掌編小説:全員、議長!?

議長A「それでは、会議を始めます。」
議長Aが資料のページをめくろうとする。
議長B「イヤイヤ、その前になんで貴方が、会議を仕切っていの?」
議長A「なぜって、この席がちょうど、真ん中で議長が座るべき場所に私が座っているからです。それでは、」
議長B「イヤイヤ、ヌルッと進めないで。理由は席だけ?それじゃあ議長は務まらないんじゃない?」
議長C「その通り、席の配置だけで議長を名乗るのは、議長に相応しくない。問題は、議長としての資質。それが備わっているからどうかです。つまり、私が議長としてふさ」
議長B「イヤイヤ、どこに議長の資質があるのよ?それを言うなら、俺が議長になるべきだと思うね。そもそも、議長の資質ってなによ?」
議長C「議長として会議をまとめること。相手の意見を引き出すことが重要。あなたは、全て否定から入っています。それが、議長としてふさわしいですか?」
議長B「会議に活気をつけるために、反論は必要だと思うね。否定ではなく反論ね。あくまで。そもそも会議始まっていないし。」
議長C「反論するのは議長の仕事ではありません。」
議長B「議論に相応しくないこと言う人間に対して注意は必要だろ?」
議長D「あのー、すみません。意見してもいいでしょうか?」
議長Bと議長Cが、会話をやめて議長Dを見る。
議長D「議長の資質についてなんですけどー。やっぱり人間性が大事かなって思います。まぁ、議長として会議を取りまとめるのは大事だし、否定するのは良くない。」
議長Bが顔しかめる。
議長B「『反論』だ。」
議長C「その通り、議長としての資質があるのは、このわ」
議長D「議長Cは、書記と不倫しています。」
議長AとBとCが議長Dを見る。
その後に議長AとBが、議長Cの顔を見る。
そして書記を見る。書記は顔を伏せる。
議長C「何を馬鹿なことを。私が書記と不倫するわけないだろう。」
議長D「二人で歩いているところを見ました。」
議長C「それだけで不倫だというんですか?」
議長D「ホテル入っているところを見ました。」
議長C「それは、、」
議長B「なるほど、人間性ね。一理あるかもしれないな。そうなると、議長Cは議長に相応しくないかもなー。」
議長D「そうなると、私が議長になるにふさわしいと思うんですよー。」
議長A「人の秘密を暴露するような人が議長に相応しくないと、私は思います。」
議長D「えー、貴方なんて、席だけの理由で議長って言い張ったじゃないですかー。」
議長B「そうだ、そんな人間が議長になれない。議長はやはり俺だ。」
議長C「いや、貴方には荷が重すぎます。議長はやはり私。」
議長D「いやー、浮気男に言われていもー。」
バンっ。
書記「今までの議論って、議事に残します?」
議長ABCDが驚いて、書記を見る。
議長C「いや。」
書記「ちなみに、誘ってきたのは、議長Cからです。」
議長ABDが議長Cを見る。
議長A「まぁ、皆さん仲良くやりましょう。」
議長B「そうだな、書記さんを困らせちゃぁな。」
議長D「そうですねー。」
議長Cも頷く。
議長C「会議を進めましょう。議題はなんですか?」
議長A「えーっと。」
議長Aが資料のレジュメをめくる。
議長A「本日の会議は『議長の選出』。」
再び、議論が始まる。
書記は呆れて、席を立つ。
<了>

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?