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「お隣さんと仲良くするのは難しい」と言うけれど 第四回(日本語版)

※この記事は台湾のネットメディア「花蓮最速報」さんに中国語版(繁体字)が掲載される予定です。
媒体の性質上、台湾の読者の方々に話しかける文体になっています。

日本人にとって、台湾と言えば「食べ物が美味しい」というイメージが強く、実際台湾はどこに行っても、何を食べてもハズレがありません。
食の好みは人それぞれで、中には合わないと感じる人もいるとは思いますが、私と夫は毎回とても満足しています。
競争の激しい大都市はもちろん、地方でもその土地の人々に長年愛されている味に間違いはありません。

私達は東京で蕎麦屋を営んでいますから、出てきた料理はもちろん店の様子や作っている人達のことも気になります。台湾の接客スタイルは日本のそれとは違う点も多いものの、食べに出かけて嫌な気持ちになったことはほとんどありません。
むしろその「違い」が面白いし、学ぶところが沢山あります。

例えば羅東で…

ここはネットで評価が高かったので伺い、テイクアウトして宿で食べましたが、とても良いお味でした。
常連さんが沢山待っていて、私達も15分ほど待ちましたが、その時間も楽しかったです。なぜならお店の他人が手際よく働きながらもお客さん1人1人と気さくにお話していて、何気ない立ち話だと思いますが、話しているうちにみんな少しずつ笑顔になっていく。
料理を受け取るころには、すっかりリラックスした表情になって、幸せそうに立ち去っていきます。
毎日の暮らしの中には辛いこと面倒なこといろいろとありますが、お客さん達にとってここでご飯を買うひとときは、心からホッとできる、癒しの時間なのでしょう…。
近くにいる私達まで幸福な気持ちになりました。

日本でも飲食店で話をすることは多いですが(私達の店でもお客様とよくお話をします)、こういう屋台のお店は少なく、デパートやスーパー、コンビニではほとんど立ち話はできません。最近は無人レジも増えてきましたから、ますます会話は減っています。
疲れているときは機械相手の方が楽な場合もありますが、そして確かに人間とのおしゃべりは時には面倒なこともありますが、しかし幸せはそんなちょっとした面倒の中にあるのも事実。
このお店にはそんなささやかな幸せがありました。

そういえば、以前台北で夫が急にお腹が痛くなり、コンビニに飛び込んで「トイレはありますか?」 と聞いたことがありました。何か買ってから…と思いましたが、その時はあまりにも辛くて、買い物をする前に助けを求めました。
するとスタッフさんが
「大丈夫? ここにトイレはないから案内するよ」
と近くの大きな病院まで連れて行ってくれたのです。
私は、今のところ何も買っていないのになんて親切なの!! でもこの人は持ち場を離れて大丈夫なのかしら…? と感謝したり心配したりで忙しかったのですが、街中のコンビニでもこういうあたたかさが感じられるのが台湾の素晴らしさで、見習いたいです。
もちろんあとでそのコンビニで買い物しました。

羅東は他にも美味しいものに出会いました。
お手頃価格の「ぶっとびスープ」。
このお店も家族連れで繁盛していました。
地方にはさりげなく美味しい、隠れたグルメがあるのも魅力です。

鮫(さめ)の燻製もはじめて頂きました(左上)。
一口頂いて、その柔らかさに驚きます。
日本ではほとんど食べることができない珍味です。

美味しいものを食べていると、それを作ってくれる人や、そのお店を育ててきたまち、そして自然の恵みに感謝の念が湧いてきます。
台湾グルメが多くの人を引き付けるのは、ただ素材や味つけが良いからではなく、台湾人や台湾の大地が魅力的だからでもあると思うのです。

台湾東部の旅。
まだまだ続きます。


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