クーラー搭載リュック誕生!「コンディショニングバックパック」開発秘話~後編~
※2023年6月8日に公開した記事です
本日のゼネログは前回に続き「コンディショニングバックパック」トークセッションの続きをお届けします。前編はこちらからご覧いただけます!
搭載技術・機能の特長
(仲田)コンディショニングバックパックは、新開発の「蓄冷熱交換技術」を用いて冷却しています。特長は大きく3つ、(1)熱をどう移動させるか (2)移動した熱をどう伝えていくか (3)快適をいかに持続させるかです。
特長(1)については、保冷剤を使って熱交換をしています。
保冷剤は、凍ることで熱を蓄えて、溶けることで熱を放出します。
その状態変化の中で体積が変わるのですが、体積が変わると熱交換器と接触しなくなり、熱が伝わりにくくなります。
そのため、熱交換器が保冷剤の大きさ変化に追従するようにして性能を維持できる点が、一つのポイントだと考えました。
(北原)バックパックにもエアコンの知見が活かされているのでしょうか?
(仲田)私はエアコンの熱交換器の開発を行っていましたが、冷却や放熱などの基本的な原理は同じです。これまでの様々な知識経験が今回のバックパック開発にも活きています!
(北原)特長(2)についてはいかがですか?
(仲田)バックパックの背面に冷却シートを搭載しています。一般的な冷却グッズはチューブを這わせる形式が多いのですが、どうしても均一に冷えないことが多いです。今回、シート形状にすることで、背面全体を均一に冷却できるようにしました。
(北原)特長(3)についてはいかがですか?
(仲田)例えば、暑い日にコンビニへ入った瞬間ってとても気持ちいいですよね。ただしばらく経つと気持ちよさではなく、寒いと感じると思います。人の体は急激な変化には敏感ですが、緩やかな変化には鈍感なんです。そういった特性を踏まえて、温度の“ゆらぎ制御”を入れました。熱交換に緩急をつけることで快適を持続させます。
(北原)私も実際に試作品をお借りして出勤したのですが、背中全面の冷たさが印象的でした。水を循環させていると聞いていたので、重力で下に溜まってしまうのではと思ったら、背中がしっかりと冷たくて、かなり驚きました!これは水が均一に行き渡る技術のおかげなんですね。
(仲田)はい、さらにシート状にしたことで体への密着性も向上しています。
(北原)人の体の特性も興味深いです。人は冷たさに慣れてしまうと、どんなに冷たかったとしてもあまり新鮮に感じられないものなんですね。
(仲田)そうですね。皆さん発熱した際などに保冷剤を額にあてて寝た経験があると思いますが、最初は気持ちいいけれども、だんだん冷たすぎて頭が痛くなりますよね。やはりちょうどいい温度を、いかに持続させるか、これが今回のポイントです。
~ここからサプライズゲストとして、バックパック開発にご尽力くださった総合スポーツ用品メーカー ミズノ株式会社の土屋雅道氏もご登壇くださいました~
こだわったポイント
(北原)コンディショニングバックパックの構想を聞いた当初、背中の快適性は間違いないが、冷却装置が入るので重くなってしまうのではと伺った記憶があります。富士通ゼネラルさんはさすがその辺もぬかりなく、ミズノ株式会社さんと共同で開発することによって、実際の重さを感じにくくするところまでケアをされていて、より素晴らしい製品に仕上がったと思います!
(仲田)蓄冷熱交換技術に関しては、保冷剤がバックパックの変形にいかに追従していくかが大きくこだわったポイントでした。
また、一般的な冷却グッズはファンがついてごつっとした外見のものも多いですが、今回はビジネスパーソンが使うバックパックのため、デザインにもこだわりました。私自身もビジネスシーンではシンプルを好みますが、そういった相反するものをいかに両立するかという点にすごくこだわりました。
苦労した点
(仲田)このバックパック、実は7回も試作をしています。特に背面の冷却シートをカバーする生地の部分が難関でした。メッシュ生地を厚くすればそれだけクッション性があって、よりしっかりしたものになるというのが通常のバッグですが、今回はなるべく薄く、熱伝達を良くしたいということがありました。そのため、ミズノさんに生地をたくさん集めていただき、1枚1枚熱流束を測定して、今の生地にたどりつきました。本当に何度もディスカッションをさせていただきました!
(北原)7回も試作を重ねたという所に両社の強い想いを感じます!バッグとしての品質と熱の伝わりやすさをどう両立するか、すごく苦労されたのですね。土屋さんは印象的に残っている点などありますか?
(土屋)まずサンプルを作った回数が7回ということで…!なんとか完成にたどり着きました。全てが想定からスタートしたので、これで冷たくなるだろうと思っても上手く冷えなかったり。また、薄くすればするほど冷たさが伝わりやすくなる半面強度が落ちてしまうので、相反するものの両立が難しかったです。
また、富士通ゼネラルさんは精密機械を作られている会社なので、数ミリ単位での誤差を気にされるのですが、私たちがやっている鞄はだいたい5ミリはズレることが当たり前です。そういった違いを知ることもコラボレーションならではだと感じました。
(北原)それだけ緻密にこだわって出来上がった製品は間違いなくいいものということですね!
今後の展望
(仲田)まずは500台完売が目標です!また、蓄冷熱交換技術は今後も多様な用途への展開を検討していますので、皆さまの快適・安心・安全に貢献できるよう、研究開発に取り組んでいきます!
トークセッション登壇者
株式会社マクアケ
専門性執行役員 / R&Dプロデューサー
北原 成憲氏
富士通ゼネラル
コンディショニングバックパック開発担当
仲田 昇平
ミズノ株式会社
グローバルイクイップメントプロダクト部 開発担当
土屋 雅道氏
Makuakeでの販売は7月11日まで、この涼しさをぜひご体感ください!
商品の詳細についてはMakuakeのページをご覧ください。
「コンディショニングバックパック」Makuakeにて発売開始 - ニュース(プレスリリース)
ビジネスパーソンの通勤を涼しく快適にする「コンディショニングバックパック」 - 製品紹介と購入サイト(Makuake)