グルテンフリーは体にいい?エビデンスに基づいて解説します
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グルテンフリー。健康に興味のある方は一度は耳にしたことがあるのではないでしょうか。今日はグルテンフリーが体にいいのか解説していきます。
結論から申し上げますと、一部の方をのぞきグルテンフリーをする必要はありません。
わかりやすく解説しますので、ぜひご覧ください。
この記事は特に以下の3つの人にオススメします:
グルテンに関する基本的な知識を知りたい方
グルテンフリー生活を考えている方
グルテンフリーがどのように体に影響するか興味がある方
注意してほしいこと
この記事の内容は健康・疾患・医療に関する一般的情報と個人の見解を提供するものであり、実際に診療する医療者が行うアドバイス・治療に代わるものではありません。必ずしも全ての方にあてはまる訳ではないのでご留意ください。
グルテンとは?
グルテンは、主に小麦、ライ麦、大麦などの穀物に含まれるタンパク質です。モチモチとした弾力や伸びやすさを作る性質があります。パンやケーキなどの多くのお菓子や料理に利用されています。
グルテンが健康に良くないという説があり、グルテンを避ける「グルテンフリー」という食事法が流行しています。私自身も、グルテンフリーをしていた時期がありました。しかし、今はそこまでやる必要がないと考えています。
グルテンフリーが必要なひと
一部の人はグルテンフリーをする必要があります。
以下に挙げる方はグルテンフリーを取り入れる必要がある方たちです。小麦やグルテンが体に合わず、食べることができません。
セリアック病
セリアック病は遺伝的な自己免疫疾患の一種です。グルテンを食べると免疫が過剰反応し、自分自身の小腸を傷つけてしまいます。この病気は欧米では1〜2%の人に見られますが、日本人では約0.05%ほどとかなり稀な病気です。(1)
グルテン過敏症/不耐症
小麦を食べた後お腹が張ったり、腹痛、吐き気など消化管に関連する症状が現れます。特に検査方法があるわけでもなく、「小麦を食べた時に症状があるか」という自覚症状が大切になります。この病気の有病率は欧米では0.5~13%と報告されていますが、日本では分かっていません。(2)
小麦アレルギー
小麦などのタンパク質に対してアレルギーを持つ方です。小麦を食べることでアレルギー反応(湿疹や呼吸困難、鼻炎症状など)が起こります。発症率は0.2%ほどです。
グルテンフリーが必要ないひと
上に当てはまらないひとは、基本的にグルテンフリーをする必要はありません。その理由をいくつかお伝えします。
健康に対するメリットが明らかとなっていない
「グルテンフリーが健康に良い」「子供の自閉症に効く」などの効果がネット上に流れていますが、そんなことはありません。むしろエビデンスレベルで見ると否定的です。
糖尿病リスクが上昇
グルテンフリーをすると、健康に良いどころか2型糖尿病のリスクがわずかに上昇させることが確認されています。これは小麦に含まれている食物繊維やその他微量栄養素が不足することが原因だと考えられています。(3)
腸内環境が悪化
セリアック病やグルテン過敏症がある人では、グルテンフリーにより腸内の悪玉菌が減ることが確認されています。反対に健常者では、ビフィズス菌や乳酸菌などの善玉菌が減少するようです。これも、小麦に含まれる食物繊維の不足によるものでしょう。(5)
マウスの研究では
ヒトではなく、マウスの研究ではグルテンフリーのメリットが確認されています。ヒトでも同様にメリットがあるかもしれませんが、現時点では確認されていません。
まとめ
グルテンフリーは医学的に必要とされている人はいます。しかし健康な方では取り入れるメリットは確認されていません。むしろ、デメリットの方が大きい可能性もあります。
小麦製品は私たちの生活環境に溶け込んでいて、グルテンフリーには相当の努力が必要になります。大変な思いをしても得られるメリットはほとんどないことから、グルテンフリーをする必要はないでしょう。
参考文献
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