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larrows of the field

2023/11/18の珈琲日記

魔の6連勤が明けたと思ったら、朝早くから通院の予定あり。わたしは人間の形をした眠気そのものであったので、Post Coffeeのコスタリカ、ペルー、ホンジュラスのブレンドを豆1:お湯14.5で抽出。それでも足りなくてエチオピアも淹れる。先週、職場で飲むコーヒーは中深煎りがいいかもしれないと思ったのだけど、休みの日の朝はやはり少し浅煎り寄りの方が合う気がする。

夜は先週自分で焙煎したコスタリカを同じ濃さで抽出。先週気になったエグみみたいなのは収まっている気がしていて、それが焙煎香なのかもしれない。同じ豆で焙煎したてと1週間置いたもので飲み比べしてみたい。色々なYouTubeの動画を観ていても思うのだけど、コーヒーの抽出って化学の実験そのものなのではないか。いまはTDSメーターが気になっているのだけど、そうやって分析的に行う抽出の深みにハマってしまいそうで怖い。それはともかく、明日は生豆を洗ってから焙煎するやつを試してみたい。

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午前中は月一で通っている病院へ。主治医に最近の調子はどうですか?と聞かれ、いかに仕事で奴隷のような扱いをされているかを熱く語り、先生もそれはおかしいそれはおかしいと同調してくれて、ほとんどメンタルクリニックみたいになっているのだけど、なんだか励まされました。人間ドックの結果も問題ないと言われ一安心。帰宅して、再び睡眠の負債を解消するためにこんこんと眠りました。

午後は靴の修理と散髪へ。髪を散らすと書いて散髪なのですね。散らばった僕の髪の毛はとても多くて、そういえばもう2か月も髪を切っていなかった、と思い知らされるのでした。美容師さんにも仕事の話を聞いてもらい、まじすか大変すねヤバいすねと言ってもらって、これもやはりカウンセリングなのでした。そのうち、仕事に知らず知らず脳の大半を持っていかれてる…と少し落ち込むものの、自宅に先日アマゾネスで注文したレコードが届いてることを知り、壁面にレコードを飾るアイテムを無印良品で購入し、カルディでベルギーのビールを、スーパーでカレーの具材を買って帰宅しました。ちゃっちゃとカレーをいい塩梅に仕上げて、いよいよ壁面にレコードを飾る作業に取り掛かります。スペースが限られているので窮屈ながらも一応満足できる形に。

満を持して針を落とすそのレコードは、goldmundの"corduroy road"なのでした。なんとも言えない色合いの、夕刻のような空にかかる褪せた虹、暗い木々。そして仄暗くも、どこか感情を慰撫するような淡いタッチのピアノの音像。行き場のない心を、このアルバムに何度助けてもらったことか、と思います。数年前に目黒のパーシモンホールで観たgoldmundのコンサートで、Keithさんはまるで科学者みたいにストイックなオーラを放っていて、僕は言葉を失いました。レコードを買って気づいたのは、"Larrows of the field"でB面が始まること(それにしてもlarrowsって何だろう?)。音がどこまでも、湖面に広がる波紋のように美しく広がっていく音楽だと思います。あの日のKeithさんはひたすら淡々とこの曲を奏でいて、「ただ、特に理由もなくそこにある、美しいもの」みたいなものとして響く音楽に、衝撃を受けたことを今も思い出します。

寝る前。そんなレコードに針を落として、ベルギーのビールを飲みながら、違国日記の2巻を開きます。平日に欠損した人生が少しずつ回復していく感覚がそこにはあるのです。

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