見出し画像

松井今朝子(1953.9.28- )「一場(いちじょう)の夢と消え 出来秋(できあき)の善悪(よしあし)(二)[承前]」『オール讀物』2023年11月号

『オール讀物』2023年11月号
https://www.amazon.co.jp/dp/B0CK5158DX

松井今朝子(1953.9.28- )
「一場(いちじょう)の夢と消え
 出来秋(できあき)の善悪(よしあし)
(二)[承前]」
p.396-414

https://ja.wikipedia.org/wiki/近松門左衛門


坂田藤十郎 [初代](1647-1709.12.1)
竹本義太夫[筑後掾](1651-1714.10.18)
近松門左衛門(杉森信盛 1653-1725.1.6)
紀海音(1663-1742.10.31)
竹田出雲[初代](1691-1747.7.11)
竹本政太夫(1691-1744.9.1)

「義太夫節を天下に広めた男
[竹本義太夫 1651-1714.10.18]は
[旧暦]正徳四年晩秋九月十日に他界し、
大坂中の人びとが享年六十四の一生を
早すぎる段切れと悼んだ」
p.408

「[政太夫に]
信盛は義太夫がまだ天王寺五郎兵衛を
名乗っていた昔の話をしてやった。
美声の[宇治]加賀掾[1635-1711.3.9]
にとっては引き立て役だった
五郎兵衛が後に竹本義太夫として
開花したように、
豊竹座で美声の若太夫を立派に引き立てていた
政太夫にも、必ず将来があると見込んで
竹本座に引き抜くよう進言した話も打ち明けた」
p.412

「義太夫の数ある弟子の中でも
師匠の極めた奥義を
一番よう会得したのは、
おぬし[竹本政太夫]ではないかのう
 ……
身ども[近松門左衛門]は
この歳になると、一筆ごとに
身を削る思いで書く。
そなたもそれに付き合うてはくれぬか」
p.414

https://ja.wikipedia.org/wiki/竹本政太夫

「竹本政太夫初代 1691-1744.9.1
1716年11月に『国性爺合戦』の三段目を語り大当たりする。
これが数年にわたりロングランヒットをとげ
義太夫の後継者に位置づけされ、
18世紀前半期の竹本座で活躍。
1734年に師名の義太夫を襲名する。
1735年に受領し竹本上総少掾藤原喜教、
1737年に再受領し初代竹本播磨少掾を名乗った。」

https://ja.wikipedia.org/wiki/大経師昔暦

https://kotobank.jp/word/大経師-556742

「正徳五年[1715]正月興行演目は
『大経師昔暦』、
信盛がまだ京にいた頃に
姦通の罪で処刑された大経師
[朝廷御用経巻・仏画表装職人長、大経師暦を発行]
の妻おさんと手代茂兵衛の
三十三年忌を当て込んだ浄瑠璃だった。
今年はまた『曾根崎心中』の
お初徳兵衛の十三年忌にもあたる
 … 
『曾根崎心中』は
かぶき芝居の「切り狂言」に見習った「切り浄瑠璃」。
当初は付録の演目だったが、
人形の舞台で身近な町人の暮らしを見る目新しさと、
話のわかりやすさが受けて
意外なほどの大当たりをした結果、
心中物は義太夫節で大流行りになってしまった。」
p.410

『大経師昔暦』が原作な映画、
『近松物語』大映 1954
https://www.allcinema.net/cinema/86321
監督 溝口健二
劇化 川口松太郎
脚本 依田義賢
撮影 宮川一夫
出演 長谷川一夫 香川京子 南田洋子

https://ja.wikipedia.org/wiki/近松物語


https://ameblo.jp/jasminemariko/entry-12598094637.html


を、1974年10月29日、
池袋文芸坐地下
(併映『西鶴一大女』東宝 1952 溝口健二二本立て)
で観ましたが、内容はまったく憶えていません。

五十年前には、まだ和歌~能楽~俳諧等にまったく
興味関心のない明治大学文学部学生でありました。

「文学は伝統によって成立する。
『古今集』と『長恨歌』がなければ
『源氏物語』はあり得ず、
その『源氏物語』がなければ
『新古今集』はなく、
さらにその『新古今集』がなければ芭蕉はあり得ない。」
丸谷才一(1925.8.27-2012.10.13)
「二次的文学」
『ミステリ・マガジン』1976年8月号
『低空飛行』新潮社 1977.5
https://www.amazon.co.jp/dp/4101169047

