように思える。だから、夏休みだとか冬休みだとかを断食講座に合わせて取って、真剣に臨みたいと思っている。そうすれば昼のレッスンも対面で受けられる。

しかし私は旅行も好きなので、休暇は旅行に使いたい。旅行に行ったら現地のおいしいものを食べて、お菓子を土産に買うことが避けられない! だから断食講座を受講するのが、果たしていつになるのかは全くわからない。いつかご縁があればよいと思う。
それでも今回の夫のチャレンジは、私自身も食生活を見直す、貴重な機会となった。(了)




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