見出し画像

開催報告|塾生しゃべり場Vol.1「死は乗り越えるもの?」グリーフケア×お寺の現場から

未来の住職塾NEXT 講師の遠藤卓也です。2024年5月6日に、未来の住職塾の修了生・受講中の方のみが参加できるオンラインの場「塾生しゃべり場」を開きました。
コロナ以降、塾生同士の交流の場が少し減ってしまったこともあり、月1くらいで集える場を開きたいという思いから企画してみました。配信会場でも参加いただけるハイブリッドの会としており、今後はいろんな会場で行えたらと考えています。

記念すべき第1回目のゲストは「グリーフサポートが当たり前にある社会をつくる」を合言葉に活動を続けている一般社団法人リヴオン 代表の尾角光美(おかくてるみ)さんと、理事の五藤広海(ごとうひろみ)さんをお迎えしました。

未来の住職塾では、仏事を担う僧侶・お寺のスタッフにとってグリーフケアの学びはとても大事であるという考えのもとに、尾角さんとはこれまでも協力しあってきました。
間も無く広島にて開講予定の「僧侶のためのグリーフケア連続講座」は、未来の住職塾の修了生たちが発起人となって始まった、リヴオンさんの講座です。

未来の住職塾のプログラムの中には、グリーフケアの学びは含まれていませんので、こういった講座があることをとてもありがたく思っており、未受講の塾生にはお薦めしています。


もう一つ、リヴオンさんと私(遠藤)の個人的なご縁としては、ポッドキャスト「ゆるやか死生学」があります。尾角さんが語り手をつとめるこの番組では、「死の学びを全ての人の手に」という願いをこめて、死生学を共に学んでいきます。私は録音・編集・配信を担当。たまに出演もしています。

「ゆるやか死生学」シーズン1は「死は乗り越えるもの?」をテーマに、若くして家族との死別を経験した尾角さんの実感や、これまでに研究されてきた理論の紹介、そしてゲストもお迎えしてテーマについて語り合いました。
私は録音に立ち会いながら「死は乗り越えるもの?」という問いにまつわる様々な話を聞かせてもらったのですが、中でも一番心に残っていることがあります。

東日本大震災でお坊さんが傾聴ボランティアをしていた際に、お話しを聞いてもらっていた女性が「悲しみを奪われるような感覚」を感じたというエピソード。悲しみから立ち直ってほしいと思って、お坊さんがかけた言葉は、もしかしたら「悲しむことはよくないこと」と伝わっていたのかもしれません。その女性にとって、亡き家族を思い悲しむ時間は大切なことで、悲しんでいる時間が亡き方と共にあると感じられる時間だったのかもしれません。

そのケースを一つ見ても本当に難しいことであると感じます。だからこそ、未来の住職塾の修了生の皆さんの現場での実感や思いを聞いてみたいと思いました。


当日は、現地・オンラインもあわせて20名ほどの参加者で、テーマについてお喋りしました。(松本紹圭講師も当日の飛び入りで現地参加)
最初は尾角さんからグリーフの概要を教えていただき、ポッドキャストでも話題にしていたいくつかの考え方の紹介がありました。
その昔は死別の悲しみに対して「乗り越えよう」「亡き人との絆を絶とう」という風潮だったものが少しずつ変化していき、現在はデニス・クラウス氏の「継続する絆」モデルが広く受け入れられているということ。
亡くした人のことを忘れていくのが普通、ではなく、私たちはお墓参りもするし仏壇にも手をあわせるし、亡き方に語りかけることもある。実は周りに存在を感じているのに、無理に「居ない」ことにしようとしてませんか?と投げかけていったのが、デニス・クラウス氏の「継続する絆」モデルなのだそうです。亡き方との絆は継続するもの。いつまでも共にあるという考え方です。

※ 「継続する絆」モデルについてはポッドキャストでも詳しくお聞きいただけます

今回の塾生しゃべり場では、「死は乗り越えるもの?」という問いを、それぞれの現場でどのような情景としてみてきたのか?参加者たちは当事者とどのようなコミュニケーションをしているのか?皆さんの実感をお聞きできる貴重な場となりました。

例えば、治る可能性の低い病などで元気がなくなっている方への声がけはどうすれば良いか?自殺や事故などの突発的な死や、親より先に子が亡くなってしまった場合の葬儀などでどのように対応するべきなのか?そんな問いかけもありました。
参加者の皆さんは悩みながらも「自分はこうしている」と語りあい、それに対して尾角さんはどのように考えているか?という研究者の視点からのアドバイスを聞けたこともすごく良かったと思います。学びの多い時間でした。

今回、ゲスト出演をしてくださった一般社団法人リヴオン代表の尾角光美さん、理事の五藤広海さん、ありがとうございました!

宗派を超えてグリーフについて語り合いました

リヴオンさんでは、 5/21日(火)より広島にて「僧侶のためのグリーフケア連続講座開講を予定しています。またいつでもどこでも学べるグリーフケア基礎講座 オンデマンドもありますので、興味を持たれた方は是非Webサイトをご覧になってみてください。


PR|未来の住職塾では、塾生向けにこういった個別の勉強会や集いの場を開催しています。2024年度の塾生募集は既に終了しておりますが、来年度以降の受講にご興味のある方は、Webサイトをご覧ください。(事前エントリーも可能です)


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?