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民泊 武蔵さん宅

3回目の東北。初めて冬に訪れた。カメラのバッテリーも凍りつくような冷気と満点の星空が私達を迎えてくれた。

ここは気仙大工左官伝承館。今回民泊を受け入れてくださった武蔵さんが昨年まで館長を務めていた。武蔵さんは震災当時、この場所で陸前高田を襲う津波を見たという。
現在この場所には神戸の「1.17希望の灯り」から分灯された「3.11希望の灯り」が建っている。私の両親も当時大阪で被災した。奇しくもこの日は阪神・淡路大震災が発生した日。不思議な縁を感じた。

夕飯は手巻き寿司と秋刀魚のお吸い物。武蔵さん一家と食卓を囲んだ。
夕食後には武蔵さんからお話をいただいた。最も印象に残った言葉は「自分の命は自分で守る」だ。もしもの時の避難場所や連絡先を確認しておく、防災セットを準備しておく、駐車場に車を停める時は必ずバックで。小さな心がけが自分の命を守り、みんなの命を守る事につながる。

翌朝。早起きをして日の出を見に行った。しかしあいにくの曇り空。代わりに武蔵さんは景色のいい所へ連れて行ってくれた。

リアス式海岸がみせる荘厳な地形と穏やかな海。ここから人々を飲み込む津波が来たことはイメージできなかった。しかし同時に海は人に恵みをもたらす存在でもあるのだ。日の出は見れなかったが、自然のエネルギーを感じる場所だった。

海岸に下りると石が積まれていた。誰かが祈りを捧げたのだろうか。積まれた石からは何処からか力強さを感じた。

朝食はいぶりがっこ。
初めて口にしたがとても美味しかった。見つけた際は是非ご賞味あれ。

この場所に来る度に「あたりまえ」の大切さに気付かされる。 友達とたわいのない話ができること、家族や大切な人達に感謝の気持ちを伝えられることの幸せさに。
都会の喧騒の中で忘れてしまいがちな大切なことを陸前高田は教えてくれる。何よりも私は辛い過去と向き合いながら前を向いて進み続ける高田の人達に勇気づけられた。
また来年もおとずれたい。

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