第12回「ちゃんと怒りたい」

わたしは子どもの頃、理不尽だと思うことをされるたびに怒っていた。小学生のころは周りと折り合いがつかず、ほとんど毎回怒っていた。
周囲の人たちは、わたしを「とても気難しい子ども」だと評価した。

成長するにつれて、わたしは怒ることをだんだんやめていった。怒ると面倒なことになりがちだということを学んだからである。

自分が我慢すればいいと思うようになった。自分が悪くなくても、「そう思わせてごめんなさい」などと、なんとなく謝っておけば丸く収まると思うようになった。

怒ることをやめていった結果、今度は他人に舐められることが増えていった。
理不尽だと思うことは減らなかった。

近年になって思う。ちゃんと怒りたい。より正しく言えば、その場ですぐに、「それは良くないと思う」と意思表示をきちんと言語化して伝えたい。

しかし現実では、何か理不尽を突きつけられたとき、とっさに反応できないことがほとんどである。あまりにも長年「怒ること」をサボりすぎた代償である。

今振り返ると、ちゃんと怒れなかったことをとても悔しく思う。元勤務先のブラック企業のあらゆる仕打ちや、理不尽な管理職の言動などに対して。

理不尽に直面したらその場でちゃんと怒る。というかちゃんと意思表示をする。
自分が謝らなくていいことで謝らない。

今後生きていくうえで、このことをしっかり身につけていきたい。
そうすれば、長期的に見て、もっと楽に生きられるはずだと信じている。

おわり

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