を読んだのは、
1978年3月卒業、
1978年4月聖心女子大学図書館勤務以降でした。

https://ja.wikipedia.org/wiki/正親町公通
正親町公通(おおぎまち きんみち 1653-1733)

https://ja.wikipedia.org/wiki/竹本義太夫
竹本義太夫[筑後掾](1651-1714.10.18)

https://ja.wikipedia.org/wiki/近松門左衛門
近松門左衛門(杉森信盛 1653-1725.1.6)

https://www.youtube.com/watch?v=zWfJZKe0UEc
桃山晴衣 曾根崎心中・道行の段

「自分が書いた浄瑠璃は、
大音で美声なら可とするほど簡朴に収まっててはいない。
『出世景清』[1685]の昔とは違って、
『曽根崎心中』[1703]以降は
人物の性根や心底が現世(うつしよ)に近く生々しいし、
筋も込み入って来たので、
どんな詞章もなおざりにできないはずなのだ。」
p.407

「浄瑠璃を初めて書いた時は、
歌や俳諧と同様に五文字と七文字の組み合わせで
詞章を綴れば調子が整うことを
正親町公通(おおぎまち きんみち)卿に教わったものだ。

浄瑠璃はつまり歌詞(うたことば)で綴ればいいと思っていたのが、
「歌」と「語り」の違いが気になりだしたのは、
[竹本]義太夫との出会いからだった。

義太夫は歌い流すことなく
詞の一つ一つをくっきりと立たせるために、
大音で語りながら時にぐっと息を詰める一瞬は
死ぬほどの苦しみだったのではないか。
それでこちらも勢い調子のいい歌詞ばかり揃えずに、
その件りで最も生々しく真を穿った詞にこだわったのだ。
ありきたりの歌詞だけで調子よく綴れば、
どんなに楽に書き流せたことか……。」
p.413

読書メーター
松井今朝子の本棚(登録冊数7冊)
https://bookmeter.com/users/32140/bookcases/11929988

オール讀物の本棚(登録冊数24冊)
https://bookmeter.com/users/32140/bookcases/11092057

https://note.com/fe1955/n/n07d2273a1a03
松井今朝子(1953.9.28- )
「一場(いちじょう)の夢と消え」
『オール讀物』2023年3・4月合併号

https://note.com/fe1955/n/n29b84073f5a3
松井今朝子(1953.9.28- )
「一場(いちじょう)の夢と消え
春永の暮らし(一)(二)」
『オール讀物』2023年3・4月合併号

https://note.com/fe1955/n/n2a2930999414
松井今朝子(1953.9.28- )
「一場(いちじょう)の夢と消え
第二回 春永の暮らし 三」
『オール讀物』2023年5月号

https://note.com/fe1955/n/nacaa08c07eeb
松井今朝子(1953.9.28- )
「一場(いちじょう)の夢と消え
 夏安居[げあんご]の日々」
『オール讀物』2023年6月号

https://note.com/fe1955/n/naf79bf345ce9
松井今朝子(1953.9.28- )
「一場(いちじょう)の夢と消え
 第四回 夏安居[げあんご]の日々(二)」
『オール讀物』2023年7月号

https://note.com/fe1955/n/nc9585ab4b874
松井今朝子(1953.9.28- )
「一場(いちじょう)の夢と消え
 第五回 夏安居[げあんご]の日々(三)」
『オール讀物』2023年8月号

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?