それって認知症かも?初期症状を知るポイント

最近、高齢の親が何かと口うるさくなったように感じることはありませんか?周囲への小言や不平不満は、認知症の初期症状である可能性も。こうした言動が見られた場合、家族はどう対処するのが良いのでしょうか。「よくあることだから」と家族が大事なサインを見逃してしまわないよう、今回は認知症の疑いがある高齢者と接する際の注意点や適切な対処方法をご紹介します。

見逃しがちな認知症の初期症状とは

認知症の初期症状として、以下のような変化が見られます。

  • ・物忘れが増えた

  • ・理解力や判断力が低下した

  • ・思い通りに言葉が出てこない

  • ・時間や年月日、曜日、季節がわからない

  • ・知っている道で迷う

  • ・怒りっぽくなった

  • ・料理などの家事や金銭管理ができなくなった

  • ・意欲や周囲への関心がなくなった


こうした状態が見られる場合、認知機能が低下している可能性があります。いつもと様子が異なると感じたときには、認知症の初期症状を疑ってみましょう。

穏やかだった人が怒りっぽくなったり、出来事を人のせいにして責めたりと、人格が攻撃的になるのも認知症の症状の一つです。次ではそうなってしまう原因について見ていきましょう。

認知症で怒りっぽくなったり、文句が増えたりする原因

認知症の人が怒りっぽくなる理由には、どういったことがあるのでしょうか。次で詳しく見ていきましょう。

●周辺症状(BPSD)によるもの

前述の通り、認知症の初期段階では記憶力や理解力の低下が見られます。今までできていたことができなくなったり、過去や日常のことが思い出せなくなったりするため、焦燥感からつい怒りっぽくなってしまう傾向があるのです。

こうした感情の不安定さは「周辺症状」に該当します。周辺症状とは、認知症に共通してあらわれる「中核症状」と環境、体調、精神面などの相互的な要因によって起こるものを指します。

また、易怒性(いどせい)という周辺症状が出ると、怒りっぽくなったり、暴言を吐いたり、暴力をふるってしまったりすることも考えられます。

●断片的な記憶の欠落から来る苛立ち

認知症の記憶障害によって、記憶がつながらずに苛立ちを覚えてしまう方もいます。直前の記憶が思い出せない場合、自分が取った行動やその場所にいる理由を理解できず、不安が募って苛立ちを周囲にぶつけてしまうのです。

●被害妄想

記憶障害によって記憶が欠落し始めると、被害妄想の症状が出ることがあります。本人はそれに気が付かないため、「大切にしている物が盗まれた」と思い込む「物盗られ妄想」をしてしまったり、「誰かが(自分の)悪口を言っている」と感じたりします。

認知症になると「食事を摂ったことを忘れる」とよく言いますが、被害妄想が強い場合は「家族が自分にだけ食事を与えてくれなかった」と思い込んでしまうことがあるのです。

●認知症薬の副作用

認知症の進行を遅らせる薬の副作用によって、怒りっぽくなるケースも。代表的な薬の一つである「アリセプト(ドネペジル塩酸塩)」は、記憶力や見当識、発語能力の維持や症状を改善に導く効果があります。つまり、中核症状の改善が期待できるのです。

一方で、アリセプトには覚醒作用があります。無気力やうつ(陰性症状)には有効に作用しますが、投与した人が攻撃的になり、暴力や暴言(陽性症状)につながる可能性もあるのです。

文句ばかり言う高齢者への適切な対応方法

文句や小言が多くなった高齢者に接する際には、いくつかの注意点が必要です。対応を誤ると、本人が孤独感や疎外感を感じてしまったり、認知症の初期症状の場合には悪化につながったりする恐れもあります。

●否定や叱責をしない

認知症の高齢者のなかには、幻覚や幻聴に悩む人もいます。本人がそのことを訴えた際に、家族は決して否定してはいけません。本人にとってはしっかりと見えている(聞こえている)ため、自分の主張を真っ向から否定されれば悲しみや苦しみを抱くでしょう。

幻覚や幻聴の有無にかかわらず、本人に共感しながら、しっかりと訴えを聞くことが重要です。

また、本人が失敗をしてしまった際には決して責めず、不安を感じさせないように「大丈夫」などと声をかけながら、落ち着いて対処するようにしましょう。

●子ども扱いしない

高齢者とコミュニケーションをとる際、相手に配慮するあまり、子どもをあやすような対応をしてしまう人がいます。しかし、人によってはプライドを傷つけられたと感じてしまうことも。

相手を尊重する意識をもったうえで、目線の高さを合わせつつ、聞き取りやすいようにゆっくりと大きな声で話しましょう。

●本人が安心できる環境を整える

生活環境を整えることで、認知症の人でも安心して日常を送れるようになります。家族が頻繁に声をかけたり、一緒にテレビを観たり、本人の好きなように部屋を模様替えしたりするのがおすすめです。

不安が減ることによって、周辺症状が収まる場合もあるでしょう。

そのほか、部屋の温度や湿度、明るさを調整するのも有効な方法です。また、自宅のお風呂やトイレが使いやすくなるように手すりを取り付けたり、段差をなくすためにマットを敷いたりするなど、バリアフリー化もあわせて検討してみましょう。

●専門医に相談する

かかりつけ医や認知症の専門医に相談してみるのも一つの方法です。苛立ちの原因が、認知症ではなくほかの病気や体調不良であることも考えられるためです。 また、苛立ちを軽減する薬などもあるので、症状がひどい場合は一度、医師に相談してみると良いでしょう。

介護ストレス軽減のために家族が考えたい3つのこと

認知症の方の介護を担うご家族にも、定期的な気分転換が必要です。息抜きをしてストレスを発散することで、無理なく介護を続けられるでしょう。 また、一人で抱え込まないための心構えも重要です。次では家族が考えておきたい3つのポイントを解説します。

1.事実をありのまま受け入れる

「老い」は誰にも平等に訪れるものです。認知症の人が失敗したり、事実と異なる発言をしたりしても、それを責めることなく見守ることが重要です。 また、本人が認知症と診断された場合、家族はなるべく落ち込んだりせず、今まで通りの生活を続けてあげましょう。それが、本人の安心にもつながります。

2.介護を一人で抱え込まない

家族一人が介護を背負い込んでしまうと、その責任感から介護うつなどになってしまう可能性もあります。兄弟や姉妹がいて親の介護を分担できそうならお願いしたり、同じように介護をしている人や近隣の人、行政など地域のサポートも受けたりしながら取り組みましょう。

3.介護サービスを利用してレスパイトケアを

介護を少し休みたいときや用事で介護ができないときには、介護サービスを利用する「レスパイトケア」がおすすめです。短期入所生活介護(ショートステイ)では、1泊から高齢者の入所が可能です。入所を希望する場合には、担当の介護支援専門員(ケアマネジャー)に問い合わせてみてください。

相手を否定しないコミュニケーションが大切

高齢になった親の文句や小言が増えたと感じる場合、認知症の初期症状である可能性も。認知症の人が苛立ちを覚えてしまう原因としては、周辺症状や被害妄想、薬の副作用などが考えられます。
そうした相手に接する際は、孤独感や不安を感じさせないようなコミュニケーションが重要です。

また、ご家族は介護うつを防ぐために、介護サービスを利用したレスパイトケアなども取り入れて無理なく介護を続けていきましょう。


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