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新潟の地主・小作人について

米どころ新潟。

日本を代表する稲作地帯である新潟県は、現在も栽培面積、収穫量ともに
全国第一位に輝き、国内有数の米の産地として名を残しています。

なかでも新潟市周辺の「蒲原平野」には、広大な水田が広がっています。
かつてこの豊かな土地には、この土地を支配する少数の「地主」たちと多くの「小作人」たちがいました。「地主」と「小作人」はそれぞれどのような生活を送っていたのか。
農地改革を経て、これらの人々はどのような姿にあるのか。
私達はこのテーマにせまるため、北方文化博物館と、新潟市北区郷土博物館で行われていた木崎村小作争議をテーマとする特別展示に行ってきました。

取材目的は、
地主と小作人についての歴史苦労したことを深く探ることです。

北方文化博物館

7月3日(日)に博物館を訪ね、ガイドによる説明を聞いたうえでいくつか質問させていただきました。北方文化博物館は、江戸時代からの長い歴史を持つ県内最大の大地主、伊藤家の屋敷です。伊藤家にはどんな歴史があるのか調べてきました。

正面入り口

初代文吉は1756年に分家し、畑をもらいます。百姓の仕事以外に、嫁である きよ の紺屋(こうや)で営む藍染めの商売を始めます。二代目の頃には、倉庫業などの「いはの家」も営み、大地主の道を歩み始めます。

家族以外の親戚や小作人など大人16人ほどで入っていた囲炉裏。

百姓以外の商売を始めた理由を伺うと、いくつかの商売をすることで伊藤家の存続を途絶えないようにするためだったそうです。

当時、伊藤家の田畑の土地が広いため、40キロ先の弥彦神社まで伊藤家の土地だけを通ってたどり着くことができたという逸話が印象に残りました。

しかし、戦後の農地改革により地主としての立場がなくなることを恐れた7代目文吉は、博物館として明治時代から建つ築135年の地主の屋敷を残そうと考えました。

瓦には伊藤家の紋章が一つ一つ描かれており、通常より大きめの特注品だそう。

博物館設立には7代目文吉の留学先の大学の同学生であり友人の、進駐米軍ラルフ・ライト中尉も賛同し、支援してくださったそうです。

7代目文吉とライト中尉

8代目文吉は100か国以上の国々を回り、世界の文化行政や博物館の運営などを視察し、新潟の国際交流に力を尽くしました。2016年に他界し、伊藤家の歴史は途絶えたそうです。現在は博物館として多くの人が趣のある日本の建物と庭の景色を楽しみに来館しています。

木崎村小作会議の展示会

一方で、小作人たちの苦労について調べるため、同日7月3日、新潟市北区郷土博物館にて「生活の向上を求めた小作農民と地主眞嶋桂次郎展」に行ってきました。撮影禁止だったため、写真は撮れませんでした。

ポスター画像


<小作争議>
小作人たちは苦しい生活の改善、生活の安定のため、地主に交渉しようと考えた。

1922年 笠柳と横井の小作人たちが「笠柳横井小作組合」結成
→地主たちへ小作料の減額を求めた

1923年 早通、須戸、鳥屋、樋ノ入、内島見にも小作組合結成
→「木崎村農民組合連合会」結成・組織的農民運動展開

1924年 下大谷内、横土居、尾山、浦ノ入にも小作組合結成
→村の民主化や農村生活の充実も求める運動へと拡大

<鳥屋浦事件>
1926年 警察との衝突
きっかけ:地主が小作人に対して起こした訴訟の判決
→小作量の請求、小作地での耕作禁止などの地主の訴えが認められ地主側勝訴
→小作人らは田植え前の田んぼに立ち入り禁止となった
→5月5日、鳥屋では執行待ちを嘆願する小作人数百人と警察隊との大乱闘に

結果
農民組合員29人が起訴された。
鳥屋浦事件が、木崎村事件と報道されたことで木崎村小作争議は全国に知られた。

1930年 小作側が未納小作料を全額払い和解
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関連する地主の中で、最も強硬な姿勢をとっていた眞島桂次郎
小作人たちから悪地主と言われたが、自らを農夫といい、農業の発展に尽くした。

三大小作争議
→木崎村小作争議・和田村小作争議(上越)・王番田小作争議(長岡)

Q .  本当に眞嶋桂次郎は極悪人だったのか?
→彼には、彼なりの考えがあった。当時、あまり美味しくなかった新潟の米を改良して、利益を出したかった。その方が、小作農民のためになるから。だからこそ、強気な姿勢を崩すわけにはいかなかった。

まとめ

伊藤家のような少数の大地主が成功をおさめる一方で、木崎村小作争議のようにお米を納めることが大変で苦労した小作人たちが多くいたことが分かりました。

「生活の向上を求めた小作農民と地主眞嶋桂次郎展」は8月28日(日)までやっているので、興味のある方はぜひ行ってみてください。

新潟市北区郷土博物館までの地図

北方文化博物館も季節によって様々な景色を楽しめるので、ぜひ行ってみてはいかがでしょうか。

5月の藤の花
秋の紅葉










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