着工前夜のエトセトラ

 鈴鹿青少年の森公園のサッカースタジアム着工前日に、栃木市のスタジアムと比較して色々調べて考えてみました。
 ※個人の感想です。前提事実に誤りがあれば指摘して下さいませ。


①栃木市のスタジアムに対する判決について

 栃木シティのホームスタジアムについて、栃木市が行った固定資産税免除と公園使用料免除が違法であるとの訴えを認める判決が出ました。(※1)
 鈴鹿青少年の森と構図が似ている!と目にするので、本当にそうなのかまずは判決文を読んでみました。

(a)固定資産税免除

 裁判官「税金って国民みんな払うべきものですよね。生活が苦しくて大変な人には免除もしてあげるべきだけど、栃木シティさん違いますよねー」

 ………せやな 

(b)公園使用料免除

 裁判官「市が色々言ってるけどちょっと何言ってるかわかんない。そういう方向で攻めるならもっとちゃんとして」


 わざわざ条例に触れたり、公益性については固定資産税よりは基準ゆるいよとか、しっかり証拠そろえてくれたら考えたのにー残念だなあって感じが行間から漂ってくるのは私だけでしょうか。私には裁判官の愛のポエムに見える!(行間読もうとしすぎ病発症)


②鈴鹿青少年の森公園

 では次に鈴鹿にどれくらい影響するのか考えてみる。
 建設前であり固定資産税の部分は全く関係ないので、使用料免除の部分ですね。
 ただその前にそもそも前提条件が同じなのかを検討してみます。

(a)前提の比較

・栃木市
 栃木はクラブが建設させてって市にお願いして市もええ話やな!って飛びついて勢いでやっちゃったって感じでしょうか(詳細知らないので間違ってたら抗議して下さい。泣きながら訂正します)

・鈴鹿青少年の森
【三重県】
せっかく税金使って維持管理してるのに今の人が少ない状態は効率悪いよね。うち財政難だからもっと有効に使いたい。どういう活用方法があるか誰か調べて!

調査会社「こんなん出ましたけど」(※2)

なるほど。色々可能性があるなあ。

それを知ったポゲ「うちスタジアム建設用地探してるんだけど貸してくれへん?」

お。それは調査会社が出してきたのと合うな!貸すわ!

 一応手順は踏んでいます。もっと言うと公園全体を民間の力を借りて賑わいを創出しようとPFIを導入していて、あくまでスタジアムはその一つであり、スタジアムありきではありません。(※3)

【鈴鹿市】
 スタジアム計画より以前に、建設地あたりを集客施設エリアとして都市計画決定していて、こちらもスタジアムありきではありません。(※4)

 なので、某団体がなぜ青少年の森なのか、三交鈴鹿でええやんと言ってますが、だって県や市が青少年の森をそういう地域にしたいんだもん。県のPFI事業や市の都市計画を否定すべきで、スタジアムだけ言うのは筋違いだと思います。スタジアム止めたって計画がそのままなら別のすんごい施設が建つかもしれないじゃないですか。

(b)公益性の判断について

 では、次に。
 栃木市判決の使用料免除の判断について、公益性というワードが出ていました。
 三重県都市公園条例10条2項において「知事は、前項の使用料については、公益上有益と認められるものについて(中略)減免することができる。」となっているため、公益性が争点になる可能性が高そうですね。

 それで、栃木市判決において裁判官は公益性の基準についてどう言っているかと言うと、証拠、主張がいまいち信用できないから深いところまで踏み込まずにいわば門前払いの感じで判断したため、基準は示してないんですよね。(固定資産税免除の基準としての公益性ほどは求められないかもしれない。とは言っていますが)
 あと、被告が主張したので取り上げたのであって、裁判官が観客動員や経済効果等を使用料免除の場合の判断の指標として積極的に出してきたわけではないです。(裁判官は原告、被告が主張しない事を勝手に取り上げて判決の判断に使ってはいけません。これを「弁論主義」と言います。さらっと使うとモテます。※効果には個人差があります。)

 そんなこんなで、栃木と鈴鹿では建設に至る経緯が異なり、栃木市判決において利用料免除について一般的に使えるような公益性の基準を示していないため、某団体が言うほど根拠になるのか個人的には疑問です。


③鈴鹿で裁判になったらどうなるのか

 裁判官ってサッカーというスポーツ、Jリーグという興行は知ってるでしょうけど、Jリーグの他のカテゴリーやそこからJリーグを目指すという事はどういう事か、そこでの観客何人!というのが多いのか少ないのかはたぶん分からないと思うんです。裁判官は積極的に地域リーグ、JFLを知ろうとしてくれるだろうと思っちゃいますけど、そんな事ないです。あの人たち忙しいんです。
 例えば、ポゲのスタジアムは防災拠点を目指すようなので公益性ないのかなあ。例えば、市民に積極的に貸すなら健康増進で医療費削減につながるかもしれない。そうなれば公益性ないのかなあ。
 観客数、経済効果の方向で攻めるのもアリなのでそこも主張すべきですが、それのみはどうなんだろう。もし鈴鹿の予測以上に観客多いところが使用料払ってる事例があってそれを反論で出されたら、そこだけを武器に戦ったら厳しくならないのかなと。いや、そんな事例ないならいいですけど。なんにしても武器はいっぱい持ちたいよね。装備したら呪われてたって事もあるけど!(ドラクエのあの効果音を各自脳内で鳴らす事)

 で、裁判になったらですが、やってみないと分かりません。
 サッカーでも、カテゴリーが下のいわゆる格下が、ドン引きカウンター1本の1-0で勝っちゃう事もあるじゃないですか。あ。今トラウマ思い出して頭痛くなりました?私もです!


④最後に

 鈴鹿のスタジアムが中止になると結局公園の有効利用どうしように戻っちゃうわけです。
 以前の、利用者が少ない状態に税金で維持管理を続けるのはどうなんだろうねってところから話が始まってるので。三重県は国体延期開催を断念せざるを得ないくらいの財政難です。(ちらつく伊勢志摩サミットの亡霊)
 自然の話も分かるけどせやかて工藤。ないものはないねん。
 老若男女そしてこれから生まれてくるこどもたちそれぞれの立場を考え、それぞれ違いを認め、そのうえで最大公約数の幸せを考えるのも公益性のひとつだと思うのです。


※1 宇都宮地方裁判所 令和3年(行ウ)第2号差止等請求事件(住民訴訟)判決文
(PDF)https://suzu-mori-ai.jimdofree.com/app/download/11876836221/20220127%E3%82%B9%E3%82%BF%E3%82%B8%E3%82%A2%E3%83%A0%E8%A8%B4%E8%A8%9F%E5%AE%87%E9%83%BD%E5%AE%AE%E5%9C%B0%E8%A3%81%EF%BC%88%E5%88%A4%E6%B1%BA%EF%BC%89.PDF?t=1643946437 (鈴鹿青少年の森を愛する会提供)

※2 鈴鹿青少年センターと鈴鹿青少年の森の複合運営等民間活力導入可能性調査を実施しました(三重県公式ホームページ 令和2年6月19日付)
https://www.pref.mie.lg.jp/SHABUN/HP/m0209600100.htm

※3 鈴鹿青少年センターと鈴鹿青少年の森の整備運営事業にかかる実施方針等を公表します(三重県公式ホームページ 令和3年6月24日付)
https://www.pref.mie.lg.jp/TOPICS/m0046300185.htm 

※4 鈴鹿市都市マスタープラン
https://www.city.suzuka.lg.jp/gyosei/plan/toshi/index1.html

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