アルパカ
雨水から啓蟄前までの俳句と短い文章をまとめています。 俳句らしきものとそれに併せて俳画代わりの短文を添えています。 一つ一つは短い作品で一口で召し上がれます。 エッセイとも、詩とも、小説とも、ご自由にご鑑賞ください。
立春からの俳句と短い文章をまとめています。 俳句らしきものとそれに併せて俳画代わりの短文を添えています。 一つ一つは短い作品で一口で召し上がれます。 エッセイとも、詩とも、小説とも、ご自由にご鑑賞ください。
noteを初めてから節分までの俳句と短い文章をまとめています。 俳句らしきものとそれに併せて俳画代わりの短文を添えています。 一つ一つは短い作品で一口で召し上がれます。 エッセイとも、詩とも、小説とも、ご自由にご鑑賞ください。
紫陽花やビニール傘ににじむ色 憂鬱な雨の日の外出。安物のビニール傘をさして歩く。 ふと見るとアジサイが咲いている。 半透明のビニール越しに見ると色がにじんで、傘を回すと万華鏡のようだ。 雨の日の外歩きも悪くないかな。
ねぐらより蝙蝠立ちて暮れる街 夕刻の駅の人の流れも、一つの方向へ向かっているわけではない。 駅へ向かう人、駅から出てくる人、駅前を通り過ぎる人。 家路に付く人、職場へ向かう人、遊びに出掛ける人。 人の数だけ行き先がある。 所在なく立つ私以外は。
いねがてに眺める空や明け易し 物思いに過ごす夜 夜具にもぐり込んでも休まらぬ気持ち 時が過ぎるほどに募る徒労感 思いのほか早い薄明 動き出す世界 動けない私
小糠雨降れば芒種の里静か 昨夜からの雨。朝になっても止みそうにない。 今日は農業地帯も静か。 疾走する軽トラも唸りをあげるトラクターもいない。 作物の水やりも雨に任せ、田にも畑にも人の姿は無い。 雨だけが静かに降っている。
五月雨の合間の日差し苔青し 連日のスッキリ市内お天気。 空気も地面もどこかしら水っぽい。 でもまあ、草木にとっては雨も湿度もいいことなのかもしれない。石垣の隅の苔も青々としている。 え?苔は草木じゃないって?いいじゃない。
いつもご覧いただき、またスキもたくさん下さりありがとうございます。 最近の絵のない俳画は何となく俳句に説明を付けてるだけみたいな感じもしてきました。 蛇足にならないよう。でも、同じ風景の描写で有るように。そんな風に出来ればいいなと思っています。 今後ともよろしくお願いします。
雷の音遠ざかり動く街 雨が小止みになり激しかった雷鳴も静まってきた。 待ちかねたように駅から、アーケードから、お店からも。雨宿りをしていたらしき人々が出てきた。 そんなに急がなくてもいいのに。と思いながら私も歩き出した。
山の朝老鶯の声高らかに 都会を離れ初夏の山里で朝を迎える。 無駄に朝早く目が覚めて外へ出るとウグイスが鳴いている。 早春の鳥のように言われるが、むしろ今の方が元気よく鳴いてる気がする。 そうだよね。時期はずれとか出遅れとか大きなお世話だよね。 人それぞれ。大きな声で目立ってみるかな。
愛しげに田植え機洗う老農夫 田植えが片づいたらしくおじいさんが田植え機を洗っている。 それはそれは丁寧に隅々まで水をかけて泥を落としている。 いずれ息子が使うからと、綺麗に丁寧に。 息子は遠くの町で暮らしていて長らく帰ってこないけど。 そんなことは意に介さず、愛しげに洗っている。
著莪咲くや祠の先は杉木立 山懐の古い神社を訪ねた。境内は広く各所に小さなお宮が建っており、それぞれに特色のあるしつらえとなっているのも趣がある。 少しきつい小道を登ると小さい祠が有る。その辺りまで登ると木陰となっており、風も少し有って心地よい。その先はもう山。 森との境にひとむらの青白い花が涼やかに咲いている。
蛍追う我を忘れて闇の中 闇の中に小さな光を見た。確かに見た。 無我夢中で追いかけた。 いつだって何もつかめず、また闇の中に一人きり。 また、つぃっと一つ。光が見えた。 また、闇の中を歩き出した。
古簾茅葺き屋根にわたる風 近くの山からヒグラシの声が聞こえる。 どこかからかすかに風鈴の音も聞こえる。 夏の日差しが少し西に傾き、縁側から遠く白く入道雲が見える。夕立が来るかもしれない。 軒から入る風は少し温度が下がったようだ。 夕飯はなんにしようか、と現実的な事を考えたとたんに夢から覚めた。
新しき傘打つ雨や花菖蒲 新しい傘を買った。そしたら雨が降らない。こう言うのはよくある話。 久しぶりの雨。こんなに降らなくてもいいのに。 それでも新しい傘はぱらぱらと雨をはじき、水玉がころころ転がり落ちる。 雨も少しだけいやじゃなくなるかな?
廃校の校庭哀し八重葎 大人の言うことはいつも嘘っぱちだ。 他の学校へ行くことになっても前の学校でも遊べるって言ったのに、いつの間にかフェンスで囲って鍵を掛けた。 入りたいときは大人の人に鍵を開けてもらえって言うけどそうじゃない。僕らはいつでも好きなときに入りたいんだ。 僕らが入らなくなった校庭は草ぼーぼーだ。
座る間も惜しんで開ける缶ビール ああ疲れた。 帰宅したらどっと疲れが出た気がする。 コンビニのレジ袋をテーブルに置き、中から缶ビールを取り出しそのままプシッと開けて一口あおる。 普段やらないことをするとなんだかスッキリした。 さて。後はカロリーオーバーのコンビニ弁当食べて今日は寝てしまおう。
早苗饗や田ごとに宿る神有りて 今年も無事田植えが出来た。明日は早苗饗だ。 手伝い衆には声をかけたし、食事の用意は女衆に任せたし、酒は買ってある。 抜けや怠りは無いだろうか。やれやれ、田植えより気を使う。 肝心の田んぼの神様へのお供えを忘れないようにしないとな。 「早苗饗。さなぶりと読みます。田植えが終わった後田んぼの神様へ感謝し、また田植えを手伝ってもらったご近所や親戚をもてなしたりする行事です。今は機械化が進み、失われた行事となっているようです。」